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2020.05.01 【プロが解説】チェロ初心者でもすぐに上達できる意外な方法とは?

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チェロが上達しなくて悩んでいませんか?

音階(スケール)練習ばかりでつまらない…

なかなか練習する気になれない…

左手がうまく使えるようにならない…

均一なボーイングができない…

行き詰まりは誰にでも訪れるもの。ちょっとしたきっかけで、乗り越えさえすれば、逆にグッと上達するチャンスでもあります。ここでは行き詰まりを打開するヒントをご紹介します。

チェロが上達しないのはなぜ? ありがちな原因トップ4

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①チューニングが正しくない

チェロを弾くときは、短時間の練習であっても必ずチューニングを行います。チューニングができていないと、左手をきちんと押さえていても音程がガタガタになり、正しく弾くことができません。初心者で、チューニングに時間がかかるのがもどかしく感じたとしても、最初に各弦の音の高さを合わせてください。

チューニングは初心者だけでなく、中級者でも難しいものです。弦は湿度や温度の影響を受けやすく、温度が上がると音は下がり、温度が下がると音が上がるという傾向があります。そのため一度合わせても、弾いているうちにずれてしまうこともよくあるのです。

右手の操作でも音は変わってしまいます。特に初心者のうちは、安定したボウイングができないため、チューナーを使ってチューニングするときも、メーターの針が安定しません。勢いよく弓を引くと音は上ずり、引く速度が遅いと下がります。そのため、チューニングするときは、速さを一定にして、弓圧はかけず、小さめの音量で弾きます。チューナーの振れ幅が小さくなるように心がけてください。

チューナーを見ながらのチューニングに慣れてきたら、チューナーからAの音を出し、それを聴いてチェロのAを出してみてください。「合った」と思ったらチューナーを使って答え合わせをします。こうすることで、音を聴きながら合わせるトレーニングをしてください。

「耳のトレーニングなんて、小さいうちでなければムリ」と思うかもしれません。しかし、最近の研究では、脳は何歳になっても新しい刺激を受けると発達し成長することがわかっています。毎日のチューニングで、脳は微妙な音の高低も、だんだん聴き分けることができるようになってきます。

②音程が正しくとれていない

チェロにはギターのフレットのような目印になるものがないため、正しい音程を出すことがむずかしいものです。ほんの数ミリずれているだけで、音程がおかしくなってしまうもの。ひとつひとつの音はチューナーでちゃんと調弦できていても、左手の指が定位置を押さえていなければ、音程はずれてしまいます。

そのためには、第1に、左手の形を保つこと。特に2と3の指(中指と薬指)はくっつきがちになるので、正しいポジションを体で体得してください。

ピアノなどほかの楽器の経験のない人にとっては、「音程の感覚」が身についていません。その感覚を身につけるためには、音階の練習が一番です。音階やアルペジオの練習は、どうしても機械的になりやすいのですが、1音ずつ頭の中で歌いながら弾いていきます。

音階練習は、C-dur(ハ長調)の音階から始めます。最初の開放弦から次の1の指を押さえるときに、正しい音程を取れているかどうか不安なときは、最初にC線で「ファ(4)→ミ(3)→レ(1)→ド(0)」と下行して、たどってきたところを戻るようにして「ド(0)→レ(1)→ミ(3)→ファ(4)」と弾いたら、押さえていた指は離さず、G線の開放弦を弾くと同時に、1の指だけを離し、G線の1の指を押さえる場所の上に上げ「ソ(0)」を弾き、次にG線を1の指で押さえ「ラ(1)」の音を出したら、C線を押さえていた指を離します。そこから「シ(3)→ド(4)」と上がり、同様にD線の開放弦を弾くときも、1の指だけを離してD戦の1の指を押さえる場所の上に上げ「レ(0)」を弾き、さらに上がってA線に行く時も同様にします。2オクターブ上がったところで、またA線の2から「ド(2)→シ(1)…」と下行していきます。

自分の音階練習を録音して、実際に聴いてみることも勉強になります。指の幅と音の感覚を身につけるには、音階練習に優るものはないので、丁寧にやってみてください。

③毎日コツコツ練習できていない

楽器の習得には、毎日の練習は欠かせません。というのも、チェロを弾く動作も自転車に乗ったり、テニスのラケットを振ったりするのと同様の運動技能なのですが、この運動技能も「短期記憶」と「長期記憶」があるからなのです。

