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「家元制度をぶっこわせ!」

家元制度をぶっこわせ!

ネット時代の新しい仕組みに侵食される家元制度。今どきのユーザーを無視した致命的なズレ

日本の伝統的な民族音楽や古典音楽は、もうすたれてしまった――という人がいる。
何故か、と問えば、昔はTVやラジオでよく流れていた箏や三味線、太鼓などの邦楽が、今はほぼ「無い」というのである。
インターネットで流れているのでは?と検索すると、意外と簡単に見つかった。
――がしかしそれは、もはや日本で一般的な音楽とはいえない。
楽器こそ三味線や箏などの日本古来の楽器だが、その音色は、J-popやアニメソング、洋楽といったものなのだ。

EYS音楽教室(以下、EYS)には、毎月一定数の「邦楽楽器を習いたい」という入会者がある。
EYSでは、「三味線」「尺八」「箏」は人気の楽器である、と共に、民族楽器というくくりでは「二胡」も大人気だという。
しかし、入門者のほとんどが希望するのは、
「箏でアニメソングを弾きたい」「三味線でJ-POPを」「二胡でクイーンを弾けないか」など、現代音楽を弾きたいというオーダー。
EYSは、「楽しく自分の音を奏でよう!」というコンセプトの音楽教室なので、そういったオーダーが届くのは必然だろうが、
街やTVなどでお正月によく聴こえてくるような、いわゆる古典音楽の「あの曲を演奏したい」なんて人はほぼ皆無なのだ。

いやいやそういう人は、直接○○流とかの門を叩くでしょう。という意見もある。でも仮に○○流の門を叩いたとして、自分が弾きたい曲が弾けるのか?というと、それはほぼ叶わない。○○流=家元という名のもとでは、そんな勝手は許されないのだ。

「家元制度」って何なのか。そもそも、「家元」って誰?という疑問もある。ドラマに出てくるのは、紋付袴姿のイメージ?と妄想ばかりが先行するが、まずはそこから!家元制度に詳しく、EYSでも講師を務める峨山講師(尺八)、鮎澤講師(三味線)、村井講師(二胡)に聞いてみた。

音楽に於ける家元制度って、そもそもどういうもの?講師に聞いてみた

まずは、EYS音楽教室で尺八を教える傍ら、プロの演奏家としても活躍する峨山講師に教えてもらった。
「尺八の場合、主に都山流(とざんりゅう)と琴古流(きんこりゅう)の2流派があります。この2つは、尺八の吹き口の形や演奏法が異なります。譜面の書き方も、都山流は西洋音楽の影響を受けた書き方をするのに対し、琴古流は日本の伝統的な左右の拍の取り方で、同じ尺八でも色々と違うのです」

峨山講師は最初、都山流の教師について尺八をおぼえていったそうだが、プロの奏者として活動する今は、どちらの流派も演奏できるという。「流派が異なると大変です。ですが、演奏したいという想いがあるなら勉強をすればいいと思います。私も勉強しています」。流派にこだわる必要は、全くないのだ。峨山講師が在籍していた東京藝術大学では、『他様式』という授業でもう一方の流派を勉強する機会があるという。

家元制度を説明する男性

流派の違いを区別するためなのでしょう。流派によって譜面の読み方や音なども異なっているんですよ。 (尺八/峨山講師)

次に、EYSで三味線を教える鮎澤講師に三味線の場合を聞いてみた。
「三味線はもう少し複雑で、まず大きく分けて太棹・中棹、細棹という棹の太さがちがう3種類の三味線があります。そのそれぞれに、演奏する音楽が異なるのです。太棹は、『津軽民謡』や『浪曲』『義太夫節』、中棹は、『地唄』や『小唄』で、細棹は、『長唄』などで使います。演奏するジャンルに合わせて使う三味線も異なるというわけです。伝統芸能と民謡、関西と関東などでも流派がさらに細かく分かれていて、複雑ですね」

三味線の種類は演奏するジャンルによって異なり、さらに、演奏するジャンルそれぞれに流派が存在するという。たとえば長唄や清元といった演奏するジャンルに、さらに細分化された流派が存在しているということになる。

