【トロンボーンのメンテナンス講座 】おすすめのグッズや毎日のお手入れ方法を解説!
投稿者 :河野岳美
もくじ
トロンボーンといえばビジュアル的に伸びたり縮んだりしながら演奏されている姿が印象的な楽器ですね。トランペットなどのピストン楽器に比べれば作りとしては非常にシンプル。シンプルだからこそお手入れは大事ですし、やることは明確です。まずは主要なパーツをみていきましょう。
トロンボーンの最大の特徴がスライドです。あの伸びたり縮んだりしている部分。2本の並行する管の部分ですね。この管をスライド管といい、外管と中管の二重構造になっています。楽器は左手で保持し右手でこのスライド管を伸び縮みさせて演奏するので、滑らかな動きであることが非常に重要になります。
主管とは息がマウスピースからスライド管を通り、ベルへ到達する間の部分です。構えた時に頭の後ろで折り返している部分が抜き差しできる構造になっています。この部分をチューニングスライド、日本語で主管抜差管と言います。トロンボーンはスライドで楽器の管長を微調整できますが、まずはこの抜差管で楽器全体のチューニングします。
テナーバストロンボーンやバストロンボーンに搭載されているF管やD管への切り替えを担う部分です。このヴァルブの仕組みはいくつかあって、基本的なロータリーヴァルブやハグマン・ヴァルブ、アクシャル・フロー・ヴァルブなどが有名です。
ここではトロンボーンのお手入れに欠かせないオイルやグリスの使い方を確認しましょう。同じオイルやグリスという名前でも使用箇所が決まっているので間違えないようにしましょうね。
https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/winds/accessories/care/slo3/index.html
これらはメインのスライドを滑らかに動かすための必需品です。クリーム派かオイル派かで議論になったりとこだわりの強いアイテムでもあります。
基本的な使い方は同じで、スライド中管の先端、少し太くなっている部分に塗ります。この少し太くなっている部分をストッキング部と言います。クリームの場合、ストッキング部へ適量塗り伸ばしたらウォータースプレーで水を吹きかけます。その後外管をセットしてスライドさせて馴染ませます。演奏の途中で動きが鈍くなってきたら水を吹き掛けましょう。オイルの場合はウォータースプレーが必要ないので一手順少なくなりますね。
クリームの方が保つとか、オイルの方が簡単で操作感が軽いとか、それぞれを愛用されている方々にはそれぞれの言い分があるようです。一概に「ベストはこれ」というものがないんですね。というのもスライドを動かした感覚の好みだったり、楽器との相性だったりするので、ご自身の楽器で色々と試してお気に入りを見つけてください。
古いクリームやオイルが残っていると動きが悪くなる要因にもなるので、塗る前は綺麗なクロスで中管を拭き取りましょう。
https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/winds/accessories/care/sg4/index.html
ここで間違えてはいけないのが、上記のスライドクリームとは全くの別物だということです。これはチューニングスライド(主管抜差管)に塗るものです。粘度が高いので間違えてスライドに塗らないようにしてくださいね。
ゲル状のものやスティックタイプなど各社色々出ていますが、使い方はどれも同じ。チューイングスライドに薄く塗って伸ばすだけ。グリスの役割は固着を防いで気密性をあげます。毎回塗る必要はありませんがグリス切れには気をつけましょう。
https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/winds/accessories/care/ro4/index.html
テナートロンボーンにはロータリーがないので使いませんが、テナーバスやバストロンボーンには必需品です。一口にロータリーオイルと言いましたが、ロータリーに関わるオイルはローターオイル、ロータースピンドルオイル、レバーオイルと3種あります。全て使用箇所が違うので気をつけましょう。
ローターオイルはスライドレシーバーからローターへ注油します。ローターの内側へさすオイルです。ロータースピンドルオイルはロータリーバルブキャップを開けて中央の軸を支えている部分や回転軸の軸受けに使用します。レバーの取り付けてある支柱の軸受け部分にはレバーオイルを注油しましょう。
https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/winds/accessories/care/pcm3/index.html
楽器の表面を磨いたり、クリーニングロッドに巻きつけて管の内側を掃除するために使います。最近はスライド用のスワブも発売されているので日常のお手入れが楽になりました。チューニングスライドのようにしっかりと拭き取りたい時は昔ながらの方法でクリーニングロッドにガーゼの組み合わせがお勧めです。使用目的に合わせてお使いください。
