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MAY,2020
MAY,2020

EYSプロデュース オリジナル二胡<双王>(弓編)のご紹介!

# 楽器

投稿者 :佐藤拓也

みなさん、こんにちは!2nd Community(旧:EYS-STYLE/ブランドとしてはEYSの名前を引き続き使用)広報です。

今回は、オリジナル楽器製作の初期から今も根強い人気を誇るEYSオリジナル二胡<双王>(弓編)を改めてご紹介いたします。<双王>(本体編)と共に、ぜひ読んでくださいね!

これから新しい楽器をはじめようと思っている方はもちろん、すでに何かの楽器を学んでいる&演奏している方も!新しい楽器を買おうとする前に、ぜひEYSオリジナル楽器を知っていただきたいと思います。

EYSオリジナル楽器は、どれも楽器製作のプロフェッショナル達が、素材の選定から楽器の仕様、そして製作工程の一つひとつにこだわり抜いた一品です。

シリーズ『EYSオリジナル楽器STORY』では、オリジナル楽器こだわりの仕様とともに、製作のキーマンとなる楽器製作のプロフェッショナルたちの想いをご紹介します。ものづくりに真摯に向き合う彼らのストーリーを知ることで、二胡のイメージが広がっていったら嬉しいです。

二胡魅力はどんなところ?

二胡と言えば、中国4000年の悠久の美を感じさせる音色。「人の声に近い音」とも言われているそうです。たった二本の弦から生まれる独特の美しい音色は、多くの人の心を癒し魅了しています。EYSでは、音楽教育事業のスタート時から二胡のレッスンを設け、子供からシニア層へと幅広い世代が学んでいます。

二胡の構造はとてもシンプル。2本の弦の間に弓を挟み、弦を摩擦して演奏します。その振動が、へビの皮を張った筒に伝わり音が出るという仕組み。シンプルなだけに、音を出すことは比較的簡単です。初心者でも2~3回のレッスンで簡単な曲なら弾けるように。でも、美しい透明な音色を出せるようになるには話は別です。シンプルなのに繊細な奥深さがある、それが人気の秘密なのかもしれません。

EYSがオリジナル二胡を作る理由

「なぜ作る?」EYSオリジナル楽器

「音楽教室」のEYSが、オリジナル楽器の製作にこだわる理由は、これまでのブログでもご紹介をさせていただいた通り。少し振り返りますと、実はEYSには楽器製作販売事業部があり、オリジナル楽器の製作や、楽器の価格比較、販売サイト「オトリエ」の運営を行っています。

世の中には様々なメーカーの楽器が販売されていますが、EYSは「楽器の値段は掛け値なしの正味の価値に合っていない」と考えています。つまり、楽器本来の素材・加工技術・品質からすると、もっと安い値段で買うことができるはずということです。

では楽器の値段はどのように決まっているのか?

それには、ブランド名やアンティーク的価値、そして装飾やデザインという要素が大きく関係しています。また、販売経路によってはその間で発生する手数料等でも値段が変わります。

でも、これらの要素は楽器の本質的な価値とは関係がありません。例えば、同じ工場で作られた全く同じ楽器であれば、ブランド名が刻印されているからと言って、音や操作性は何も変わりませんよね。

EYSではこれらの要素ではなく「素材と部品」と「加工技術」こそが、楽器本来の価値であると考えています。

楽器製作販売事業部では、この品質と価格の関係を明確にし、価値に見合った適正価格で楽器を提供することを目標に、楽器製作に取り組んでいるのです。

詳しくはこちらのエレキギター誕生記事を御覧ください!↓

EYS-STYLEプロデュース オリジナルエレキギター登場!!

二胡製作を極める二人の巨匠との出会い

EYSオリジナル二胡製作に着手した際、EYSの担当がまずコンタクトしたのは、EYSでずっと二胡のレッスンを担ってくださっている村井講師です。「EYSオリジナル楽器にふさわしい楽器とは何か」を村井講師に伺っていく中で、二人の二胡の製作者のお名前があがりました。二胡本体の製作者である王乃正(ワンナイジョン)氏と、二胡弓の製作者である王小廸(ワンシャオディー)女史です。中国で最高峰の技術力を誇る製作者であるお二人に、「EYSオリジナル楽器製作を打診してみては?」とアドバイスいただいたのです。すぐさま担当は中国に飛び交渉。「会員さんをはじめ、多くの人に価値に見合う適正価格で楽器を作り提供したい」というEYS楽器製作のコンセプトにご快諾いただき、仕様を詰め、EYSオリジナル楽器の誕生に至りました。

EYSオリジナル二胡<双王>特徴をご紹介

さて、今回は二胡の演奏には欠かせない「弓」作る王小廸(ワンシャオディー)女史のEYSオリジナル弓の特徴をご紹介します。中国トップクラスの二胡奏者、宋飛氏も愛用し絶大なご支持を頂いているという王女史の弓。絶妙な角度で仕上げられたカーブ、手との馴染み深さなど皆様にもその魅力を存分に味わっていただきたいと思います。

EYSオリジナル楽器では、初心者の方にも二胡らしい柔らかな音色を奏でられるように、演奏が楽しくなるように。さらにお使いいただく方の技術が向上してからも、長く愛用していただけるスペックであることを大切に作っています。王女史の作る弓の中でも、EYSコンセプトに見合う仕様を選び作っていただきました。

