定番エレキ徹底攻略!あなたにぴったりなギターはどれ?
編集スタッフ :グッドラック・ナギ
エレキギターの起源には諸説がありますが、現在主流となっているソリッドボディのものが量産・販売されるようになったのは1950年代のこと。つまり、エレキギターの誕生からすでに70年近くが経過していることになります。
ヴァイオリンなど、他の弦楽器と比較するとその歴史はそれほど長いというわけではありません。しかし、この数十年で大きく進化し、普及が進んだ楽器です。
今日ではエレキギターの選択肢は無数にあります。多くのメーカーがさまざまなスタイルのモデルを製造・販売していますので、初心者の方の場合、どれを選べばいいのかわからないというケースもあるでしょう。
そこで、今回は定番エレキギターの特徴をご紹介しましょう。あなたのギター選びの参考にしていただければ幸いです。
もくじ
1950年代からエレキギターの開発・製造・販売を行ってきたフェンダー(Fender)。何度か会社の経営基盤は変更されてきましたが、現在でもブランドは存続し、多くのギタリストに愛され続けています。
フェンダーは長い歴史の中で多くの定番ギターを産みだしてきました。その中でも、特に人気のものをピックアップしてご紹介しましょう。
冒頭でもお話しました通り、エレキギターの起源には諸説がありますが、最初期に開発され、量産されたモデルのひとつがテレキャスターです。
原型となったモデルは1949年に発売されたエスクワイヤー(Esquire)。その後、50年代初頭にブロードキャスター(Broadcaster)に改称されますが、この名称はすでにグレッチのスネアドラムとして商標登録されおり、すぐに現在も使用されているテレキャスター(Telecaster)という名称になりました。
ボディの形状はシングルカッタウェイで、ボルトオンでネックと接合されています。ハードウェアは裏通し方式のアームレスブリッジに、6連のペグ。サーキットはフロント・リアに2つのシングルコイルピックアップ、そしてピックアップセレクター、1ボリューム1トーンとなっています。
エレキギターの原型だけあって、シンプルながらとても完成度の高いギターであるといえるでしょう。
非常にシンプルなサーキット(電気回路)ながら、多彩なサウンドをアウトプット可能ですが、多くの方がテレキャスターといえば、シャープで尖ったものをイメージするでしょう。これはリアピックアップ単体、またはフロントとのミックス時のもの。フロントピックアップを単体で鳴らすと、非常にウォームで柔らかなサウンドを奏でることもできます。
70年代以降にはカスタマイズモデルやバリエーションモデルも数多く登場しています。特にフロントピックアップにハムバッカーを搭載したモデルは定番のひとつとなっており、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズをはじめとして、多くのギタリストに愛用されています。
さらに、フェンダー以外でも多くのメーカーがテレキャスタータイプのギターを製造・販売しています。
キース・リチャーズ(ローリング・ストーンズ)、ジョン・フルシアンテ(ex-レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、マディ・ウォーターズ、アベフトシ(ex-ミッシェル・ガン・エレファント)、TK(凜として時雨)、向井秀徳(ZAZEN BOYS)、宮崎朝子(SHISHAMO)他
テレキャスターに次ぐ、フェンダーの第二のエレキギターとして登場したのがストラトキャスター(Stratocaster)。1950年代半ばの登場から、現代に至るまでエレキギターのスタンダードとなっています。
テレキャスターと同様のソリッドボディにメイプルネックをボルトオン接合されていますが、ボディシェイプは左右非対称のダブルカッタウェイ、そして背面にはプレイヤーの身体にフィットするコンターが設けられています。これによって、よりプレイアビリティが向上しました。
ハードウェア面も大きく進化しており、アーミングが可能な「シンクロナイズドトレモロ」を搭載。サーキットも3つのシングルコイルピックアップ、ピックアップセレクター、1ボリューム2トーンに。これによって、より多彩なサウンドメイクが可能となりました。
リアピックアップを単体で鳴らせばテレキャスターのようにジャキジャキとした鋭いサウンドを出すこともできますし、フロントやセンターをセレクトすれば甘く、メローなトーンを奏でることも可能です。
まさに万能型のエレキギターの代表格で、ジャンルを問わず、幅広いシーンで活躍できるギターといえるでしょう。
このサウンドメイクの幅広さと、プレイアビリティの高さから初心者の方にもオススメできるモデルです。
ストラトキャスターも定番モデルだけあって、多くのバリエーションモデルが存在します。ハードロック・ヘヴィメタルが流行した1970年代後半から80年代にかけてはフロントやリアピックアップにハムバッカーを搭載したものも人気を集めました。
エリック・クラプトン、ジミ・ヘンドリックス、エリック・ジョンソン、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ジェフ・ベック、リッチー・ブラックモア(ex-ディープ・パープル)、ボブ・ディラン、ジョン・メイヤー、春畑道哉(TUBE)、Ken(L’Arc~en~Ciel)他
