今回は、EYSプロデュースオリジナル楽器 テナートロンボーン<es Blute(エスブリュート)>と、テナーバストロンボーン<Blume(ブルーメ)>をご紹介します。
EYSプロデュースオリジナル楽器は、どれも楽器製作のプロフェッショナル達が、素材の選定から楽器の仕様、そして製作工程の一つひとつにこだわり抜いた一品です。シリーズ『EYSプロデュースオリジナル楽器STORY』では、そのこだわりの仕様をご紹介します。一つひとつの楽器に込めたEYSの想いも知っていただけたら幸いです。
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学生時代から好きだったロックバンドが、ある時期から全国ツアーに「ホーン・セクション」を帯同させるようになりました。それまでそのバンドの管楽器はテナーサックスのみ。そこにソプラノサックス、トランペット、トロンボーンが加わって、何とも豊かな音色を奏でるようになったのです。もともと好きで聴いていた曲に、新たな管楽器の華やかで伸びのある音色のアレンジが加わって、新しい魅力を放つようになりました。でも私にとっての魅力は、音楽だけではありませんでした。
Tシャツ&Gパン姿のバンドメンバー に対して、 ホーン・セクションの3人は、 タキシードのドレスシャツ&タイという装い。カッコよく着崩すその洗練された装いに、大人の色気と何とも言えないかっこ良さがあったのです。ついついバンドメンバーの後方で演奏するホーン・セクションの彼らの方に目が行ってしまう……そんな若かりし頃がありました。
トロンボーンは、管をスライドさせながら音程を変えて音を出す金管楽器です。二重構造になっている外側の管と、中側の管を動かして、楽器の長さを変えることにより音を出すのです。連続的&無段階に音程を変えることができるため、なめらかな音の変化が魅力。特に1音1音区切ることなく、滑るように音の高さを変えて演奏する「グリッサンド」という奏法で奏でる音の耳心地の良さに、うっとりするという方も多いのではないでしょうか。また、スライドさせる腕の動きが大きく派手なこともあり、演奏姿のカッコよさも他の管楽器よりも数割アップしそうです。
演奏できるジャンルは、管弦楽・吹奏楽でおなじみのクラシック音楽はもちろん、ジャズ・ポップス、ロックと幅広い分野で用いられています。
トロンボーンは、「ソプラノ」「アルト」「テナー」「テナーバス」「バス」と音域別、その形状別と様々な種類があります。ボアと言われる管の内径のサイズや、F管と言われるバルブの有無など、楽器の構造や形状が異なっています。例えばボアが太いものは、音量が豊かでハーモニーを作るのに適しておりオーケストラや吹奏楽で多く使われています。対して細いボアのものは、明るい音色の高音が特徴でジャズやポピュラーの演奏に。またその中間にあたる中細管のボアもあります。
他に、デュアルボアという中管スライドのサイズが上下で異なっている形状のものもあり、息の入りがスムーズともいわれています。
さまざまな種類があるトロンボーンですが、「自分が出したいのはどんな音か」「どんな音楽を奏でたいのか」を考えて選ぶのが良いそうです。あなただったら、どんなトロンボーンで演奏がしたいですか?
▼トロンボーンの種類や音の違いについてもっと詳しい記事がありますので参考に!
金管楽器トロンボーンはこんなに種類がある!音の違いや特徴を解説
「音楽教室」のEYSが、オリジナル楽器の製作にこだわる理由は、これまでのブログでもご紹介をさせていただいた通り。少し振り返りますと、実はEYSには楽器製作販売事業部があり、オリジナル楽器の製作や、楽器の価格比較、販売サイト「オトリエ」の運営を行っています。
世の中には様々なメーカーの楽器が販売されていますが、EYSは「楽器の値段は掛け値なしの正味の価値に合っていない」と考えています。つまり、楽器本来の素材・加工技術・品質からすると、もっと安い値段で買うことができるといいます。
では楽器の値段はどのように決まっているのか?
