高級住宅地は、「ヒルズ」にある？！『海抜』を確認しながら高級住宅街、代官山の周辺を調べてみた

「自分が住む街の『海抜』って何メートルだろう」って考えたことはありませんか？土地の高さを表す際によく使われる「海抜」と「標高」という単位。国土交通省国土地理院によると、「海抜」は、近隣の海面（東京だったら東京湾、大阪だったら大阪湾など）を基準面にしていて、「標高」は、日本の場合東京湾の平均海面を０ｍの基準面としているそうです。でも最近は、同じ基準に統一しているという記述も。
山登りやスキーなどで「標高は？」などの会話をよく聞きますが、「海抜」は防災面の話をするときによく出てきます。
そこで代官山です。昭和の時代から人気のおしゃれスポットであり、高級住宅地でもある代官山。恵比寿駅へは徒歩約8分、渋谷駅へも徒歩20分程度、隣駅の東横線中目黒駅へは徒歩約10分といずれも徒歩圏。さすが人気エリアだけあって利便性はバツグン。でも地名に「山」がつくせいか？どの駅へ行くにも大小さまざまな坂道が存在します。そこで小さな興味を満たすべく、代官山周辺の海抜を調べてみました。

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上記は、渋谷区役所のホームページから公開されている「洪水ハザードマップ（令和3年3月改訂版）」の代官山駅周辺を切り取ったもの。想定最大規模(※)の雨が降った場合を想定して、浸水する範囲やその深さを色で示しています。黄色エリアは10～50センチ、オレンジ色のエリアは50～100センチ、緑色エリアは100～300センチの深さの浸水になると想定されています。
水は低いところに流れていくので、色が着いているところは低いのか？となんとなく想像できますが、実際何メートルくらいの高低差があるのかはピンとこないです。そこで「海抜」を実際に調べてみることにしました。


※ 1時間最大雨量153ミリメートル、24時間総雨量690ミリメートル

調べ方はすごく簡単！様々な地図サイトで確認できますが、地点ごとの海抜がワンクリックで簡単に分かるのが「マピオンhttps://www.mapion.co.jp/」です。調べたい地点にカーソルを合わせて赤い+マークになったら右クリックをするだけ。ウインドウがでてきて、海抜が書かれています（赤く囲った部分です）。

「いやいや、あまり坂道を歩きたくないから、ルート全体の高低差が知りたいよ」っていう方は、グーグルマップhttps://www.google.com/maps　はいかがでしょう。ルート検索時に左下（赤く囲った部分）の高低差をチェック。ルートごとに確認でき、遊歩道なども加味されていて参考になります。他にも自転車ユーザーに人気の「坂の少ないルートを探せる地図」のサイトやアプリはたくさんあります。健康づくりの観点からも色々なタイプがあるので、自分のライフスタイルに合ったものを探してみるのもいいですね。

「海抜」つながりで心配されるのが、海面の上昇。地球の温暖化対策を取らなかった場合、21世紀末の地球の平均海面水位は、最大82センチも上昇する可能性が高いと予測されています（※1）。実際、どんな風に浸水するかが分かるマップを発見！（Flood Maps　http://flood.firetree.net/）海抜を今より●●メートル高くなると設定して、世界中の海面上昇による浸水を確認することができます。ちなみに海面水位が59センチ上昇したとすると、日本の三大湾（東京湾、大阪湾、伊勢湾）のゼロメートル地帯の面積は、5割増すと予測されているデータも（※2）。このアプリではメートル単位でしか設定できないので、1メートル上昇で設定してみると、上の図のような結果に！かなりの地域が浸水してしまうことがわかります。美しい砂浜なんてなくなってしまう勢いです。地球温暖化、やばいです。世界中の地域を簡単に確認できるのでぜひ試して危機を実感してみて欲しいです。


※1　環境省HP　COOL　CHOICE温暖化の現状ページより
※2 環境省IPCC 第5次評価報告書の概要-第1作業歩合(自然科学的根拠）-2014年12月版P43より-

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さて、代官山に話を戻しましょう。代官山駅周辺の海抜は、先ほどご紹介したマピオンで調べると概ね28～30mです。旧山手通り沿いには代官山の人気スポット「ヒルサイドテラス代官山」が、その先には西郷家の邸宅があった「西郷山公園」があります。旧山手通り沿いはまさしく高級住宅地の一角。南西方向は斜面になっていて目黒川があり海抜は９ｍへとぐぐっと下がります。
すぐ近くには「東京富士見坂」と名づけられた場所があったり、西郷山公園は富士山も良く見えたり、昔から眺望の良いところであったことがうかがえます。
眺望の良さを求めて代官山に限らず明治時代など古くからの高級住宅地は、丘の上や台地に集まりがち。現代でも不動産会社が高級マンションに「〇〇ヒルズ」と名づけたくなるのもうなずけます。1967年から段階的に都市開発がすすめられた「ヒルサイドテラス代官山」（上写真）もまさしく名前に「ヒル」が入っていますね！

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今でも富士山を眺められる西郷山公園は、西郷隆盛さんの15歳年下の従道（じゅうどう/つぐみち）さんが、隆盛さんと住みたいと1874年頃に購入した土地だそうです。ご存じの通り約3年後、隆盛さんは西南戦争で他界したためそれを叶えることはできませんでした。軍人として国の要職に就いていた従道さんは、この土地に木造建築の家屋と日本初といわれる木造二階建て耐震仕様の洋館を建て、庭を整備。（洋館は現在、愛知県の明治村へ移築されています）「別荘」として建築されたその大邸宅は、「一族のための一大リゾート」といったような規模だったそうです。

従道さんが他界する1年前に、この別邸は西郷家の本邸となりました。それまで本邸があった千代田区霞が関三丁目から、別荘であるこの西郷山公園までグーグルさんで調べてみると歩いて約1時間20分。当時の交通手段は徒歩か、馬か、馬車や人力車など。それらを使って1時間前後で移動できる距離に別荘を建て、一族のリゾートにしたというわけですね。
まさしくこの地は、台地の斜面「ヒルズ」にあり、自然豊かな雑木林に囲まれ、富士山を望められる眺望、眼下に流れる目黒川周辺には咲き誇る見事な桜と……リゾートになるべくしてなったという気がします。

ここで富士山に向かって思い切りサックスを吹いたら気持ち良さそう！代官山駅前でサックス教室に通っているのでそう思ってしまったのですが、やはり音を出すのは迷惑ですし管理がしっかりしている公園ですし絶対にダメです。でも、想像してみるだけなら自由ですよね！かつてそこにあった西郷邸に招かれて明治時代の功績者、西郷さんの前で演奏する自分なーんて、畏れ多くもイメージしながらにんまりする私でした。

おまけ
西郷山公園から坂を下って徒歩5分、海抜は30ｍから９ｍに。21m下った目黒川沿いの４F建て1棟丸ごとスタバでひと休み。テラスからは、西郷山公園も望めます。

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