フェンダーと双璧をなすエレキギターブランドといえば、やはりギブソン(Gibson)です。エレキギターの王様とも称されるレスポール(Les Paul)をはじめとした多くの定番エレキギターを生み出しています。
2018年には経営破綻が報じられ、大きな話題となりましたが、ブランドとしては今も健在です。
エレキギターの量産には、フェンダーより少し遅れをとったギブソンですが、もともとアコースティックギターやバンジョーなどの弦楽器を製造するメーカーということもあって、よりトラディショナルなシェイプ・構造を持つレスポールを完成させました。
しかし、完成とはいっても発売当初は現在のものとはスペックが異なっており、ピックアップにはP90と呼ばれるシングルコイルが搭載されていました。
ハムバッカーが搭載され、現在のスペックが完成されたのは1957年のこと。そして、一番人気のサンバーストカラーのものが登場したのは1958年でした。
ボディはマホガニーの表面にメイプルを貼り合わせたラミネート構造。ネックはマホガニーで指板はローズウッド、またはエボニーという構成になっています。ボディとネックは一般的な弦楽器と同様に「セットネック」と呼ばれる方式で接着されています。ボルトオンと比較すると、振動の伝導に有利で、サスティーン(音の伸び)を向上させる効果があると言われています。
サーキットは2つのハムバッカーピックアップに、ピックアップセレクター、2ボリューム2トーンです。
サウンドは太く、歪み系エフェクターなどとの相性も抜群。いわゆる「ロックサウンド」を奏でるにもぴったりです。フロントピックアップをセレクトし、トーンを絞れば、ジャズやブルースににぴったりなメロウなサウンドをアウトプットすることも可能です。
フェンダー系ギターほどではありませんが、いくつかのバリエーションモデルやカスタムモデルが存在します。3ピックアップ仕様のモデルなどは見た目も派手で、特に人気です。
また、もともとはスチューデントモデル(廉価版)として発売されたレスポール・ジュニアやレスポール・スペシャルなども多くのギタリストに愛用され続けています。
ジミー・ペイジ、エース・フレーリー(ex-キッス)、ゲイリー・ムーア、ジョー・ペリー(エアロスミス)、ジョン・サイクス、ザック・ワイルド、ニール・ショーン(ジャーニー)、スラッシュ、鮎川誠、松本孝弘(B’z)、藤原基央(BUMP OF CHICKEN)他
これまでご紹介してきたエレキギターはすべてボディ内部に空洞のないソリッドボディのものばかりでした。それに対して、ギブソンを代表するエレキギターのひとつであるES-335は内部に空洞を持つ(ホロウボディ)もの。しかし、内部が完全に空洞になっているわけではなく、ピックアップが取り付けられているセンター部にブロックが入っています。
そのため、一般的なエレキギターに近い特性を持ちながら、同時にナチュラルでよりアコースティックなサウンドを得られるのです。
主にジャズやブルース系のギタリストに愛用されていますが、ロックサウンドとの相性も抜群。中域が強く、太いサウンドはディストーションの効いたリードプレイにもよくマッチします。
内部に空洞がある分、少しハウリングが起こりやすいという欠点がありますが、その分フィードバックを利用した演奏をしやすいというメリットでもあります。
ハードウェア、サーキットの構成はレスポールとほぼ同様ですが、アームが搭載されているモデルもいくつかラインナップされています。
ラリー・カールトン、デイヴ・グロール(フー・ファイターズ)、BBキング、ノエル・ギャラガー(ex-オアシス)、小沼ようすけ、和田唱(トライセラトップス)他
もともとはレスポールの次世代モデルとして開発されたソリッドボディエレキギターがSGです。発売された当時は、レスポールという名称でした。しかし、あまりにもレスポールとはかけ離れたシェイプ、スペックであったことから、名前を改めることになります。SGは「ソリッド・ギター」の略です。
ボディは、レスポールがマホガニーとメイプルのラミネート構造であるのに対して、SGはマホガニーのみ。ボディシェイプもシングルカッタウェイが採用され、ハイポジションのプレイアビリティが向上しています。
その他のスペックは基本的にレスポールと共通ですが、サウンドの傾向はかなり違います。ボディがマホガニーのみになったことによって、より中域が強調された太いサウンドが特徴です。一方で、ハイが控えめなことから、サウンドメイクによってはヌケが悪く感じられるかもしれません。
また、正式にはSGという名称ではありませんが、ギブソンのダブルネックギターはSGのボディシェイプをベースとしています。
トニー・アイオミ(ブラック・サバス)、アンガス・ヤング(AC/DC)、ピート・タウンゼント(ザ・フー)、デレク・トラックス、フランク・ザッパ、奥田民生、和嶋慎治(人間椅子)、招鬼(陰陽座)他
今回はエレキギターの中でも、定番として多くのギタリストに愛されているフェンダー系とギブソン系のものをピックアップしてご紹介してみました。
代表的なモデルだけでもこれだけ個性豊かなものが存在しています。
それぞれの特徴をチェックした上で、あなたにぴったりなエレキギターを探してみましょう!