「自宅で歌を録ってみたい……」とは思うものの、初心者にとって「どんな機材が必要か?」、「その機材がどのような機能を持つのか?」ということがわからないものです。
【うたってみた入門】個人のボーカルレコーディングに最適な場所とは?に引き続き、今回は「うたってみた」をはじめとする、自宅でのボーカルレコーディングに必要な機材をご紹介。各機材の特徴から役割、選び方まで解説していきます!
もくじ
自宅でのボーカルレコーディングに必要な機材、ソフトウェアは以下の通り。
・パソコン
・DAW(録音ソフト)
・オーディオインターフェース
・マイク
・ヘッドフォン
それでは、各機材の特徴や選び方についてみていきましょう。
現代のリアルタイムレコーディングに「パソコン」は欠かせません。パソコンには、「デスクトップパソコン」と「ノートパソコン」がありますが、“ボーカルのレコーディング”に関してはノートで十分です。逆に、“作曲や編曲”をする場合は、快適な作業環境を得るためにも、デスクトップをチョイスすることをオススメします。
モデルの選び方としては、家電量販店などに並んでいる商品ならどれでもOK。予算に余裕があるなら、優れた性能の「CPU」と「メモリ」を積んでいるパソコンを選ぶと良いでしょう。
また、「Windows」や「Mac」といったOS(オペレーションシステム)に関しては、「Windows」の方が使いやすいです。なぜなら、「Mac」はボーカルレコーディングに使用するソフトウェアおよびプラグインが対応していないケースがあるから。
もちろん「Mac」でもレコーディングは可能ですが、録音ソフト(フリーソフトも含む)の選択肢が狭まるので、慣れないうちは「Windows」パソコンを使って録音してみてください。
▲DAWの定番ソフト 「Steinberg CUBASE PRO 9」
ボーカルレコーディングにはパソコンに加え、「音声録音ソフト」も必要になります。音声録音ソフトといっても、実にさまざまなものがリリースされており、ネット上で無償公開されているフリーソフトもあれば、プロが仕事で使うような高機能な有料ソフトもあります。
その中でもオススメなのが「DAW(ダウ)」と呼ばれる音楽製作・音声編集の ソフトウェア。音楽製作に必要な機能を全て備えたソフトであり、レコーディングからミキシング、マスタリングまでDAW内で完結させることができます。
より簡単にいえば、自分の歌を音声データとして取り込むことができ、そのデータとカラオケ音源を混ぜ合わせるミキシングという作業まで、一挙に賄えるのがこのソフト。
DAWではなく、音声録音ソフトでレコーディングすることも可能ですが、その場合、ミックスは別のソフトウェアで行うことになります。結果として二度手間になってしまうので、最初からDAWを使った方が便利な機能を使える上、作業効率も良いのです。
元々、作曲・編曲用のソフトウェアではあるものの、ボーカルレコーディングでも大いに活躍するので必ず導入しましょう。ほとんどが市販の有料ソフトであり、金額も決して安いとはいえませんが、個人でのボーカルレコーディングには必須レベルのアイテムです。
▲初心者にオススメのオーディオインターフェース 「Steinberg UR22mkII」
こちらの「オーディオインターフェース」もレコーディングには欠かせません。この機材は「音の出入り口」の役割を果たす、いわば中継基地のようなもの。本体のUSB端子から、パソコンに接続して使用します。
▲一般的なマイクケーブル(キャノンケーブル)
「そもそもなぜこの機材が必要なの?」と思う方も多いはず。実は、レコーディング用マイクに使用される「キャノンケーブル」を、パソコンに直接繋ぐことができないからです。
それを可能にするのがオーディオインターフェースであり、パソコンとUSBで繋がったインターフェースにマイクを接続すると、自分の声を音声データとして取り込むことができるようになります。
実際、「Skype」などで使用する通話用マイクでもレコーディングは可能です。しかし、音質面でレコーディング用マイクに大きく劣ります。
“月とスッポン”といっていいほどの差があるので、声をキレイな音質で取り込みたいなら、必ずレコーディング用マイクを使用しましょう。そのためにも、オーディオインターフェースは率先して導入するようにしましょう。
▲ダイナミックマイクの超定番 「SHURE SM58」
もちろんマイクもレコーディングの必須アイテム。ここで覚えておきたいポイントは、マイクには大きく分けて2種類、「ダイナミックマイク」と「コンデンサーマイク」が存在することです。