使用するアイテムや使い方は前項を参考にしてください。楽器を出したら演奏する前に楽器の状態をチェックしましょう。
スライドの動きが鈍いとストレスですからね。まずはスライドのチェック。古いオイルを拭き取ってスライドクリーム、オイルを塗ります。水を吹きかけて外管セットして動かして馴染ませましょう。毎回やるの面倒と思うかもしれませんが、慣れれば数十秒で終わる作業です。癖付けてしまいましょう。
毎日注油する必要はありませんが動きのチェックはしてください。動きが悪ければローターオイルを差します。この時にオイルを入れすぎないようにしてください。入れすぎるとチューニングスライドまでオイルが回って、スライドグリスと混ざってロータリーに戻ってきてしまいます。そうすると動きが鈍くなるので注意しましょう。
演奏終了後、ケースにしまう前に軽く掃除しましょう。この作業も慣れたらどうってことのない作業です。楽器を綺麗にトラブルなく使うためにも大事です。
まずはウォーターキーから水分を抜きましょう。その後にクリーニングロッドにガーゼを巻きつけて管内の水分を拭き取ります。よくあるトラブルとして、ロッドを抜いたら管内にガーゼが残ってしまったというもの。こうなってしまうと非常に面倒なことになるので、ロッド引き抜くときはガーゼも一緒に持って抜いてください。
個人的おすすめはスワブを使う。目的も効果も一緒なのですが、ロッドにガーゼを巻きつけるという手順がないので少しだけ楽です。
https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/winds/accessories/care/clstb2/index.html
楽器の表面はラッカー塗装されています。中にはニッケルメッキやシルバーメッキ、ノーラッカーなんてものもありますが、そのような楽器はポリッシュの種類を変えましょう。ラッカー塗装にはラッカーポリッシュで。シルバーメッキの楽器はシルバーポリッシュ、ニッケルメッキ、無塗装のものはメタルポリッシュで磨くと光沢が出ます。これらは研磨剤なので使い過ぎには注意しましょう。
日常的には乾拭きするだけでもかなり綺麗な状態を保てます。手で触れる部分や水滴が放置されているような部分から塗装がはげてくるので、演奏が終わったら汗や水滴を拭き取ってからケースにしまいましょう。
スライドクリームを塗ってもすぐ動きが悪くなる。ロータリーが戻ってこない。ウォーターキーから水漏れするなど、トロンボーンのトラブルはすぐに気付けることばかりです。
いつもとなんか違うなと感じたら放置せずにリペアマンに見てもらうことをおすすめします。ちゃんと掃除をすれば直ることも多々ありますが、ロータリーを分解掃除なんて自分でやろうと思わないでください。かなり複雑で専門的な知識と技術が必要です。専門家に任せましょう。
楽器を始めたばかりだと、どうしたらよいのかわからないというか知らないですよね。最初は知らなくて当然です。最初に一度聞けばすぐ覚えられることばかりなので、恥ずかしがらずに楽器店のスタッフや先生に聞いてください。正しい知識を覚えてくださいね。
トロンボーンに限らず金管楽器のお手入れは非常にシンプル。ぶつけた、落としたなんてのを除けば日々の掃除で快適に演奏することができます。それでもどこかで調子が悪くなってくることがあります。なんか調子悪いなと思ったらすぐに楽器店で見てもらいましょう。もしあなたがレッスンに通っているのなら先生に相談するのも良いです。楽器を扱うプロなので、その場で直ることなのかリペアマンの手が必要なのか判断してもらえます。
楽器の手入れ一つでも相談に乗ってもらえる人が身近にいるって安心ですね。今この記事を読まれているほとんどの方が楽器を始めて間もない初心者の方だと思います。始めたばかりの頃に正しい演奏方法を身に付けることは非常に大事です。独学で学ぼうとすればできないこともありませんが、間違った練習を続けて変な癖をつける前に最初の基本的なことだけでも正しい技術と知識を教わることをおすすめします。
EYS音楽教室では現役で現場に立っている講師から、現場は引退したけど圧倒的な経験値を持って指導に当たる講師など様々な講師が在籍しています。一般的なレッスンは一人の先生について教えてもらいますが、EYS音楽教室ではレッスンごとに先生を選ぶことが出来ます。さらに他の楽器までレッスンの受講が可能。
同じパートに複数の講師が在籍しているのもEYS音楽教室ならでは。講師も人ですからどうしても性格的に合わないなんてこともあります。そんな時は次のレッスンから他の講師で受講できます。急にサックスに移動になりましたとか、実はフルートに憧れてて吹いてみたい、歌が好きだからボイトレも受けたい。こんな希望も同じレッスン費用で出来てしまうんです。
やりたいことを実現するためのレッスンですから、やりたいことができる環境というのは非常に大事です。
トロンボーンのメンテナンスについてご紹介してきました。トランペットやユーフォニアムのようなピストン楽器、ホルン、チューバのようなロータリー楽器に比べれば非常にシンプルな構造です。その分、スライドは変に力を入れてしまえばすぐに曲がって演奏できなくなるという繊細さもあります。日々のお手入れで快適なトロンボーンライフを楽しんでくださいね。