フラメンコギターが上達しなくて悩んでいませんか?
ギターはさまざまなジャンルの音楽を楽しむことのできる楽器のひとつです。中でも身近なジャンルと言えば、ロックやポップスなどが挙げられますが、ギターはもっとさまざまなジャンルで活躍できます。
フラメンコもそのひとつ。音楽のジャンルとしてお馴染みですが、もともとはスペインのアンダルシア地方に古くから伝わる歌・ギター・踊りが主体となった芸能のひとつです。
現代のようにネットワークやレコードなどで音楽を楽しむようになる以前から、個人の家などプライベートな空間でも楽しめる娯楽として愛されてきました。
時代の流れの中で、本場であるスペインではあまり聴かれないようになった時期もありました。ですが、一方で、その独自の音楽性や、他のジャンルではあまりみられない革新的なギター奏法などが注目され、世界的に広く知られるようになりました。そんな中、1980年以降はスペイン国内でも再評価され、再び愛されています。
上記の通り、その独自の音楽性から、他のジャンルとは一線を画しているといったイメージを抱く方も多いようです。しかし、実はロックやポップスなど、あらゆるジャンルに影響を与えています。
そのため、現代音楽の源流のひとつと言ってもいいでしょう。こういった面においてもフラメンコギターは注目されているのです。
そんなフラメンコギターに挑戦してみたい…そう考えている方も多いのではないでしょうか?
そこで、ここではフラメンコギター初心者でもすぐに上達できるコツについて解説します。
フラメンコギターが上達しない人にありがちな共通点
具体的な上達のコツや練習方法について解説する前に、練習しているにもかかわらず、なかなか上達しないという方にありがちな共通点をご紹介しましょう。
フラメンコギターが上達しない理由は人によってさまざまです。しかし、ある程度の共通点が見られる傾向があります。
もし、実際にフラメンコギターに挑戦する中で、以下の点に覚えがあるのであれば、改善していきましょう。
①フラメンコのコード進行がパターンを理解できていない
フラメンコにはいくつかの独特な特徴を持っています。コード進行もそのひとつです。この構造を理解できていないことが、上達を妨げているケースも少なくありません。
フラメンコの進行には独特な響きがあります。明るいメジャー的な要素もあり、もの悲しいマイナー的な雰囲気も持ち合わせているのです。フラメンコにもさまざまな曲がありますが、ほとんどの曲に共通するポイント。
その秘密は、フリジアンスケール、またはフリジアン・ドミナントスケールにあります。これは、フリギア旋法と呼ばれる、古代ギリシアの時代から使われている音階の一種。フラメンコで多用されることから、スペイン・ジプシー音階とも呼ばれています。
その構成音をまずは確認しましょう。
・Eフリジアンスケール
E F G A B C D
・Eフリジアン・ドミナントスケール
E F G♯ A B C D
フリジアンスケールの音の並は、あらゆるジャンルで使われるナチュラルマイナースケールの2度を半音低くずらしたもの。Cメジャースケールとの平行調で、臨時記号が不要なことから、今回はEからはじまるパターンを例としました。
さらに、フリジアン・ドミナントスケールは第3音を半音上げたものです。この音階はハーモニックマイナースケールから展開する、ハーモニックマイナー・パーフェクトフィフスビロウとまったく同じでもあります。しかし、音階は同じでも考え方は異なります。フリジアン・ドミナントスケールはその名の通り、フリジアンスケールをベースとして考えられたもの。それに対して、ハーモニックマイナー・パーフェクトフィフスビロウは、ハーモニックマイナースケールの第5音をトニックとして展開されたものです。つまり、解釈が異なるのです。音階、スケールについて勉強する中で、このように同じ音階であっても、解釈が異なることで、使い方などに違いが出ることもあります。最初は混乱するかもしれませんが、少しずつ覚えていきましょう。
西洋音楽の音階において、1オクターブ上の音は7つです。しかし、このフリジアンスケールにさらに1音をプラスし、8音構成にしたスパニッシュスケールもフラメンコでは使用されます。
・Eスパニッシュスケール
E F G G♯(A♭) A B C D
8音ということで、一般的な西洋音階に慣れている私たちには少し違和感があるかもしれません。ですが、それがエキゾチックな響きに繋がるのです。
スケールに関する話が少し長くなってしまいましたが、ここからは具体的なフラメンコギターのコード進行について解説していきましょう。
とはいえ、実はフラメンコは即興性が高い音楽ということもあり、もともとは明確なコード進行を決めずに演奏するというケースも少なくありません。だからこそ、上記のフラメンコで多用されるスケールをある程度理解した上で、コードの展開を考える必要があるのです。