それには、ブランド名やアンティーク的価値、そして装飾やデザインという要素が大きく関係しています。また、販売経路によってはその間で発生する手数料等でも値段が変わります。
でも、これらの要素は楽器の本質的な価値とは関係がありません。例えば、同じ工場で作られた全く同じ楽器であれば、ブランド名が刻印されているからと言って、音や操作性は何も変わりませんよね。
EYSではこれらの要素ではなく「素材と部品」と「加工技術」こそが、楽器本来の価値であると考えています。
楽器製作販売事業部では、この品質と価格の関係を明確にし、価値に見合った適正価格で楽器を提供することを目標に、楽器製作に取り組んでいるのです。
▼詳しくは以下の記事をご覧ください!
EYS-STYLEプロデュース オリジナルエレキギター登場!!
EYS音楽教室が大切にしているのは、「きちんと作られた品質の楽器でレッスンを行って頂くこと」。質の悪い楽器で練習を重ねても良い音が出せないのは、楽器のせいなのか、自分の技術のせいなのか、その理由を判断することができません。「良い音が出せている!」という上達の感覚をいつまでも感じることができなかったら、やる気だって失せてしまいますよね。
「いつまでも使い続けることができる品質の楽器であること」をEYSプロデュースオリジナル楽器のコンセプトにしているのは、良い楽器を通して、上達する確かな手ごたえを、みなさまに感じて頂きたいと思っているからです。
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EYSプロデュースオリジナル楽器・トロンボーン製作の発端は、LITTN MUSIK社の職人さんとの出会いでした。その職人さんは、ドイツ在住のトランペットとトロンボーンを専門に製作を行うマエストロです。縁があり会うことができたEYS担当は、さっそく海外で購入してきたトランペットのサンプル品をみてもらうことにしました。ところが、「品質が低い」「この楽器では上達しない」と全ての商品についてダメ出しをもらってしまったのです。特に、ボアやバルブの寸法の質が低いと辛口の指摘が……だからといって、彼らに製作を依頼できるような予算はありません。
そこで彼らには、専門家の眼に叶うトロンボーンを量産できる工場を紹介してもらうと共に、オリジナルトロンボーン製作の監修に入ってもらいたいと交渉。快諾を頂くことができ、オリジナルトロンボーンの製作開始に至りました。
その後、LITTN MUSIK社と工場、EYSの3社を何度もやり取りし仕様を決定。可能な限りの高い品質のものを製作してもらえるようチェックを繰り返しました。EYS担当のしつこい?努力と、LITTN MUSIK社紹介工場の品質の高さもあり、予算の中で満足のいくオリジナルトロンボーンの製作が叶ったのです。
テナートロンボーンはもともとEYSでも人気の楽器でありましたが、近年、中高生の吹奏楽などで主流となっている手元で変調できるテナーバストロンボーンにも注目しオリジナル楽器のラインナップに加え、2種のトロンボーンから演奏したい音や音楽シーンに応じて選んで頂けるようにしました。
初心者の方はもちろん、長く愛用できる楽器を探している方にも!テナートロンボーン<es Blute(エスブリュート)>と、テナーバストロンボーン<Blume(ブルーメ)>を、ぜひ手に取って頂きたいと思います。
EYSプロデュースオリジナルテナートロンボーンは、LITTN MUSIK社監修のもと作られた楽器です。その製作工場でスタッフが目にしたそこには、クオリティの高い製品を作ろうと努力するさまざまな工夫と努力がありました。
素材の切り出し・ベル作り:これらの工程はこだわりの機械と熟練工により行われます。ベルの金型は、自社開発のものだけで約7,000種類あるそう。特にベルの縁加工は、世界に数台の希少な機械により行われる最先端技術です。
加工:抜差し管の曲げ加工は2回に分けて行っています。1回目は、おがくずを入れて人力で折れないように。2回目は、内側の形を整えるために玉をいれて機械で整形するそうです。ピストンは、機械を使い正確な長さに切り揃え、穴を開けたあと内側の油をきれいに洗浄します。
どの楽器にも言えることですが、楽器作りで大切なのは「正確性」です。トロンボーンのバルブ作りも、バルブが真円(まんまる)であること、その長さや内径が正確であることを重要視しています。嵌合(かんごう:はめあわせ)がピッタリしていないと良い音につながらないからです。寸法の正確さと、溶接の正確さが管楽器づくりの重要ポイントの一つとなります。
