ドラマーが防音設備のない自宅で、夜中に思い切り演奏するとどんな事が起きるでしょうか?きっと、ほぼ100%近所から苦情が来るでしょう。ドラムだけに限った話ではなく、楽器を好きな時間に演奏するのは簡単なことではありません。
そこで、注目を集めているのがVR(バーチャルリアリティ=仮想現実)です。実際の楽器を演奏するのではなく、VRの中で楽器を演奏。ヘッドフォンを使用して楽しめば、騒音の心配は要りません。さらに、実際の楽器演奏ほど技術を必要としないので、気軽に演奏を楽しむことができるのです。
もくじ
VR(バーチャルリアリティ)とは、コンピュータによって合成したCGやサウンドにより、現実のように感じられる仮想の環境を人工的に作り出す技術のことです。3次元空間に体が投影され、まるで自分がその空間に入り込んだかのような感覚を味わうことができます。
VR自体は昔からありましたが、最近になり音楽を含む多くの分野で本格的にVRがサービス化され始めました。その理由は、VRの環境を実現するのに必要な高精細な液晶ディスプレイを備えた、スマートフォンやデバイスが手ごろな価格になり一般消費者にも購入できるようになったからです。
VR環境が低コストに実現できるようになるにつれて、VRを用いたサービスが商業化できる段階になり、一気に注目が集まり始めたのです。
音楽業界においてVRの活用例はどのようなものがあるのでしょうか。主に2タイプに分かれます。
音楽のライブ映像やPVを360°VRで配信。視聴者はVRヘッドセットを付けてライブ映像を視聴することで、まるでライブ会場にいるかのようなVR体験ができます。
記事の冒頭で書いたようにVRで楽器を演奏する活用例です。実際に楽器がなくてもVRで楽器を演奏することができる多くのアプリがリリースされています。次から、具体的なデバイスとアプリをご紹介していきます。
VRで楽器を演奏するにはVRデバイスと、各デバイスに対応したアプリが必要になります。複数の企業がVRデバイスをリリースしていますが、今回はスマホでも有名な台湾メーカーのHTCが販売するHTC Viveをご紹介します。
価格:10万7784円(税込)
VRゲーム用に購入する人が急増中、大人気のVRデバイスです。他のデバイスとの大きな差は、「ルームスケール」と呼ばれる最大で5メートル四方を歩きながらVR体験ができる点です。人気が高く常に予約販売の状態で、2017年4月現在は入荷次第の発送です。
DrumKit VR ードラムセットをVR演奏
価格:498円
アプリの動作環境を満たしたパソコンとHTC Viveで、VRにおいて基本的なドラムセットの演奏ができます。ドラムの騒音問題に頭を悩ますドラマーにとっては朗報です。ドラムの演奏を音を出すことなく楽しめVRで完結します。これで騒音苦情への心配要らず!
SoundStageー音楽スタジオを再現
価格:980円
アプリの動作環境を満たしたパソコンとHTC Viveを使い、VRにおいて好みの楽器を配置した音楽スタジオを再現し、楽器の演奏ができます。
キーボード、シーケンサー、マラカス、ドラム、スピーカーなどの多種多様な楽器を自分でVRの音楽スタジオ内にセッティングします。HTC Viveのコントローラーを使って楽器を演奏することができます。
価格:129ドル(約14,000円)
アプリの動作環境を満たしたパソコンとHTC Viveを使い、VR上で楽器演奏ができるだけではなく、VR上から現実のMIDIコントローラーを動かし音を鳴らすことができます。
The Music Roomではドラム、シンセサイザー、ハープなどの演奏が可能。ドラムだと、Pearl 、Ludwig 、Sabianなど有名楽器メーカーのドラムのサウンドが再生される本格派で、現実にかなり近い演奏ができるのです。
The Music RoomがSoundStageと異なる点は、やはりVR上からMIDIコントローラーを動かし音を鳴らせて作曲もできる点。もはやDTMならぬVTMと呼ぶこともできそうです。
楽器というハードウェアが不要になり演奏するためのコストが安くなることで、いつどこでも周りに気兼ねなく楽器を演奏することが可能になりました。The Music Roomに見られるようにVRで音楽を演奏し、作曲していくことが当たり前の時代が来るかもしれません。
もちろん実際の楽器演奏の良さとは質が異なります。リアルもバーチャルも、双方異なった魅力を携えていることは間違いありません。しかしVRを利用することで音楽の演奏に対するハードルが低くなり、誰もが演奏を楽しむ時代へとまた一歩近づくのではないでしょうか。
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