それでは、フラメンコにおいて定番の進行をご紹介しましょう。もっとも代表的なパターンがⅥm→Ⅴ→Ⅳ→Ⅲという下降のパターン。とてもシンプルですが、フリジアンスケールと組み合わせることによって、メジャー的であり、マイナーの要素も持つフラメンコならではの雰囲気となります。むしろ、シンプルだからこそ、響きがより活きますし、フラメンコの歌を合わせやすいという一面もあります。
フラメンコギターの進行については、感覚的な部分、もっと言えば民族的な音階、音感に頼る部分が多いのも事実です。そのため、「この進行だけ覚えればOK」という正解がありません。なので、どうしても初心者の方には難しく感じられてしまう理論的な解説になってしまいます。
もちろん、初心者の方が理論的にフラメンコギターを理解し、弾きこなすのは簡単ではありません。なので、なんとなくスケールの響きを覚えていただき、その上でいろんなフラメンコギターの名曲を実際に聴き込んでいくことをおすすめします。
②フラメンコのリズムパターンを理解できていない
リズムもフラメンコギターを構成する重要な要素のひとつです。ロックやポップスにおけるリズムをフラメンコでは、コンパスと呼びます。このコンパスはフラメンコの命であり、最初に身につけるべきとも言われているほどです。
コンパスにはいくつものパターンがありますが、もっとも代表的なのが3拍子と2拍子を組み合わせたもの。「3・3・2・2・2」の12拍で、慣れるまではかなり難しく感じられるでしょう。なので、頭で無理に覚えようとするのではなく、CDを聴きながら手拍子を打ちながら身体に覚えさせていくのがおすすめです。
2拍子のコンパスも70年代以降から現代に至るまでさまざまな曲で使われています。上記の12拍のパターンよりもシンプルで、頭にアクセントが来るため乗りやすいので、初心者の方にもおすすめのコンパス。
このほかにも、変拍子を多用したコンパスなどもありますが、まずは上記の基本の2パターンをマスターした上で、いろんな曲を実際の聴き、覚えていくといいでしょう。
いずれにしても、フラメンコは「舞踏」の音楽。全身を使ってリズムを刻みながら身につけていくのがおすすめです。
③フラメンコの文化・歴史を理解できていない
すでに少し触れましたが、フラメンコはスペイン南部の伝統的な芸能のひとつ。音楽ジャンルとしてのフラメンコも、そこから派生しました。そのため、本当にフラメンコを楽しむためには、文化や歴史まで理解する必要があります。
まずは、フラメンコの基本的な楽しみ方をチェックしていきましょう。今日では、音楽の楽しみ方も多用化しました。ですが、現代のように録音された音楽を自由に再生できない時代は、生演奏が基本。フラメンコはそんな中、自宅などのプライベート空間で音楽や踊りを楽しむためのものとして、親しまれてきました。
つまり、基本的には親しい仲間と一緒に楽しむための音楽なのです。先ほど、スケールやコード進行のお話をしてしまいましたので、難しい音楽というイメージを抱いてしまった方も多いかもしれません。ですが、それは単に一般的な音楽理論における解釈が難しいというだけで、フラメンコが難解なジャンルであることを意味するわけではないのです。
それこそ、日本にも古くから、さまざまな地域で親しまれている民謡などの音楽があります。これらの中にも、シンプルな音楽でありながら、西洋音楽理論での解釈が難しいものも少なくありません。フラメンコの場合も同じことです。
最初から難しいというイメージを抱いていては、スムーズに上達することもできないでしょう。なので、もっと気軽に、そして感覚的にフラメンコという音楽に触れ、ギターを手にしてみてください。それが結果として、フラメンコギター上達に繋がるかもしれません。
続いては、フラメンコという音楽の歴史についても少し触れておきましょう。ただ、先ほどもお話した通り、小さなコミュニティやプライベートな空間で楽しまれる音楽であったこともあり、その歴史には不明な部分も少なくありません。ですが、基本的な形が成立したの18世紀の末であるとされています。
スペイン南部のアンダルシアにあったひとつのコミュニティにおいて、改宗イスラム教徒であるモスリコの音楽を取り入れて誕生したという説が有力です。そのため、現在でもアンダルシア地方の西部が本場とされています。
当初は、すでに触れた通り、プライベートな空間での演奏がメインでしたが19世紀に入ると、フラメンコが上演される飲食店が登場し、人気を博します。ここからアンダルシア地方のみでなく、マドリードやバルセロナなどスペイン全土にフラメンコは広がっていきます。
この広がっていた過程を見ても、飲食店で食事やお酒を楽しみながら聴く「楽しむための音楽」という側面が強いことがわかるでしょう。
本場の空気感や、楽しみ方をしらない私たちにとって、フラメンコは時に高い芸術性を持つ難解な音楽だと感じられ、場合によっては敬遠されてしまうこともあります。しかし、その本質を知れば、もっとこの音楽を楽しもうと思えるのではないでしょうか?