最初は誰でも「この音を出そうと思ったら、G線を2の指で押さえて…」と考えたり、左手の位置を確かめたりしながら、音を出しています。やがて、体の動きと音が結びつき、「短期記憶」として小脳の表面に蓄えられます。さらにそこから練習を続けるうちに、「長期記憶」として小脳の中心にある小脳核に転送され、特に考えなくても自然に体が動く状態になります。ここまで行くために、毎日の練習が必要です。

さらに、音階練習からさまざまなテクニックを経て、身体が覚えなければならない「記憶」はいくつもあります。チェロを弾くために必要な身体技能を段階を追って習得するためには、毎日の練習はどうしても必要なのです。

ところが、ちょっと弾けるようになったら、今度は練習するのが面倒くさくなってしまいます。練習に飽き、「三日坊主」に陥るのです。でも、だからといって、それはあなたが努力できないダメ人間だからではありません。そもそも人間の脳は新しい刺激には反応するけれども、その刺激にも次第に慣れてしまい、やがて反応しなくなってしまうからです。これが「飽きる」という状態です。

それを逆手に取って、飽きずに続けるために、毎日「今日の目標」を決めることで、脳に刺激を与えてやりましょう。「今日はすごくゆっくり弾く」とテンポを変えてみたり、「この曲を1度もミスせず、5回やってみよう」と自分に課題を出したり。何より励みになるのは、フィードバックをもらうことです。チェロの練習をやっている人を見つけて、「今日は何をやった」と報告し、「いいね」をもらうのもいいですし、友達に聴いてもらうのもいいですね。毎日の練習に「小さなチャレンジ」を加えて、刺激を切らさないようにしてください。

機械的に長時間やることは逆効果です。考えることなく、惰性でやっていては、変なクセがつくだけになってしまうことも。ですので、チューニングの時間を除いて、まずは1日30分、「今日の目標(チャレンジ)」を決めて、集中してやってください。

④自己流でやりすぎてしまっている

「趣味でやるのだから」「あまりお金をかけたくない」「良い先生が近くにいない」…。

独習を続けている人は、それなりの理由があるのだと思います。ただ、どうしても2つの面で、独習者には問題が起こってきます。

第1に、座り方や姿勢、弓の持ち方や返し方、音程など、基本的なことを自己流でやってしまうと、どうしても自分がイメージするような「チェロの音」は、なかなか出すことができず、曲を思い通りに弾くこともむずかしくなってしまいます。自分だと、自分の欠点はなかなかわかりませんが、指導者は、なぜうまくできないかを的確に見抜いて、間違っているところを指摘し、「こうすればいい」と教えてくれます。指導者がいるといないとでは、上達に要する時間と労力がまるで違ってくるのです。

第2に、指導を受けることで、モチベーションは格段に上がります。プロの耳が聴けば、その人がどのくらい練習してきたかがすぐにわかります。頑張ったら、頑張った分を認めてもらえることで、それが次の励みにもなるのです。

長く続けていくためにも、レッスンを受けることは、結果的に決して損にはなりません。ぜひ教室に通うことを検討してみてください。

チェロを上達させるためのテクニック5選

①ヨガの意外な効用 

チェロは実はかなりの筋力を必要とします。弓を持ち動かす右手だけでなく、弦を押さえる左手も、指先に力を入れすぎることなく、正しいポジションを維持するためには、相当の筋力が必要なのです。

この筋力を鍛えるのにおすすめなのが、ヨガ、とくに筋肉に静的な負荷をかけるアイソメトリックです。筋トレというと、どうしてもバーベルやダンベルを上げたり下ろしたりするイメージがありますが、こうした高い負荷をかけて行うことで鍛えられるのは、「速筋」という、瞬発的な運動に使われる筋肉です。それに対して、ヨガのアイソメトリックで鍛えられる「遅筋」は、ゆっくりと持続する動きに使われる筋肉なのです。