上記の「SHURE SM58」は、カラオケボックスや練習スタジオ、ライブハウスなど、世界中のあらゆる場所で使われている超定番ダイナミックマイク。そんなダイナミックマイクの特徴は以下の通りです。
・さまざまな楽器のレコーディングにも対応
・耐久性に優れ、水や衝撃に強い(野外でも重宝する)
・“音の振動”で声を拾う
・目の前の声だけ拾う(単一指向性)
・音質はコンデンサーマイクに劣ることが多い(モデルによる)
・電源は不要
後述の「コンデンサーマイク」に比べ、耐久性に優れているダイナミックマイク。目の前の声だけを拾う“単一指向性”という特性を持ち、音質はコンデンサーマイクには劣るものの、とても頑丈なので多少乱暴に扱っても壊れにくいのが特徴です。それもあり、カラオケボックスやライブハウスなどで使われます。
一見すると自宅でのボーカルレコーディングには不向きな機材のように思えますが、単一指向性ならではのメリットも。目の前の声しか拾わないということは、屋内の雑音(家族の話声)や外の雑音(雨音、車の走行音など)が入りにくいので、自宅レコーディングに限っては向いている機材でもあるのです。
続いて、コンデンサーマイクもみていきましょう。
▲定番の入門用コンデンサーマイク 「RODE NT1A」
コンデンサーマイクはボーカルをはじめ、アコースティックギターなど、繊細な音のレコーディングに用いられるもの。その特徴は以下の通り。
・非常にクリアかつ繊細な音をレコーディングできる
・耐久性に乏しいので徹底した管理が必要
・“音の振動”+“静電気”で音を拾う
・マイクの周囲全ての音を拾う(無指向性)
・動作には電源が必要(ファンタム電源)
・高価なモデルが多い
声をキレイな音質で取り込める反面、衝撃に弱く(静電気で壊れることも)、耐久性に難があるのがこのマイクの特徴です。湿気から守るため専用のケースで保管したり、設置の際も丁重に扱う必要があるなど、決して雑には使えないもの。また、電源がないと動作しないので、「ファンタム電源」を搭載したオーディオインターフェースが必須となります。
価格帯に関しては、数千円程度で購入できるダイナミックマイクに対し、数千円〜数十万円までピンからキリまで。上記の入門用コンデンサーマイク、「RODE NT1A」は2万円程度で購入できますが、入門用でもこの価格ですから、決して安いとはいえないでしょう。
また、音質に優れているとはいえ、マイクの周囲の音を拾う“無指向性”という特性を持っていることから、外部ノイズを拾いやすいのも特徴の一つです。防音・吸音対策が徹底しているレコーディングスタジオならともかく、一般的な住宅では余計なノイズを拾うことが非常に多いので、性能をフルに発揮できないこともしばしば。
ダイナミックマイクでもそれなりの音質でレコーディングできますから、自宅の環境が整っている場合はコンデンサーを、ノイズを拾う可能性が高い場合はダイナミックをチョイスするのがオススメです。
▲密閉型ヘッドフォンの業界標準「SONY MDR-CD900ST」
テレビや雑誌などで、ヘッドフォンをしながらレコーディングをしているボーカリストを見かけたことはありませんか? レコーディングはカラオケ音源と、自分の声を聴きながら行うので、ヘッドフォンは必須。中でもボーカルレコーディングに最適なのが、「密閉型ヘッドフォン」です。
密閉型は文字通り密閉されているので、音漏れが非常に少ないのが特徴。コンデンサーマイクを使うと、ヘッドフォンの音漏れさえ拾ってしまうので、それを抑えるためにこのタイプのものが使われます。
また、ヘッドフォンを使用するメリットとして、「自分が今どの音程を歌っているのかがわかる」ということも。音程を安定させるためにも、ヘッドフォンはレコーディングに欠かせません。通勤や通学など、日常生活で使うイヤホンでも代用はできますが、音の解像度がまるっきり違うので、ここではヘッドフォンを強く推奨します。
いかがでしたでしょうか。自宅でボーカルレコーディングをするためには、上記の機材やソフトウェアが必須。全て揃えるとそれなりの金額になるものの、大切に扱えば数年は使い続けられるので、本格的に始めたい方は思い切って揃えてしまいましょう。
機材が揃ったら、次はボーカルレコーディングの実践。レコーディング方法はネットで検索するも良し、音楽教室でレッスンを受けるのも良しです。特にレコーディング経験が全くないという人は、プロから手取り足取り教えてもらうことをオススメします。あなたも楽しいボーカルライフをおくってみませんか?
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