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JUN,2020
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【バイオリンの弓の毛替え時期・交換方法】おすすめの方法や注意点を現役講師が解説

投稿者 :石内幹子

バイオリンの弓の毛替えとは?

バイオリンを始めて1年、2年の方でも意外と「バイオリンの弓の毛替えが必要なことを知らなかった」と言う人が多いです。バイオリンの弦を交換するのと同じように、バイオリンの弓の毛も交換しましょう。なぜ弓の毛替えが必要なのか?弓の構造と、バイオリンの演奏への影響は、ぜひ理解しておきましょう。

弓の構造を知ろう

バイオリンは、弓で弦をこすって音を出す楽器です。ビオラやチェロも同じで、このような楽器を、擦弦楽器(さつげんがっき)と言います。

弓は、「毛、さお、毛箱(けばこ)、ネジ」のパーツから出来ています。毛は馬の尻尾を使用します。演奏する時はネジで毛を張って使用します。

馬の尻尾の毛には、人間の髪の毛と同じように「キューティクル」があります。このキューティクルのケバケバを利用し、松ヤニを塗ってこすることで、バイオリンの弦が振動して音が出る仕組みです。因みに、弓の毛が白いのは白馬の毛を使っているのではなく(笑)、漂白をしているからです。

弓の毛替えが必要な理由

弓の毛は、弾き込めば弾きこむほどキューティクルが剥がれて磨耗します。その結果、毛が切れて弓の毛の量が減ったり、毛がツルツルになって、いくら松ヤニを塗っても弦を十分に振動させる事が出来ず、音が出にくくなってきます。また、スタッカートやダイナミクスをつけたくても、弓の毛が痛んでいては、思うように演奏することが出来なくなります。弓の毛の量とキューティクルを十分に保つことは、バイオリンのパフォーマンスにも大きな影響を与えます。定期的に弓の毛替えをすることは、とても重要です。

弓の毛替えをしないと?

弓の毛は徐々に磨耗して行きますから、ある日突然、急に音が出なくなるような事はありません。演奏するごとに少しずつ摩耗するので、音が悪くなっていたり、弾きにくくなっていることに気付きにくいのです。気が付かないうちに、弱々しい、スカスカした音になっています。「一生懸命練習したのに、全然良い音が出ない!」なんてことになってしまいます。

弓の毛替えをした後は、「え?こんなに違うの⁈」と驚くほどです。私も何度も毛替えをして来ましたが、毛替えの度に「わぁ!やっぱり気持ちいいな!」と嬉しくなります。

弓の毛替えをするタイミング

毛替えのタイミングは、人それぞれです。たくさん弾く機会があれば、そのぶん毛替えのタイミングも早くなるでしょう。私は演奏会やレッスンでほぼ毎日バイオリンを演奏しますが、半年に1回くらいの頻度で毛替えをしています。

そこまで頻繁にバイオリンを弾いていなくても、1年に一度は、ご自身の弓の毛の状態を確認しましょう

弓の毛替えはどうしたらできるのか?

クレモナ ストラディバリウス

弓の毛替えは、残念ながら自分では出来ません。そもそも、馬の毛を自分で調達できる人はそういないでしょう。
弓の毛替えは専門の職人さんにやってもらいましょう。

毛替えの簡単な手順としては、弓から古い毛を取り外し、新しい毛の束を、毛量を調整し、毛の向きを整えて弓の両端にしっかり固定します。

弓の毛替えは職人さんに見てもらうのもおすすめ

前述のように、弓の毛替えは自分では出来ません。専門の職人さんにお願いしましょう。

職人さんは、適切な毛量も熟知していますし、毛替えに必要な専門の道具も揃っています。バイオリンの演奏に合うように馬の毛を選別し、下処理もしてあります。演奏した時に音のムラが出ないよう、専用の櫛を使い、綺麗に張ってくれます。毛替えに行った時に作業を見れるチャンスがあれば、ぜひ一度見てみて下さい。手際よく職人さんが毛替えする様子は、とても面白いですよ!

演奏家以上に職人は楽器のことを熟知している

日本には、バイオリンの工房が沢山あります。大概は、バイオリン、チェロ、ビオラ、コントラバスを同時に扱っていることが多いです。工房にいる職人さんは、自身で楽器を作ることはもちろん、楽器のメンテナンスや修理、弓の毛替え、楽器の販売を行っています。
楽器のことは演奏家より熟知しているので、色々なアドバイスもしてくれます!

職人はどこにいる?

