【初心者向け】声楽の練習に最適な曲の選び方とおすすめ4選をご紹介
投稿者 :前川久仁子
もくじ
「声楽」をやりたいと決めたなら、やはりちゃんと習得したいですよね。実際にレッスンを始めてからも、自分でも色々と曲を試してみたい時、どんな曲を選べばいいでしょうか?
簡単に言ってしまうと、「声楽」は「声を楽器にするための訓練」です。
どんな大きなホールのステージで歌っても、一番後ろの客席まで声が響くように、ある意味トランペットのように、身体を使って声を出していきます。
歌詞を伝えるために声を鍛えるというイメージならわかりやすいかもしれませんね。
ジャズやポップスでも同じことですが、特にクラシックの場合は、マイクを使わずに声量を出しますから、いかに身体を使うことが大切かがわかります。
「声楽」で大切なのは、呼吸と発声です。
まず腹式呼吸をマスターし、それからその呼吸を使って、声を作っていきます。このことを「発声」と言いますが、この「発声」が本当に大切で、一番良い声を出すために、大げさでなく一生訓練を怠ってはいけません。逆を言えば、正しい発声を身に着けていれば、90歳になっても、100歳になっても、変わらず歌うことが可能です。それくらい、呼吸と発声は大事なことなのです。
「声楽」は「声を楽器にする訓練」とお伝えしましたが、声自体には種類があります。男女の違いや用途でも変わります。メジャーな声の種類は大きく分けて、男女それぞれ3部です。
ソプラノ(高音)
メゾ (中音)
アルト (低音)
テノール(高音)
バリトン(中音)
バス (低音)
これ以外に、男声にカウンターテナーと言う声種がありますが、これは中世以前のカストラートと言う、去勢して少年の声を維持した歌手の名残で、実際には女声のアルトの声と同じ音域で歌います。声を聴くと、ファルセットのようですが、きちんとした響きを持っている声です。
これらの声種は、オペラなどの役によってもう少し細かく分かれてきますが、基本的には持ち声の響きの違いで、自分の声種は決まります。なので、見た目が小さくてかわいらしい女性でも、声が太く暗めだと、お婆さんの役などを歌わざるを得ないと言うことも多々あるのです。
そういう意味では、練習曲集や歌曲集、オペラ・アリア集などは、声種別に編集されています。間違わないように、自分の声種を選びましょう。
オペラ・アリアに関しては、声種で役が変わりますから、やはり自分の声種を良く知って、それに見合った役柄の歌を選びます。キャラクターで苦労する人もいますが、表現する方法を見つけるのも「声楽」の醍醐味です。
実際に練習曲を選ぶ時はどんな曲が良いでしょうか。レッスンでも独学でも、「声楽」の練習曲としてオーソドックスなものを紹介しましょう。
「コンコーネ」は、イタリアの19世紀の作曲家、ジュゼッペ・コンコーネが作曲した声楽のための練習曲で、50番、25番、15番、40番とそれぞれ番号が付いています。この番号の順番に何に度が高くなっていきます。リコルディ社と言うイタリアの出版社から発売されていますが、日本には声楽家の畑中良助氏が編纂し、音楽之友社より出版されています。
畑中氏はこの練習曲集を「声楽を志す一生の教科書」と称し、何度も繰り返し歌うことを勧めています。
この「コンコーネ」と一緒に練習曲として取り組むのが「コールユーブンゲン」。
ドイツ語で「合唱練習書」と言う意味で、ドイツの音楽家、フランツ・ヴュルナーが1876年に刊行しました。日本ではソルフェージュや声楽の初心者向けの教材として使用されています。音楽大学の入学試験の課題としても適用されます。
和声などの感覚を得るための曲集なので、母音でフレーズを歌うなど、曲としては味気ないかもしれませんが、正しい音程を身に着けるには必要な曲集と言えます。
「声楽」を初めて、曲をレッスンする時、一番最初に選ぶのがこの「イタリア歌曲集」です。全音楽譜出版社から発売されている4巻からなる歌曲集で、男女それぞれ声種に分かれて編集されています。
これは19世紀のイタリアの作曲家アレッサンドロ・パリゾッティが、17世紀~18世紀のオペラや宗教曲などを編集し、リコルディ社から出版した物で、日本ではやはり声楽家の畑中良助氏が編纂し出版されました。