家元制度を説明する男性

三味線の場合はかなり複雑に流派が分かれているので、やりたいものを見つけにくいという面もあると思います。 (三味線/鮎澤講師)

「家元」の元々は、カリスマ奏者!今は伝統芸を引き継ぐ人

細分化された流派が存在している――なぜそんなに細かくなるの?と、思うでしょうが、そこに「家元」という存在が絡んでくる。ある演奏家が演奏法をみいだして「これ、オレの弾き方。みんな自分と同じように弾けるまで習って!」とスタートしたのが、A流派だとする。「いやいやオレはこういった演奏法がいいと思うねん。みんな学んどいてー』とはじめたのがBさんで、それがB流派となって細分化されていったのだという。

先の尺八を例にあげれば、都山流は、虚無僧の流れを汲む中尾都山(なかおとざん)が関西で新たな分野を開拓したことから始まっているそうだ。また琴古流は関東を中心に活動していた尺八の演奏家たちが都山流の成立に対して自分たちの祖は江戸時代の黒沢琴古(くろさわきんこ)という素晴らしい演奏家であるということから、その演奏技法を継承したい、させたい、という思いでスタートし、今は多くの組織ができている。
カリスマ奏者のAさんや、Bさんは、『キャー素敵~!』と、言われたかどうかはともかく、周囲の人々からレッスン料や寄付やら金銭を授受、さらにはそのカリスマが勧める高額な楽器を購入したい人も現れてきて、さらに金銭を授受……。
絶対的カリスマであり、芸を継承する役割を担う「家元」。それを応援する「支援者たち」。この相互関係が、家元制度を発展させてきたのである。

ちなみに中国からやってきた二胡については、どうなのだろう。村井講師に話を聞いた。
「二胡が日本に入ってきたのは1980年代中頃。当初、二胡に興味を持ち演奏してみたいという人は、お箏や三味線などいわゆる邦楽器をやっている人が多かったのですね。日本で二胡を広める際にその方々が自然に、家元制度の習慣を教え、広まっていったという部分があります。○○流など屋号のようなものはありませんが、カリスマ先生に習いたいというのはあったと思います」

「特に楽器販売に於いては、当初は日本では購入出来なかった事もあり、先生が中国で買い付けた物を提供していたはずです。その頃の中国の物価は安かったので中国で仕入れた楽器を10倍〜15倍にして売っても有難いと買う人も多く見受けられました。
中には高いレッスン料を払っても習いたい人や、発表会ではお金を支払う日本の慣習や心付けなど、当初の二胡で言う家元制度は楽器の購入も含め、先生を応援したいと言う思いもあり“金銭授受"の部分がビジネスにも取り入られて行ったのだと思います」

家元制度は、『優れたビジネスモデル』と言われ、上記の二胡のケースのように、真似されることが多かったのは、『金銭の授受の方法が優れていた』からなのだろう。しかし現在ではその評価も、インターネットの普及・発達によって、今や時代遅れで陳腐化しつつある。

家元制度を説明する男性

素人が良い楽器を選ぶことは難しかったので、先生が勧めたものをそのまま買う人が多かった、という面もあったと思います。 (二胡/村井講師)

そもそも家元制度は、何をしている団体なのか?

家元制度は、流派によって多少の差異があると思うが、大きく分けると下記のようになると思う。
1)継承すべき芸を持つ家元の存在
2)継承すべき芸を教える/稽古する機関であること →免許を発行し「教師」を増やす→「教師」が「生徒/ユーザー」を増やす
3)免許等の発行・管理機関
4)楽器等の販売機関(販売を一切担わない流派もあり)
5)家元のブランド化

