『 ビオラ 』 ―viola―
冬から春にかけて咲く一年草と同じ名前の楽器。
花のビオラは、一輪で咲くというよりは、他の花々と一緒になることでその魅力が解き放たれる「寄せ植え」に無くてはならない花といわれ、
楽器のビオラも、1挺(ちょう)で奏でるというよりは、「オーケストラや弦楽アンサンブル」に欠かせない楽器といわれています。
『ビオラ』という名前には、「周囲に力を与えながら、自らをも輝かせる」そんな意味が隠されているのかもしれません。
今回は、EYSプロデュースオリジナル楽器 ヴォイラ<La Campana(ラ・カンパーナ)>をご紹介します。
EYSプロデュースオリジナル楽器は、どれも楽器製作のプロフェッショナル達が、素材の選定から楽器の仕様、そして製作工程の一つひとつにこだわり抜いた一品です。シリーズ『EYSプロデュースオリジナル楽器STORY』では、そのこだわりの仕様をご紹介します。一つひとつの楽器に込めたEYSの想いも知っていただけたら幸いです。
「ヴァイオリンと何が違うの?」……はじめてビオラをみた人が最初に浮かぶ言葉かもしれません。大きな違いは、まずはその長さ。ヴァイオリンよりも10センチほど長く、全体のサイズ感もひと回りほど大きい楽器です。ひと回り大きいこともあり奏でる音色は、ヴァイオリンよりもやや低い音域で、人間の声に一番近いと言われています。
主旋律を弾くというよりは、周囲の楽器の音を引き立てる役割が多く、いわば縁の下の力持ち。そのためヴァイオリンほどメジャーではないものの、合奏の際にはビオラが欠かせない!と呼んでもらえる、目立たなくも安定した人気の楽器です。
そもそもビオラ奏者が少ないこともあり、ヴァイオリン奏者がビオラに持ち替えて演奏することも珍しくないとのこと。そういったポジションのせいか、10代後半にヴァイオリン経験もないのにビオラを始めたというプロの奏者がいたり、ビオラの落ち着いた音色をメインに据えた楽曲が多く作られるようになっていったり……。もしかしたら未だ知られていない魅力が隠されているかもしれません!
ビオラをはじめると、今まで見えなかった景色や、新しい扉が拓けそうです。
そういえば、令和天皇陛下もビオラを弾いていらっしゃるのは有名なお話。2019年にはトランプ大統領からビオラをプレゼントされたと話題になったことも。
いよいよビオラの時代の到来?!時代を先取りするためにも、その音色の魅力を存分に味わうためにも、今からスタートしてみてはいかがでしょうか。
「音楽教室」のEYSが、オリジナル楽器の製作にこだわる理由は、これまでのブログでもご紹介をさせていただいた通り。少し振り返りますと、実はEYSには楽器製作販売事業部があり、オリジナル楽器の製作や、楽器の価格比較、販売サイト「オトリエ」の運営を行っています。
世の中には様々なメーカーの楽器が販売されていますが、EYSは「楽器の値段は掛け値なしの正味の価値に合っていない」と考えています。つまり、楽器本来の素材・加工技術・品質からすると、もっと安い値段で買うことができるといいます。
それには、ブランド名やアンティーク的価値、そして装飾やデザインという要素が大きく関係しています。また、販売経路によってはその間で発生する手数料等でも値段が変わります。
でも、これらの要素は楽器の本質的な価値とは関係がありません。例えば、同じ工場で作られた全く同じ楽器であれば、ブランド名が刻印されているからと言って、音や操作性は何も変わりませんよね。
EYSではこれらの要素ではなく「素材と部品」と「加工技術」こそが、楽器本来の価値であると考えています。
楽器製作販売事業部では、この品質と価格の関係を明確にし、価値に見合った適正価格で楽器を提供することを目標に、楽器製作に取り組んでいるのです。
EYS-STYLEプロデュース オリジナルエレキギター登場!!