このように、自分が聴く、あるいは演奏する音楽の持つ文化的な背景や歴史を知ることも、ギター上達には重要なことなのです。
フラメンコギターを上達させるための教則本
すでに何度かお話しましたが、フラメンコギターは頭で考えるよりも実際に聴いたり、弾いてみることが大切です。とはいっても、具体的に何をすればいいのかわからないという方が多数派でしょう。
そこで、便利なのが教則本です。ギターは私たちにとってとても身近な楽器のひとつですので、さまざまなジャンルの教則本が販売されています。もちろん、フラメンコも例外ではありません。
そこで、ここではフラメンコギターを上達させるための教則本をいくつかピックアップしてご紹介します。
①「DVD&TAB譜でよくわかるフラメンコギターの教科書」ドレミ楽譜出版社
これからギターそのものをはじめて手にするという完全初心者の方におすすめなのがこちらの教則本です。
フラメンコならではの奏法やリズムのみでなく、基本的なギターのフォームなどについてもわかりやすく解説されています。また、フラメンコとはどういった音楽なのか、といったコラムもあり、読み物としても満足度の高い一冊となっています。
また、奏法解説や、模範演奏などが収録されたDVDも付属しているのも初心者の方には嬉しいポイントです。
②「沖仁フラメンコ・スタイル・ソロ・ギター」リットーミュージック・ムック
日本を代表するフラメンコギタリストである沖仁による教則本です。フラメンコの基礎知識や、基本的なテクニックの解説と共に、世界の名曲をフラメンコアレンジした演奏を楽しむことができます。
ほとんどの曲が、ソロギターとなっていますので、ひとりでフラメンコギターを楽しみたいという方におすすめです。
③「スペインの香り情熱のフラメンコギター入門CD付き譜面集」千野FEI
もともとは人気教則DVDだったものを、映像からの採譜、CD化によって教則本としてまとめたものです。
多くの曲・そして譜面が収録されていますので、基本的なフレーズの練習よりも、実際に曲を練習しながら覚えたいという方にぴったりの一冊となっています。
④「やさしいフラメンコ・ギター入門(CDでマスター)」ドレミ楽譜出版
まったくのギター初心者から、中級ギタリストにまで対応することができる教則本です。あらゆる奏法をわかりやすく解説されているだけでなく、練習に役立つさまざまなフレーズを多数収録しています。そのほとんどがCDにも収録されていますので、初心者の方でもすぐに練習に役立てることができるでしょう。
⑤「大人の楽器生活フラメンコ・ギターの嗜み」アトス・インターナショナル
こちらは教則本ではなく、DVDなのですが、非常に評価・人気が高いこともあり、ご紹介いたします。タイトルにある通り、大人の方向けのフラメンコ・ギター教則本です。基本テクニックの解説はもちろんのこと、さまざまなコンパスについても紹介されています。
基本的な練習フレーズのみでなく、練習曲も用意されていますので、最終的には曲を通して弾きたいという方にもおすすめです。
フラメンコギターが上達するおすすめの練習曲5選
フラメンコギターは実際に曲を聴き、弾いてみることが上達のカギとなります。とはいえ、初心者の方はどんな曲を弾けばいいのかわからないものです。
そこで、ここではフラメンコギターの上達に役立つおすすめの練習曲を5曲ほどピックアップしてご紹介します。
ただ聴いてみるだけでもフラメンコというジャンルを理解する上で役立ちますのでチェックしてみてください。
①「Entre dos aguas」パコ・デ・ルシア
その素晴らしいテクニックと表現力から、フラメンコ界の伝説のギタリストと呼ばれるパコ・デ・ルシア。多くの名曲がありますが、中でも特に有名なのがこの曲です。さまざまなところで流れていますので、どこかで耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?