まずは、1)があることが大前提であり、芸の継承者となったからには、真摯に芸に向き合いその技術を磨くことが、何よりも求められる。家元なのに芸が下手……なんてことはありえないのだ。芸が素晴らしいからこそ、カリスマとしての地位も保たれる。では、その人以外の人間は?というと、2)に含まれる。まずは、「標準化」されたカリスマ家元の芸をコピーするべく修得する人。そのうち、ある一定のレベルに達した者に「免許」を与える。教師になった際には弟子を取ることを認め、教師は教えることで生計をたてて行く。免許発行、楽器販売や発表会等で都度、資金集めのチャンスがあり、教師は安定経営の道を探ることができる。芸を学びたい人々(弟子)は、芸を修得するための費用、発表会などの参加費用などが必要。楽器を購入についても流派によっては、流派を流通した楽器を購入する必要があり、「マージンやキックバック絡みで楽器を購入せざるを得なかった」というのはよく聞く話だ。

このように家元制度が、「優れた」と評価されたのは、芸という一つの道を通じて末端から頂上まで、お金を吸い上げる仕組みができていたことだ。家元は芸を純粋に磨いていくことに没頭できる仕組みなのである。何も駅前で「○○教室」なんていうチラシを配って、生徒を募らなくても、コツコツ働く弟子たちを集め一気にレッスンしてしまえばいいのだ。
似たような仕組みは、他の習い事やスポーツでも見受けられる。たとえば4)の楽器等の販売機関も、フラワーアレンジメントでは仕入先を指定されたり、スポーツでも使用する道具はあるメーカーを指定されたり、コーチを通じて買わないといけない、というのは珍しくない。○○式、○○法、など家元制度に似て非なる制度でもあり、「一般社団法人」などを作って、資格の整備や技術修得の管理をしている団体もある。社団法人が出す認定資格は、他の社団法人では通用しないことが少なくない。これも家元制度に近いと言えそうだ。

「芸」を継承する。という点だけでみれば、本来は1)だけでOKではないか。家元は、門外不出の芸として公演をし、多くの観客を感動させ魅了させていけばいいのだ。でも、それでは優れたビジネスモデルとは評されないだろう。
「優れた」と評される部分は、金銭の授受方法であるからだ。「大切に引き継ぐべき芸」を弟子に教え、教える代わりにお金をもらう。その弟子がまた弟子を取り……やがてピラミッド型にお金を吸い上がっていく巨大な仕組みが出来上がる。もちろん芸に感動した観客から学びたいという人も出てくることも、一緒に弾きたいという人が出ることも、自然なことだろう。しかし、3)免許発行に数万円ものお金の授受があり、4)の楽器販売しかり。そして5)のブランド化は、「名取が欲しい」という人がいる場合だ。本来は稽古にまじめに打ち込み、それなりに鍛錬しなければもらえない「名取」という資格だが、これをブランドとして「金で買う」人がいるという。そういった人々の真の目的は図りかねるが、発行してしまえば、金銭の授受が生じることになる。金銭を吸い上げる仕組みは、2)3)4)5)とあり、1通りではない。だから、高級な紋付はかま姿の家元が、豪華な日本邸宅に住んでいる……そんなイメージや妄想がついつい頭に浮かんでしまう。

「何が弾きたいか?」なんてことは、聞いてくれない家元制度

昔は、「箏を習いたい」「尺八を吹きたい」と思ったら、家の近くで教えている教室を探して通う。そこが、○○流なのかなんて気にしなかった。家の近くにある。知り合いが勧めてくれた。そんな理由で充分だった。
習い始めてみて初めてそこがメジャーな流派だとか、マイナーだとかを知るわけだが、分かるのはその程度。
お金について、レッスン料の他に、発表会にいくら包むか。免許状にいくら包むか。楽器購入にはこれくらいはかかる。とか講師や先輩にいわれるがまま支払うしかなかった。インターネットもSNSも無かったし、そんなものだろうと比較もしなかった。しかも、○○流に通っていると話すと、「お嬢様」「良家」「名家」とか言われてお見合いなどで箔がつく。世間体は良かったから、一般家庭の子女も茶道や華道と同じように家元制度にすがっていた。