EYSプロデュースオリジナル楽器のコンセプトの一つは、「いつまでも使い続けることができるクオリティの楽器であること」。質の悪い楽器で練習を重ねても、良い音が出せない理由が、楽器のせいなのか、自分の技術のせいなのか…を判断することができません。「上達する感覚」を自分で感じられないのでは、やる気だって失せてしまいます。そのためにも「きちんと作られた品質の楽器を使うこと」が、上達への道となるのですね。
ヴォイラ<La Campana(ラ・カンパーナ)>のはじまりは、世界中のメーカーが会するフランクフルトメッセの会場。世界中のメーカーの中で、2nd Communityの担当者の目に留まったのが、とある工場が作るビオラでした。美しいフォルムと材料の質の良さ、ニス掛けの艶感もそん色ない仕上がりでした。試しにサンプル品の製作を依頼すると、製品のクオリティと価格のバランスの良さはもちろん、仕事の進め方も勤勉で、どこをとっても及第点を軽く越えていくのです。その理由は「どこにも負けない良い品物を作ろう」という熱意。工場は設立間もないこともあり、ものづくりに対する余りあるほどの活気がありました。
担当は、EYSプロデュースオリジナル楽器を冠するべく、弦高の高さやニスの仕上げなど細かい部分まで数十回にもわたるやり取りを実施。
音色はもちろん、考え抜いたサイズ感の扱いやすさ、合板ではなく単板を用いて、虎杢目の美しさを存分に活かしたフォルムに仕上げました。
「工場には、かなり細かい点にまで注文をつけましたが、順を追って一つひとつ対応してもらったお陰で、こちらの意図を組んだ仕上がりになっています」と担当。いつまでも使い続けたくなるこだわりの1本が完成したのです。工場のそうした対応力は、他の多くの取引先からも評価されたようで、現在は世界中から声がかかるようになり、製作楽器のアイテム数も増えているといいます。
ビオラを弾くことを楽しんでもらいたい、その要素を詰め込んだEYSプロデュースオリジナル楽器 ヴォイラ<La Campana(ラ・カンパーナ)>をぜひ、手に取っていただきたいと思います。
単板&虎杢目の美しさへのこだわりは、幾度となく工場とやり取りをしたポイントの一つ
EYSプロデュースオリジナル ビオラ<La Campana(ラ・カンパーナ)> は、虎模様の木目が美しいアンティーク仕上げ。 豊かでふくよか、落ち着きのあるビオラの音色 が鳴り響くように、さらにコントロールのしやすさと扱いやすさを追求し、 40.5センチの胴の長さを採用しました。
表板はスプルース、裏板はメイプルを使用。それぞれ合板ではなく単板からアーチを削り出したメイプルの虎杢(縞模様)が美しい逸品。ビンテージを思わせるニス塗装で、風格あるアンティーク調に仕上げました。
1本のメイプルから削り出した贅沢仕様。曲線が美しいフォルムのスクロール。またアッパーナットの弦高の高さ1ミリ以下を微調整し、弾きやすく疲れにくい高さを実現しました。
テールピースはフルアジャスターを標準装備。ビオラを首で押さえながら手元で調弦できるため、初めてビオラを触る方も調整をしやすく、扱いやすい設計です。
ペグ、顎あては黒檀仕様に。黒檀は非常に硬く耐久性がある素材。引締まった音と印象を与えます。汚れが目立ちにくいことも魅力です。
名門フランスのAUBERT社製のコマを使用。音の質は駒によって変わるともいわれる大切なパーツです。弾きやすさを考え抜いた、EYSオリジナルテンプレートによる仕上がりです。
サスティナブルとか、エシカルとか、SDGsとか……最近よく耳にしませんか?数年前からメディアで取り上げられてきた言葉ですが、昨今、TVCMや広告でさらによく見かけるようになりました。その狙いは、広く周知させる狙いもありますが、数年にわたり活動を続けてきたことが実績となり、多くの人の意識の中へ入ってきたのだと思います。
EYSプロデュースオリジナル楽器プロジェクトにも、「持続可能な社会を」というその精神が存在します。
EYS音楽教室のお客さまに提供する最大のサービスは、「音楽を楽しむこと」と「その上達」です。ですが以前現場では、生徒さんが自らが用意した楽器が悪いために、それが中々叶わない…という生徒さんを目の当たりにしていました。「どのくらい楽器を続けるかわからない」「初期費用をおさえたいから高額楽器は買わない」「初心者用とすすめられて」などの動機で購入した楽器の中には、粗悪品と呼ばれるものもあり、良い音を出すことが中々できないという生徒さんも少なくありませんでした。
講師はそんな生徒さんに対して「何とかしたい!」と、楽器の悪さをカバーするレッスンをしようと頑張りましたがしかし、それにも限界があります。
<音楽を楽しむこと>と<上達>、この2つを両立するには、価格の適正と品質の適性に優れ、上達後も満足して使い続けられる楽器を提供できる体制を築かなければならない。それがこのプロジェクトの始まりです。
それはまさに、サスティナブル――使い続けたいと思える楽器で、持続可能な音楽生活を提供することを意味しています。
ヴァイオリンから始まり、現在は20種以上の楽器を揃え、今後も増加&リニューアルし進化していく予定です。はじめての楽器として、第2第3の楽器として、みなさまの音楽を彩り、上達へと導いていく仲間として、今後もEYSプロデュースオリジナル楽器に注目していただけたら幸いです。