奏者にとって最適とは何か。とことん突き詰めた1本

北京に工房を持ち二胡の弓を製作する王小廸(ワンシャオディー)女史は、北京民族楽器工場出身の著名な製作家です。二胡の弓は、細い竹と馬の尾の毛という天然の素材で作られています。以前は、弓の長さも馬の毛の本数も決められておらず、すべて職人の勘に頼って作られることが当たり前でした。しかし、そうした作り方に疑問を抱いた王女史は、試作品を作っては演奏家に繰返し試してもらうことで、弓の寸法や角度、しなり具合、馬毛の最適本数など「演奏者にとって最適な1本は何か」をとことん突き詰め研究し定量化、つまり標準化することに成功したのです。その上で、奏者それぞれの好みに合わせカスタマイズするという高い技術を習得していきました。

やがて王女史の作る弓は演奏家たちの間で評判となり、今では国内外の奏者たちから「ずっと使い続けていきたい、かけがえのない1本」として高く評価されています。

「私が材料として使っているのは福建省の竹です。福建省の竹は、宋の時代から良質と評され使われてきました。数ある福建省の山の中でも、山の栄養を存分に蓄えた山の上の方に生息する竹を使っています」十数年前までは、毎年山へ行き竹を直接見て調達していたそうですが、数年前からは王女史の好みやこだわりを理解した店主が、良いものだけを選定し送ってくるようになったとのこと。その中から王女史自らが目利きをし、一番良いものだけを加工しているそうです。

使う竹の種類や産地は、弓の製作者によって異なります。「私が使うのは、節が多く、細く長い竹です。粘り強いのが特徴です。最初は緑色をしていますが、太陽の下で幾日も乾燥させて色を付けて加工します」

太さは、6.8~8ミリ。奏者の力量やこだわりによって作り分けていきます。「EYSオリジナル二胡の弓は、癖のないものを選んでいます。太さは細すぎると弾きにくくなりますので比較的太く加工。初心者の方はもちろん、どなたでも使いこなせる仕様にしています」。

最も演奏しやすいといわれる馬毛の本数は220~240本。EYSオリジナル二胡の弓は全てこの本数で調整しています。「多過ぎると束が割れてしまいます。たまに量を増やし高い値段をつけている弓もありますが、あれは良くないですね。適正な量で作られていることは、演奏に大切なことなのです」。

弓の上部(先)  持ち手部分

二胡へのセットが簡単な、馬毛の部分が着脱式になっている北京式を採用。長さはビギナーに使いやすいことはもちろん、プロの多くの奏者も使用する82センチ。滑って怪我をしたりしないよう滑り止めをつけているところも王女史の優しさからデザインされたものです。

王女史は、二胡の標準化に成功したパイオニア

長さやしなり、馬毛の量と、適正な数値を導き出し弓製作に成功した王女史ですが、「天然の素材である弓の製作を定量化することはとても難しいことです」とのこと。竹の弾力やしなりなどを完璧に同一にすることは不可能に近く、馬の毛についても同じことが言えます。

それでも王女史が適正化の道を選んだ理由は、「それが、奏者のためになるから」です。一定の品質が保たれたものを使わなければ、自身の演奏技術が向上しているか否かを判断することが難しくなります。それ故、演奏技術の上達を望む学生さんたちにも王女史の弓が支持されているのもうなずけます。二胡の弓の標準化に成功したパイオニア。みなさんも、王小廸(ワンシャオディー)女史が作る弓で、ぜひ上達してほしいと思います。

小さな頃から刺しゅうなど細かい手作業が大好きだった王女史。北京の国立の弓工場で、「より良いものを作りたい」その一心で力をつけてきました。自身は二胡の演奏はさっぱり!とのことですが、「音が濃く、甘く、表現力が豊かな音の厚みを感じられるところが大好きです」と教えてくれました。趣味は旅行。特に日本に行くのが好きで数回訪れているとのこと。北京市内の工房には日本旅行の写真はもちろん、様々な場所を訪れた写真が飾ってありました。

「多くの奏者が、私の弓を素晴らしいと言ってくれることが、仕事への原動力になります。これからもがんばります!」と明るく優しい笑顔で取材班を迎えてくれた王女史。素敵なお人柄と細やかな優しさが詰まった王女史の弓を、EYSオリジナル二胡<双王>にも標準装備。ぜひその弾き心地の良さを実感し、上達につなげていただけたら嬉しいです。

【取材こぼれ話】

取材したのは3月。取材日は全人代にあたり工場などもストップ、北京の空は青く透き通るように晴れていました。取材場所となったのは、北京市内の国民住宅と呼ばれる集合住宅。王女史の商談スペースや、ちょっとした製作ができる工房の一室でした。眼下に広がるのは中国庭園のある広い公園。明るい陽射しが存分に入る素敵なお部屋で、取材班を中国茶でもてなしてくださり、二胡のオブジェとブローチのお土産までいただいてしまいました。取材中、近くの中央音楽学院に通う生徒さんが訪れ、二胡を目の前で演奏してくれその音色に感動!初めてお会いしたとは思えない人懐こく魅力あふれる素敵な女性でした。

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MUSIC LESSON LAB
投稿者
大手楽器メーカーで34年勤務し楽器の企画・開発・マーケティング・営業、そして3カ国10年の海外駐在でマネージメントを経験。昨春2nd Communityに入社し品質改善や商品企画を担当。現在新作エレキギター・電子ドラムのローンチや、イタリアの工房と共同でヴァイオリンの制作にも取り組んでいる。