基礎から声を楽しく学んでいこう!「声楽」男性編。
投稿者 :前川久仁子
「声楽」と言う言葉を聴くと、なんだか硬い感じがするかもしれません。しかし、難しく考えなくても大丈夫。「声楽」は、「声を楽器として表現する方法」。習得すれば、どんなジャンルの歌を歌っても、しっかりと身体が支えた声が出ます。もう少し、詳しくご紹介してきましょう。
もくじ
「声を楽しむ」と書いて「声楽(せいがく)」と読みます。文字通り、身に付ければ、「声を楽器として表現していく楽しさ」が満載です。実際には歌うことと、どうかかわっていくのでしょうか?ここでは、特に男性に特化して見て行きましょう。
「声楽」と聴くと、クラシックのジャンルのように思われがちですが、実際は「人の声で表現する曲」であれば、なんでも「声楽」となります。
西洋音楽に限らず、邦楽などでも「語りもの」「歌いもの」などではあれば、「声楽」と言って良いのです。
女性の声帯に比べて、男性の声帯は長く、そのために声が低く太くなっているのですが、特に男性が経験する声の変化ついて「声変わり」と言うものがあります。
女性にも当然あるのですが、男性の方が如実ですね。
だいたい、小学校高学年から中学生の間に、子供の声から、大人の声に変わっていきます。
その間、声帯の成長が上手く収まらず、ちょっとガラガラ声になったり、音程が取りづらくなったりしますが、ちゃんと筋肉が収まってくれば、滑らかに声が出るようになります。
そういう意味では、身体の変化と同じで、背が伸びたり、骨格がしっかりしてくるに連れて、声が決まってくるという感じですね。
男性の声も声域によって呼称が決まっています。
先ず、簡単に高い方をテノール。低い方をバスと言い、女性と合わせて混声4部合唱などをする場合は、この二つの分け方をしますが、基本的にソロでは以下の三つの声種で分けます。
実はこの三つ以外に、「カウンターテナー」と言う声種があります。これは、男性だけでオペラを上演していた時の名残で、本来は、「カストラート」と言い、男子に去勢を施すことで永遠に少年の声で歌うことを余儀なくされた歌手でした。映画にもなりましたね。
今現在は、「カストラート」は存在していませんが、その代わりとして、「カウンターテナー」と言う声種が活躍しています。
さあ、ご自分の声種がおわかりですか?実際に声に出してみて、初めてわかることもあります。しかし、闇雲に声を出しては「声楽」の意味がありません。ここはしっかりと方法を学びましょう。
「声楽」では、声を出す前に、その声をだすための発声法を学びます。そして、それに必要なのが「腹式呼吸」です。
これは、お腹が膨らむように息を吸い込み、口から出すという呼吸法ですが、マスターすると腹筋や背筋が強くなり、声を支えながら動くことが可能になっていきます。身体も締まってきますから、姿勢もよくなりますね。
そして、腹式呼吸ができるようになったら、口笛を吹くように口を少しすぼめて、息を吐きだしていきます。これは「ロングトーン」と言って、実際に歌う前に息の流れを作る訓練です。「ヒュー」と言う声を出してもいいですね。
息が入りにくい場合は、前かがみになって、わき腹に手をあててその手に向かって息を吸うようにすると、入りやすくなります。そして、そのまま身体を起こし、息を「すー」っと吐き出していきます。お腹が引っ込んでいくことを意識しながら、出来るだけ長く息を吐きだせるようにしましょう。
そして、最後にこの息を声にしていきます。
自分が声を出しやすい母音を使って、ロングトーンに声をつけていきます。その際大切なのは、声の響きを保つこと。
その声の響きが息に乗って、客席まで届くことをイメージしましょう。額の真ん中あたりに声を当てるイメージで出してみてください。
声の出し方も声種によって違ってきます。実際には声種は、その持ち声自体の「色」で決まります。そして、その「色」が一番良い響きになるような出し方するのです。
男性の場合は、アクートと言って、ある程度の高さ以上になると響きの位置を切り替えるようになります。例えば五線譜を超えるような高さの声は、アクートを使い、さらに高い声が出る準備をします。響きは基本額から頭の天辺に当てるイメージです。
中声のバリトンは、日本人にも多い声種ですが、女声と違って音域の幅が広いです。男声の楽譜は「ヘ音記号」ですが、時にテノールのような高さの音域からバスの低い音域までを歌うこともあり、全ての音に同じ響きが要求されます。パッセージと言う音階を良く使って練習します。
イタリア語で「低い」と言う意味ですが、今度は下の方に五線を超えそうなくらい低い響きで歌います。ロシア・オペラなどに多い役ですが、声だけ聴いていると響きがモーターの振動のように聴こえることもあるくらいです。その低さになると、むしろ身体全体に共鳴させるように響き作っていきます。
さて、今度は実際にその声の違いを聴いてみましょう。ここではクラシックの歌手たちを声種別にご紹介します。皆さんの声に近い響きがみつかるかもしれません。
プッチーニ作曲オペラ「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」
今世紀最大のテノール歌手、ルチアーノ・パヴァロッティ。一声聴いたら、その明るい響きで納得ですね。彼は「King of high C(キング・オブ・ハイ・ツェー)」と言われ、超難度の高い音を出すことでも有名でした。
ヴェルディ作曲オペラ「椿姫」より「プロヴァンスの海へ」
先ほどのパヴァロッティと比べて、明らかに声の響きに深みがあります。堀内さんの声は綺麗ですよね。欧米人に比べて骨が細い日本人ですが、ベルカント唱法を身に付けることで、逆に繊細な音色が可能になります。正に紺色のビロードのようなイメージですね。
モーツアルト作曲オペラ「魔的」より「この聖なる神殿では」
歌いだしは一瞬バリトンと一緒の感じでも、響きがある一定の深さを保って、音が下がるにつれて、その響きが身体に響いてくるのがわかりますね。この曲はバスの代表的な曲ですが、どんどん音程が下がっていくにつれて、楽器のような響きになっていきます。
シューベルト「Schwanengesang, D. 957: IV. Ständchen」
カウンターテナーの声もお聴きいただきましょう。音域はアルトに近く、この曲のようにバロックやそれ以前のオペラや歌曲を歌います。少し鼻に抜けるようなファルセットは、なるほど女性が歌っているように聴こえてきます。中性的な魅力ですね。
「声楽」と言っても、中々一言では語れない奥深いものですが、一人で学ぶのはやはり限界があります。でも、しっかりと身に付けたいとお考えなら、EYS音楽教室をお勧めします。
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声を出すには、準備が必要です。自分の声がどんな声種か理解するためにも、「声楽」は必要なプロセスです。しっかりと身体で覚えて、どんなジャンルの曲でも歌える声を創りましょう。是非、トライしてみてくださいね!