しかし時は流れ、良家の子女のニーズが下がり、インターネットの発達と共に「津軽三味線でカッコよく洋楽を弾く演奏家」や、「金管楽器とコラボする尺八演奏家」の動画や音源を簡単に観たり聴いたりできるようになると、状況は一変する。「○○さんのようにカッコよく演奏したい」「TVの主題歌のJ-POPを弾きたい」と、演奏したい曲ありきで学び始める人が増える。
――そういったものは、家元の流派では教えてくれないのだろうか。三味線の鮎澤講師に聞いてみた。
「○○流へ行って、アニメの▲▲という曲を弾きたいです。と話しても、流派では、やるべき課題曲は決まっています。『そういうのは、やらないのよ~』と言われるか、『何を言っているんだ!』と怒られるのがオチです。決まった順番でひたすら課題曲を練習するのみ。いつまでたってもアニメの▲▲曲を弾くチャンスは訪れません」。

三味線を弾く鮎澤講師

レッスン方法はさまざま。弾きたい曲の譜面を書いて教えることもあれば、歌詞や棹の押さえる所を図で描いて教えることもあります。 (三味線/鮎澤講師)

どこかの流派に入ってしまったら、泥沼のごとく抜け出せないのだろうか?
「もちろん学びたい伝統芸能があるのなら、そこへ行ってしっかり学ぶのが良いと思います。しかし、流派やその音楽の違いを分かっている人はほぼいないと思います。昔のように世間体や名声を得ることではなく、今はただ純粋に音楽を楽しみたいと思っている人が多く、そういった人たちに、流派の課題曲を教える技術しか持たない教師では、対応は難しいと思います」 尺八を吹くことが楽しかったり、三味線を奏でたりすることが楽しくて仕方が無い、ただ純粋に楽しい!というような、今スタートしたいという人たちは、J-popや洋楽を演奏するのと同じレベルで、伝統音楽を演奏するのもよいと思っている人たちだ。
伝統芸能を継承する目的の家元制度の枠組みでは、そういった人たちのニーズに応えることは難しい。

音楽の講師に、もはや「免許」はいらない!

尺八の峨山講師は、「家元制度は、そこの流儀を極めようとすることで自分の励みになるし、所属意識や安心感をもたらす部分もあると思います。また、名取とか教師とか、資格至上主義な人にはたまらない制度ですね」と家元のメリットを語りつつも、「しかし、本来は免許を持つ人のところではなく、実力のある人のところへ習いにいくべきです。そういう講師は、生徒さんの目標や目指すものを共有し提供してくれるはずです」と語る。わからないからこそ、流派や免許など見えるブランドに頼ってしまうが、ユーザー自身がそれを見極めて講師を選びたいものだ。自分にあった講師なら、レッスンを押し付けられるなんてことはなく、ユーザー自身のやりたいことに、様々な角度から寄り添って、世界を広げてくれるのだから。

音楽講師について説明する男性

20代からシニア層まで生徒さんの年齢層は幅広いですね。レッスンを通して、ライフステージが変化してもずっと尺八を続けていけるよう一緒に考えます。 (尺八/峨山講師)

二胡の村井講師も続ける「二胡には免許状はありませんが、実際にEYSで育って講師として活躍している人もいます。要は資格ではなく、生徒さんの個性やニーズに合わせたレッスンができるかどうかです。私は30年以上前に中国に渡り、中国の音楽大学で二胡を修得しましたが、恩師である教授が最後に言ってくれたのは、『私と同じように教えてはいけない。楽器は鉛筆と同じなのです。鉛筆は色々な持ち方や書き方ができる。日本に行ったら日本の鉛筆があるように、二胡の演奏方法があるのですよ』と。基本を踏まえた上で、あとは自由でいいのです」。

ただ純粋に音楽を楽しみたい!―そんな人たちに、EYSは何をしてくれる?