リードはもちろんのこと、バッキングも素晴らしく、難易度は高いですがフラメンコギター知るためにも必ず押さえておきたい曲です。
②「Rio Ancho」パコ・デ・ルシア
こちらも続いてパコ・デ・ルシアになります。フラメンコというと、哀愁ある重々しいものをイメージする方が多いかもしれませんが、こちらは軽快で明るい曲となっています。
フラメンコギターにおける表現のひとつとして、いきなり弾くことは難しくても、聴いておくべき曲でしょう。
③「地中海の舞踏」スーパーギタートリオ
スーパーギタートリオとは、アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリン、パコ・デ・ルシアの3人によるトリオ。まさにスーパーギタリスト3人による夢の競演です。
こちらも決して簡単な曲ではありませんが、現代のフラメンコで使われるあらゆるテクニックが網羅されています。フラメンコに限らず、あらゆるジャンルのギタリスト必聴です。
④「Tres notas para decir te quiero」ビセンテ・アミーゴ
1980年代末から90年代にかけて活動を開始し、ロックミュージシャンであるデヴィッド・ボウイの前座も務めたことがあるという実力派ギタリストとしても知られるビアンテ・アミーゴ。そのハイレベルなテクニックから、デビュー当時からポスト・パコ・デ・ルシアとも呼ばれていました。
この曲はとても爽やかで軽快ながら、ビセンテ・アミーゴらしいテクニックが存分に駆使されています。練習に役立つフレーズも多用されていますので、通して弾くな難しくても、部分的に挑戦してみましょう。
⑤「Pa La Pimpi」トマティート
最後にご紹介するのはトマティート。名だたるギタリストを輩出してきたヒターノ一族の産まれだけあり、堅実なプレイを聴かせてくれます。その演奏はヒターノの頂点と言っても過言ではありません。
この曲では、フラメンコらしい軽快なバッキングと、歌メロ、そしてリードプレイが見事に融合しています。フラメンコのアンサンブルを学びたいという方にもぜひチェックしていただきたい名演です。
フラメンコギターを上達させたいならEYSのギター教室へ!
フラメンコギター上達のためには、何よりもこのジャンルについて深く理解し、実践することが重要です。
もちろん、独学でもフラメンコギターを学ぶことはできますが、いきなり実践といっても、完全な初心者の方には難しいでしょう。そのため、ギター教室に通うのがおすすめです。
EYSでもフラメンコギターを学ぶことができます。
楽しくレッスンを受けられるから「続けられる」!
フラメンコギターのレッスンを受け始めても、やはり楽しくなければ続けることはできません。今回ご紹介しました通り、フラメンコとはもともと音楽を「楽しむ」ことを目的としたジャンル。楽しくなければ意味がないのです。
そこで、EYSではメールによるレッスン評価システムを採用。もし、レッスンに満足できなければ無料で受け直すことができます。これが、EYS独自の「ENJOY保証」サービスです。
忙しい社会人でも無理なく通える!自由なスケジューリング
フラメンコギターを習いたいものの、仕事が忙しく、時間を確保することができない…そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
そこで、EYSでは自由なスケジューリングによって、その人に合ったペースでレッスンが受けられるシステムを採用しました。
また、急な予定などによってキャンセルしてしまった場合の補講も無料です。
フラメンコギターは適切なレッスンを受けることで、より効率的に上達することができます。EYSでは社会人の方でも通いやすいシステムを採用。無理なく、そして効率的にフラメンコギターのレッスンを受けたいという方は検討してみてください。