溶接:溶接位置がずれないよう溶接位置を指定するための金型を使用し、熟練工の手作業により行います。正確さを極め、その誤差は国際的な基準値の0.5mm以下。「溶接位置の金型を作るなんて、ここまでやっている工場は他にはない」と工場長。貝以外のパーツは全て自社で製作しているほどのこだわりです。
彫刻:見た目の華やかさも大切なポイントに。職人の手彫りによる深い彫りが印象的な美しい彫刻を施しました。
組立て・チェック:人の手により組み立てた後は、水の中に入れて空気が漏れていないか気密性をチェックします。抜差し管の嵌合性の高さや、金型をガイドにした溶接により高い気密性を誇る製品です。その後磨き上げを行い、その日のうちにラッカーをかけます。
検査:完成直後に1度目の検品を行うだけでなく、1週間後に2回目の検品を行います。これは時間経過による変形の可能性をチェックするため。7日過ぎても変形していなければ、人の手により一つひとつ梱包され出荷となります。
EYS到着後も再度検査を行い、みなさまのお手元に!丁寧に製作されたEYSプロデュースオリジナルトロンボーンをぜひ大切にして頂けたら幸いです。
B♭管。スライド外管サイズは細管12.5mm、スライド外管はイエローブラスを、スライド内管・抜き差し外管は初めての方でも演奏しやすい洋白(ニッケルシルバー)を使用しています。また、管内の水分を抜くためのウォーターキィ、スライドの保護用の石突きが装備されています。
抜き差し管にニッケルシルバー製のライトウェイトスライドを採用したことで、明るめの締まった音色と、速いパッセージに適したスムーズなスライドアクションを実現しました。
レシーバーは、イエローブラス。マウスピースが付属しています。
ベルは、ゴールドブラス一枚取りで丁寧に製作された直径204mmを採用。
上級モデルにしかないとされる手彫りによる彫刻が施されています。バランサーのポイントにEYSのロゴをあしらいました。
テナートロンボーンには、セミハードケース、クロスが付属しています。
B♭/F管。スライド外管サイズは、中細管13.7mm、スライド外観はイエローブラスを、スライド内管は初めての方でも演奏しやすい洋白(ニッケルシルバー)を使用しています。また、管内の水分を抜くためのウォーターキィ、スライドの保護用の石突きが装備されています。
ロータリーには、ボールジョイント式アクションを採用。耐久性もバツグンで、操作しやすいモデルです。
抜き差し管に、ニッケルシルバー製のライトウェイトスライドを採用したことで、明るめの締まった音色と、速いパッセージに適したスムーズなスライドアクションを実現しました。
ベルは、ゴールドブラス一枚取りで丁寧に製作された直径216mm。
上級モデルにしかないとされる、職人の手彫りによる彫刻が施されています。
レシーバーは、イエローブラス。マウスピースが付属しています。
テナーバストロンボーンには、セミハードケース、クロスが付属しています。
ある京都の老舗料亭が東京に支店を出そうと準備をしていた時「どうしてもいつもの出汁の味が出ない」ということがありました。同じ鰹や昆布を使用し、同じ職人がつくっているのに何故か……そう、それは「水」が違うからです。
冒頭でもふれましたが、 トロンボーンは 調べてみると特殊なものを含めて数十種にも及びます。大きさや長さ、カタチに工夫が施され、中には大胆でへんてこりんな形のトロンボーンもあります。
それぞれの音楽シーンに馴染むように、他の楽器と演奏することを前提に、音楽の種類や音域に合わせて用意されてきたのだと思います。それだけ人々に永年愛され続けてきた楽器なのですね。
美味しい出汁に出会った時、土地によって水の味が違うと感じた時、ぜひトロンボーンをはじめとした楽器にも、その土地で培ってきた地域ならではの音楽シーンや 音楽の種類に合わせ、多彩な形状のものが作られてきたことを思い出して頂けたら、音楽の愉しみがさらに拡がっていくのではないでしょうか。(かなり強引ですが。笑)
あなたもトロンボーンで演奏することや、多くの方と一緒に演奏して、音楽の世界を拡げませんか?EYS音楽教室なら、きっと叶えられますよ!
▼レッスンレポートの記事はこちら!ぜひご参考に
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