「音楽を楽しみたい」という人たちの想いにいち早く気づき、対応したのはEYS音楽教室だ。当然のことだが、EYSに流派は存在しない。だから、流派に即したレッスンも存在しないのだ。もちろん講師たちはその楽器を学んできた経験から、いずれかの流派の免許状を持つ者が多く在籍しているし、その流派の曲を習いたいというオーダーがあればきちんと対応できる。つまり、どんなオーダーにも応えられる講師たちなのである。

三味線の鮎澤講師は、「その人にとって一番良い教え方は何なのか、ということを常に考えながら教えています。たとえばギターを習いたいと思ったら、どんなスタイルで弾きたいとイメージしているのかを聞いて、講師はそれをアシストしていきます。三味線も同じです。どういう曲をどんな風に弾きたいと思っているのか、三味線のどんなところがカッコイイと思っているのか、など三味線に惹かれたポイントを踏まえた上で、どんなテクニックが必要なのか、そのテクニックを修得するにはどんな順番で教えていくべきか、一人ひとりの希望やスキルを判断した上で教えるプランを練っています」 二胡の村井講師も、「二胡の場合、二胡が日本に入ってきて40年以上。二胡の伝統音楽よりも、日本で耳にした二胡の演奏を弾きたい、自分らしく弾いてみたい。という人が増えています」。EYSでなら、思いっきり自分のやりたいことを伝えて良いのだ!

さらにもう一つ。講師は生徒一人一人の音楽の「素養」を見ているという。前者が、楽器に対する外面的な動機だとすれば、素養は、ユーザーの内面的動機といったところだ。今までどんな音楽に触れてきたのか、どんな楽器経験があるか、金管楽器や木管楽器など楽器によって音の出し方や感じ方、表現の仕方などを見ていくのだという。「三味線は、もともと口伝で伝わってきたので、たとえば義太夫では『いろはにほへと』で押さえるポジションを読みます。『に』の音は正確には二種類の音程を指し、高い音は『若者の、に』、低い音は『おばあさんの、に』と教える教師もいます。ある程度のパターンはありますが、普通の音楽教育とはかけ離れた部分があるし、伝え方もさまざまです。EYSでは、生徒さんの素養をみながら、一番理解しやすい方法は何か、を考えながら教えていきます」。

もう一度言ってしまうが、EYSでは、『一人一人の生徒にあったレッスン』をしているということだ。そしてそれが求められている時代。自分の音楽をオーダーメイドで作り上げられるレッスンができるから、EYSに来る人が多い、というワケなのだ。

それは、講師たちのメリットにもつながっている。二胡の村井講師は、「EYSの講師同士は、家元制度にあるような師匠と弟子のような縦のつながりはありません。ですが講師同士の横のつながりは太いのです。音楽の技術的なことはもちろん、トレンドなどの情報交換をして、生徒さんの傾向や多様なオーダーにも応えられるようにしています。以前、『二胡でラップを弾きたい』という生徒さんがいた時は、驚きました。何とかレッスンしたけれど楽しかったですね(笑)」。講師たちもさまざまなニーズを楽しみ、それによって民族音楽や古典音楽の新しい楽しみ方の引き出しを増やし、世界を広げていっている。

EYS音楽教室について説明する男性

二胡の魅力は、肉声に近い楽器というところ。十人十色、その人の弾き方で、その人の音が出ます (二胡/村井講師)

「楽器をプレゼントする」―その結果、音楽そのものや、関わる人全ての世界が驚くほど広がった!

EYSでは、三味線は、津軽三味線、長唄三味線、三線を揃え、プレゼントしている。特に、津軽三味線の「遥遠(ようえん)」は、棹の部分に耐久性の高い高級素材の紫檀(したん)が用いられており、その楽器がプレゼントされるというのは、お得感満載なシステムだと人気が出ている。二胡のプレゼント楽器の「双王」は、二胡本体と弓の双方とも、中国のコンクールで何度にもわたり受賞歴を持つ名だたる職人により作られた、全てにおいて演奏者の使いやすさが隅々まで考えられている高品質を誇る楽器だ。

津軽三味線「遥遠(ようえん)」
津軽三味線「遥遠(ようえん)」 津軽三味線「遥遠(ようえん)」

津軽三味線「遥遠(ようえん)」
棹には高級素材の紫檀をはり、半永久的に使うことができる。津軽三味線らしい演奏を初心者にも楽しんでいただくために、オリジナル合成皮革を用い、音の余韻(さわり)を調整できる東さわりを標準装備。植物性の天然油と砥の粉で丁寧に仕上げた逸品。