呼吸と合わせて合掌して両手を胸の前で押し合ったり、左右で組んだ手指を引き合ったり、基本的なポーズをぜひ試してみてください。

②脱力のコツ

チェロのレッスンを受けていると、おそらく一番言われるのが「力を抜いて」という言葉ではないでしょうか。「でも、力を抜くって難しい」そう思う人も多いかと思います。

実は、「力を抜く」なんてことは誰にもできません。「力が入る」ことも同じです。どこかから自分の体に「力」を持ってきて注入したり、抜いたりする、ということをしているわけではないのです。どちらも比喩に過ぎません。

「指先に力が入る」というのは、指先に意識が集中し、そこに力が集まっている状態のことです。そこから「力を抜く」には、別のところに力を入れるポイントを移してやればよいのです。ポイントは肘関節の手前側、曲げた肘の外と内のちょうど真ん中あたりに置きます。そこに意識を向けることで指先から力が分散され、スムーズに動かせるようになります。骨格によって多少異なるので、自分でやってみながら、「ここに意識を集中すると手先に力が入らないな」というポイントを探してみてください。

「肩に力が入っている」と言われたら、呼吸法をためしてみてください。肩に力が入っているときというのは、実際には肩よりも手首に力が入っていることが多いのですが、手首に力が入ると腕全体がこわばるので、肩が盛り上がり、力が入っているように見えるのです。そんなときは、まず吸う息と吐く息を1:2の割合で数回繰り返します。それから上体を何回かゆすったり、手首をゆすったりした後、おへその下あたり(いわゆる「臍下丹田」)に意識を向けます。そこに意識を向けることで、腕のこわばりはほどけていきます。

③呼吸と音のメリハリ

チェロを弾くときは、集中するあまり、息を止めてしまうことがよくあります。そうなると、息を吸う時にもどうしても勢いよく吸うことになり、耳障りな呼吸音が入ったり、肩に力が入ったりしてしまいます。自然な呼吸に慣れないうちは、歌を歌うことが良いトレーニングになります。歌を歌う時、切れ目でブレスを入れるように、チェロでも同じように切れ目で呼吸します。歌の練習をすることで、そのタイミングを計ることができるようになります。

チェロは、歌と違って弓のアップダウンだけなので、表情などないと思う人もいるかもしれませんが、ただ動かしているだけの演奏は、単調で聞いてもつまらないものになります。ちょうど歌を歌う時、感情を込めて声を出すように、チェロを弾くときにも呼吸で歌います(実際に声に出すわけではありませんが)。そうすることで、音にメリハリが生まれ、チェロの音自体が「息づいて」いるように聞こえます。

④リスニングが重要なのは英語だけではない

チューニングにしても、音程を取ることにしても、耳(実際には、微妙な差異を聴き分けることのできる脳の能力)を鍛えることが大切です。自分の音しか聴いていないと、それが自分にとっての「チェロの音」になってしまうため、なかなか耳を養うことはできません。しかし、プロの演奏を聴くことで、改めて「これがチェロの音か」ということを、確認することができます。

好きなチェリストの、好きな曲を、譜面を見ながら繰り返し聞くことで、自分の中に「音のイメージ」が刻みこまれます。それが、あなた自身が弾くときの「理想の音のイメージ」になっていくのです。

英語を話すためには、リスニング能力を高めるために、ネイティブの発音を聞くことが欠かせないように、チェロを弾くときも、「理想の音」を聴くことは欠かせません。それだけでなく、譜面を見ながら、自分が弾くイメージを持つことで、格段に上達するはずです。

⑤人に聞いてもらおう

もうひとつ、上達に大きな効果があるのが、人前で弾くことです。部屋で1人で弾いていると、モチベーションが上がらないだけではありません。ちょうど、車の免許を取るときに、教習所で運転しているのと、公道を1人で走っているほどの違いがあります。教習所で運転しているのにくらべて、路上では緊張度合いがまるでちがうし、あちこちに神経を張り巡らして、非常に集中して運転しているはずです。教習所で基本を学んだあと、公道で走ったことのない人が、「ペーパードライバー」として、運転技術をほとんど認められないのは、公道で運転することで、格段に技能や集中力の向け方などが向上するからです。

人に聴いてもらうことで、私たちは「ペーパードライバー」の域から脱することができます。もちろん人に曲を聴かせる機会を持つことが、モチベーションアップにつながるのも言うまでもありません。ぜひ、友達に最初は頼み込んででも、聴いてもらってください。