「声楽」を志す初心者のみならず、コンサートなどでも必ずプログラムに入る名曲ばかりです。古典曲ばかりなので、古いイタリア語が歌詞に使用されていたりすることもありますが、メロディが非常に綺麗で単純なだけに、詩を読んで歌うという感覚を育てます。
全音楽譜出版社の楽譜には、歌詞の日本語訳も載っていますから、内容をしっかりと把握して歌うことが可能です。この歌曲集も声種を間違えないで購入しましょう。
「声楽」のレッスンが中期に入ってくると、恐らく発声なども安定してきて、ある程度の難易度を持った曲も歌うようになるでしょう。
「声楽」を習得する意味を最も良く表現できるのが、オペラのアリアです。
オペラは基本的に、歌で物語をつづっていく形式のものですが、主に物語の経過は、セッコと言って、簡単な音楽で会話だけを取り出す場面や、アンサンブルと言う、その場面に登場している人物全員で重唱していく形式で展開していきます。
しかし、物語の中で重要な役柄の歌手が、その役の思いを一人で歌う場面があり、その曲のことを「アリア」と言います。
心情を語るということで、特別な曲が当てられており、有名な曲も多くあります。CMなどでも使われる曲は、ほとんどがオペラの「アリア」から引用しています。
こちらは、声種と役が直結しています。そういう意味では、アリア集を購入して曲だけをレッスンしてもよいのですが、歌いたい役があれば、オペラのボーカルスコア(ピアノ伴奏で全曲あるもの)を購入して、そのアリアの前後の場面も調べて歌うと、より内容が深まるでしょう。
前述でもご紹介しましたが、実際にお勧めの曲をご紹介します。歌っている歌手の表情や口元も参考にしてみてくださいね。
①「コンコーネ50番 No1:【中声用】ドレミ唱」
いきなり「ドレミ」で歌が始まった動画にびっくりした方もいらっしゃるかもしれませんが、「コンコーネ」は基本、「ドレミ歌唱」で歌います。音程の感覚を身に着けるためでもあります。しかし、メロディーは非常に綺麗で、音の並びも発声のためになるように配置されています。
②「コールユーブンゲン50番 – d」(伴奏付)Vocal Studies Maniwa
こちらも歌詞がない「ドレミ」唱のコールユーブンゲンです。コールユーブンゲンは基本は、正しい音程を取る訓練のために歌われますので、音を聴くとわかりますが、難しいですよね。例えば、最初音と、次の音の開きがかなりあったり、リズムがちょっと変則だったり。これはあくまでソルフェージュ力を高めるための曲の作りになっています。
③ジョルダーニ作曲「Caro Mio Ben(愛しい人よ)」 ルチアーノ・パヴァロッティ
もっともメジャーな古典イタリア歌曲でしょう。歌詞は「愛しい人よ 私を信じてほしい あなたがいないと、私はやつれてしまう」と言った内容です。イタリア語は母音を歌います。短い歌詞ですが、発声に良い言葉が並んでいるのも特徴です。
④モーツアルト作曲オペラ「フィガロの結婚」2幕 ケルビーノのアリア「恋とはどんなものでしょう(Voi che sapete)」
有名なオペラ「フィガロの結婚」の一場面です。アルマヴィーヴァ伯爵の小姓であるケルビーノが、憧れている伯爵夫人の前で彼女に当てたラブレターを読むという歌。
声種はメゾ。女声でありながら男役を演じることを「ズボン役」と言います。ケルビーノは15歳の少年と言う設定で、恐らくカストラートの名残とも考えられますね。曲も単純で、ヨーロッパの詩の特徴である、韻を踏んでいますから、最初のアリアとして良く歌われています。
ここまで、「声楽」のレッスンで必要な練習曲をご紹介しました。しかし、独学ですべてをこなすには、「声楽」のハードルは高いかも。そんな時はEYS音楽教室がお勧めです。
EYSでは、クラシック専門のコースも用意されており、現役声楽家の講師とともに、じっくりと声と向き合うことが可能です。もし、レッスンを受けている途中で方向性を変えたくなっても大丈夫。他の講師とのレッスンも受けられますので、納得いく時間を作ることが可能です。
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「声楽」は長い道のりです。身体は常に変わっていきますから、歌えるようになってくると、更に次のステップへ行きたくなります。EYSは、ずっとあなたをサポートすることができますよ。ぜひ、扉を開いてみてください!