二胡「双王」 二胡「双王」
二胡「双王」

二胡「双王」
材料の選定からこだわりぬかれ生み出された二胡。弓は中国福建省の紅竹。細くしなりのよい弓は、初心者でも演奏しやすいのが特長。二胡本体、二胡弓、2人の巨匠の奇跡のコラボレーションによって生まれた至極の逸品。

「プレゼントにより高い品質の楽器を初心者でも使えるので、最初から”美しい音”を出すことができ楽しく練習ができます。それが生徒さんのやる気につながっています。さらに、この楽器は長く使い続けていけるような研究や工夫も満載なので、本当にオススメですよ」と二胡の村井講師は語る。確かに最初の楽器購入と、楽器の扱い方のハードルが下がれば、レッスンの継続率は高まる。しかも、自分の弾きたい曲を目標に練習できるとなれば、やる気が何倍にも膨らんで行く!

さらにメリットは続く。『楽器をプレゼント』により、今まで習いたかったけれど習えなかった人が、習いに来てくれるようになったことだ。
新しい層を開拓できたことは、尺八や三味線、箏、二胡といった、民族音楽や古典音楽の発展に寄与したと言ってもいいのではないだろうか。多くの人が、この新たな音楽の世界に、質の良い楽器と共に、飛び込んでいる。

今まで、ある程度お金をもった人たちのものだった伝統楽器。家元制度の下では、レッスン料を支払い、発表会にお金を包み、免許状にお金を包み、楽器を買う時は高価なものを勧められてしまう。とにかくお金がかかるので敷居が高かった。
しかしEYSで、「楽器をプレゼントしてくれるなら」とスタートする人が格段に増えた。お金がかかる子育て世代やその子ども、学生や社会人、また比較的時間に余裕のあるシニア世代の人々も、新しい挑戦ができるのだ。と同時にそれは、民族音楽や古典音楽の発展にもつながっていくだろう。
家元制度や、その制度を真似た教室では到底成し得ない化学反応が、今現在、EYSでは実際に起こっている。

「家元制度をぶっこわせ!」もはや、その必要はない

もはや、「ぶっこわす」必要などないのかもしれない。ニーズをみれば明らかだ。ユーザーが自分で考え、自分で選ぶ時代であり、インターネットやSNSなどその情報を得る手段も充分にある世の中になった。
家元制度を「ねずみ講」だと言う人もいれば、「優れたビジネスモデル」だと言う人もいる。繰り返すが、そこに金銭的なメリットが見えるからだろう。いや正しくは、「見えていた」と過去形で書くべきだ。

インターネットを使えば、家元に縛られることなくチョー簡単に、生徒集めも、教えるのも教わるのも、楽器調達もできる時代なのだ。インターネットによって家元制度の「優れた」と評された部分は、全て無意味になった。

現代において、家元制度の下でどれほどの人が教師になり経済的な自立をし、生業として成り立たせているのだろうか。日本人の平均年収約420万円を上回っているのだろうか。そうだとしても、その年収の中で何十万円もする楽器を購入したり、衣装(着物)などを購入したりできるのだろうか。と勝手な心配をしてしまう。 伝統芸能や民族音楽を流派として継続していくことは、必要がないとまでは言わないが、それを応援する人が増えていくとは考えにくい。好きな音楽を奏でられない、教え方が一辺倒、高い楽器を購入しなければならない、教師になっても収入が不安定と、わざわざ家元に入るなんてリスクがありすぎる。

家元制度は、環境の変化に対応しきれず絶滅した恐竜のような存在になりつつある。 伝統を守り変わらないことがいいとは限らない。「不易流行」はビジネスでもよく使われる言葉だが、どの家元に於いても、「決して変えてはならないもの」と、「常に進化していくもの」の取捨選択を間違えてはいけないのだ。このまま家元制度は自然淘汰の道を歩むのか、新しい何かを見出せるのか。

音楽の世界が、今まさに世界規模で未来へ向け大きく変化を遂げていると、感じずにはいられない。

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