個人で工房を開いている職人さんもいますし、クロサワバイオリンのような、バイオリン専門の店舗にもリペア専門の職人さんがいます。個人のバイオリン工房も、インターネットなどで探すことが出来ます。ですがいきなり、個人の工房に行くのはハードルが高いですよね?最初は有名なバイオリン専門の店舗に行くのがオススメです!

バイオリン初心者のよくある質問や不安を解消!

弦楽器 特徴

初めての毛替えには、不安がいっぱい。弓の毛替えが必要なのは重々分かったものの、不安が有れば毛替えに行くのも億劫になってしまいます。そもそもどうやって行ったら良いのか?いきなり行って良いのか?費用は高いのかな?などの不安を、毛替えをした後の注意点と共に解消します!

費用はどのくらい?

ズバリ!5,000円前後です。職人さんは、バイオリンの演奏に適した馬の毛を選別します。その毛の質によって、2~3ランクに分けているところが多いです。かなりこだわりの有る職人さんによっては、10,000円近くする最高級のこだわりの毛を用意しているところもありますが、私個人としては、最初は余り高い毛を張らなくても良いと思います。職人さんと相談して、自分の用途に合った毛を選びましょう。

やっぱり初めて毛替えに行くのは不安

初めて毛替えに行くのは、誰でも不安ですよね。。。まずは前述の、有名なバイオリン専門の店舗に直接行って見ましょう。電話をかけても良いですが、直接店員さんや職人さんとお話する方がダンゼン安心出来ます。その際に予約を取っても良いですし、職人さんが空いていればその場で毛替えをしてくれる事もあるので、楽器は持って行くことをオススメします。混み具合にもよりますが、通常、数時間から1日で仕上がります。
「バイオリンの弓の毛替えをお願いしたいのですが」
と切り出して見ましょう!

弓の毛替えをした後の注意点

毛替えをした後は、職人さんによっては「1時間はこのままにして、弾かないでくださいね。」などの注意点をもらう事もあります。何か注意点があった場合は、もちろん守りましょう。
何も注意点がない場合でも、「すぐ弾いて大丈夫ですか?」と確認しておくと安心です。
また、張りたての真っさらな馬の毛は音が鳴りませんから、毛替えをした後はたっぷり松ヤニを塗ることを忘れずに。。。

バイオリン初心者ならプロに習うのがおすすめ!

プロに習うのは、レッスンだけではありません!毛替えも是非プロに相談しましょう。プロは何度も毛替えをしています。自分の弓の毛替えのタイミングはいつなのか、数ある工房の中からどこに行けば良いのか、自分はどんな毛を選べば良いか、、など、どんな不安や質問にも答えてくれる事でしょう!

弓の毛替えなどのメンテナンスもプロに相談しよう!

バイオリンの弓の毛は徐々に磨耗しますから、毛替えのタイミングを知ることは、なかなか難しいです。プロにレッスンを受けていると、「もうそろそろ、毛替えした方が良さそうですね」と、毛替えのタイミングを見極めてもらえます。また、職人さんも紹介してもらえます。

「EYS音楽教室」をおすすめする理由

EYS音楽教室では、経験豊かな講師陣が、お客様お一人お一人に合ったレッスンをさせて頂いております。型にはまったメソッドはありません。やりたい事も、知りたい事も、人それぞれ違います。弓の毛替えのタイミングも、人それぞれです。そのタイミングに気付かなくても、講師より、楽しく丁寧にご提案させていただきます。是非、「体験レッスン」をお申し込みください。お待ちしております。

最後に

より良い演奏を可能にするためにも、弓の毛替えは必要です。
なぜ弓の毛替えが必要なのか、弓の役割や構造をしっかり知っておくことが大切です。最初は少し不安もあるかも知れませんが、行ってみるととても楽しいですし、毛替えをした弓を持って帰る途中はウキウキ、早く弾きたくてたまらなくなります。松ヤニをたっぷり塗って、新しい毛の弓で演奏した時の喜びは格別です!

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MUSIC LESSON LAB
投稿者
武蔵野音楽大学卒業。武蔵野音楽大学在学中、ステファン・グラッペリの音楽と出会いマヌーシュ・スウィングに傾倒。作曲、アレンジも手がけ、オーケストラや室内楽での活動のほか、ポップスからジャズまで幅広い分野で活躍。2013年に、フランスを代表するジャズ・ヴァイオリニスト、フローリン・ニクレスクをプロデューサー迎えてアルバム「Swimg from Paris」をパリでレコーディング、リリース。2015年〜2017渡仏。Didier Lockwood氏に師事。