チェロを上達させるためのおすすめグッズ3選

①NEEWER NW-05 調整可能なハンドトレーナー 握力トレーニング ギター ベース ピアノ サックスプレーヤーに最適

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右利きの人にとっては、左手の指は右手に比べて弱く、特に薬指や小指は弱いものです。指の強さに差があると、どうしても指先に均一に力が加わらなくなります。そのため、強さを調節しながら使えるこのハンドトレーナーは、とても便利です。

②チェロ弓ボーイング練習ガイド矯正器具

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特に初心者のうちに、変なクセをつけたくない人におすすめの器具です。手首を動かしすぎたり、弓をまっすぐに動かせていなかったりするのを防ぐことができ、自然に正しいボウイングを身につけることができます。

③My Mute チェロ用消音器

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消音器もさまざまな種類があり、価格帯も1,000円台からありますが、なんといっても消音効果が高いのがこのMy Muteです。毎日の練習には消音器は必要です。特に集合住宅に住んでいる人にはこの製品がおすすめです。

チェロを上達させるためのおすすめ動画3選

ミッシャ・マイスキー 過酷な運命から羽ばたいた自由な音

ミッシャ・マイスキーは1948年、旧ソ連のユダヤ人として誕生しました。8歳でチェロを始めた彼は、17歳のとき、全ソビエト連邦音楽コンクールで優勝し、デビューを果たします。ところが22歳の時、でっち上げの容疑で逮捕され、ブラフディンスクの強制収容所に送られます。1年半にわたって毎日10トンのセメントをシャベルで運ぶ、過酷な強制労働を余儀なくされたのです。その後もソ連の共産主義政権の下、苦しい日々は、24歳でイスラエルへの移住が認められるまで続きました。しかし、ガスパール・カサド国際チェロ・コンクールに優勝し、その後、ニューヨークのカーネギー・ホールでデビューすると、彼の名声は瞬く間に世界中に広まったのです。

マイスキーの特徴は、右手首の前後屈伸がほとんどないまま、体全体で表現する演奏スタイルです。そのため、右手の使い方は参考になります。音は柔らかく、暖かく、情熱的。時に「血がたぎるような」という形容詞が浮かんでくるようなチェロの音です。

②ヨーヨー・マ 知らない人はいない、世界的チェロ奏者

ヨーヨー・マは1955年、中国人のオーケストラ指揮者と台湾出身の声楽家の両親の下、パリで誕生します。チェロを始めたのは4歳のとき。5歳のころにはすでに高い技術を持っていたといいます。ヨーヨー・マが7歳の時、両親とともにニューヨークに移ると、今度は当時の大統領J.F.ケネディの前でも演奏しました。彼の名を一躍世界にとどろかせたのは、1982年に録音したバッハの「無伴奏チェロ組曲」です。パブロ・カザルスによって再発掘されてから、チェリストの聖典と見なされるようになったこの曲を、高度な技術と知的な音で表現した演奏は、世界中で大きな評判となりました。その後もヨーヨー・マはクラシック音楽の枠にとどまらないさまざまな活動を精力的に続けています。ヨーヨー・マのチェロの特徴は、重厚で圧倒的な音の響きと音量です。チェロを寝かせて構え、第1ポジションなどの低いポジションで左肘が上がり、こうすることで音量を保っているともいわれています。余分なところに力が入っていないと、このように軽やかに演奏することができるのだと、見とれてしまいますね。

③アポカリプティカ チェロでヘヴィメタを奏でるフィンランドのチェロ重奏団


チェロが奏でるのはクラシック音楽だけではありません。1993年、フィンランドのシベリウス音楽院で学んでいた4人の青年が、メタリカのカバーをチェロで始めたことから、アポカリプティカは産声をあげました。

メンバーが入れ替わり、ドラムやボーカルを加えて、アポカリプティカの音楽は、変遷を遂げていきますが、ここでご紹介するのは、その最初期、メタリカの”Nothing Else Matters”の演奏です。クラシックの曲に比べてどうしても単純なために、逆にピチカートや弓を引くときの右手の返し方などが、非常によくわかります。彼らが確かな技術力を持っているだけでなく、好きな音楽を楽しみながら演奏していることが伝わってきて、見ている方も楽しくなってきますね。

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この記事の執筆者EYS音楽教室 編集部

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