みなさん、こんにちは!2nd Community(旧:EYS-STYLE/ブランドとしてはEYSの名前を引き続き使用)広報です。これから新しい楽器をはじめようと思っている方はもちろん、すでに何かの楽器を学んでいる&演奏している方も!新しい楽器を買おうとする前に、ぜひEYSオリジナル楽器を知っていただきたいと思います。
EYSオリジナル楽器は、どれも楽器製作のプロフェッショナル達が、素材の選定から楽器の仕様、そして製作工程の一つひとつにこだわり抜いた一品です。
シリーズ『EYSオリジナル楽器STORY』では、オリジナル楽器こだわりの仕様とともに、楽器へ込めたEYSの想いも知って頂き、クラシックギターのイメージが広がっていったら嬉しいです。
※ギターでは他にも、フラメンコギター、アコースティックギター、エレキギターをリリースしております!
ギターの魅力は、思い立った時にすっと構えてポロロン~と音を奏でられるその手軽さと、斜めに構えるかっこよさ!憧れる楽器という人も多いのではないでしょうか。
どんなジャンルの音楽でもいい感じに弾けるし、独奏でもバンドでもOK!メロディラインも伴奏もいけちゃう!しかも気軽に運べるコンパクトさ!と、こんなにできる奴ってそんなにいないと思うんです。
中でもクラシックギターは、そんなギターのポテンシャルを備えているだけでなく、指でそのまま弾くことができるし、アンプなしでも使える!と、まさに手軽度優等生。ぜひ、弾きこなしてもらいたいギターです。
「音楽教室」のEYSが、オリジナル楽器の製作にこだわる理由は、これまでのブログでもご紹介をさせていただいた通り。少し振り返りますと、実はEYSには楽器製作販売事業部があり、オリジナル楽器の製作や、楽器の価格比較、販売サイト「オトリエ」の運営を行っています。
世の中には様々なメーカーの楽器が販売されていますが、EYSは「楽器の値段は掛け値なしの正味の価値に合っていない」と考えています。つまり、楽器本来の素材・加工技術・品質からすると、もっと安い値段で買うことができるはずということです。
では楽器の値段はどのように決まっているのか?
それには、ブランド名やアンティーク的価値、そして装飾やデザインという要素が大きく関係しています。また、販売経路によってはその間で発生する手数料等でも値段が変わります。
でも、これらの要素は楽器の本質的な価値とは関係がありません。例えば、同じ工場で作られた全く同じ楽器であれば、ブランド名が刻印されているからと言って、音や操作性は何も変わりませんよね。
EYSではこれらの要素ではなく「素材と部品」と「加工技術」こそが、楽器本来の価値であると考えています。
楽器製作販売事業部では、この品質と価格の関係を明確にし、価値に見合った適正価格で楽器を提供することを目標に、楽器製作に取り組んでいるのです。
Camps(カンプス)はスペインバルセロナから地中海沿いを北東方向へ。山に囲まれたポルケレスという町に構えるクラシックギターやフラメンコギター製作を得意とする工房です。創業は1945年。現在2代目経営者として、職人としても名高いジョルディとハビエル兄弟の父親が創業。兄弟の父は楽器製作に関わる木材の種類やその扱いを熟知した職人であると共に、音楽家としても造詣が深く、多彩な魅力を持つ人でした。そんな父親に小さな頃から影響を受けて育った兄弟は、ごく自然に家業であるギター職人の道へと進んでいったのです。
現在は十数人の職人とともに年間約2000のクラッシックギターとフラメンコギターを生産、スペインを中心に世界中に販売しています。中でも、『エマノス・カンプス』というフラメンコギターのラインナップは、ジョルディとハビエル兄弟、さらに彼らの息子たちをはじめとした一族による秘法で年間50ほどしか製作されない稀少なギターとなっています。
EYSとの出会いは、世界的なメーカーの多くが集うドイツフランクフルトの国際楽器市でした。メイドインスペインのギター製作のこだわりとその魅力を知ったEYSスタッフは、ぜひEYSオリジナル楽器のラインナップに加えたいと交渉し、今に至ります。
EYSオリジナルクラシックギター<Vientos de Barcelona >は、18~19世紀に作り始められたクラッシックギターのかたちをそのまま受け継いで作られています。クラシックギター作りの歴史をみてみると、時代と共に様々な製法が試されてきたことがうかがえますが、ジョルディ氏によると、どの挑戦も原点に戻った形に落ち着いているそうです。カンプスでも18~19世紀頃のスペインのデザインを受け継いだ形を作っています。その作り方の特徴とは、一つひとつを丁寧に組み上げていくということに尽きるということです。最初にネック材に表板を接着し、その後型を使いながら側面を貼り、最後は裏面を取り付けていくといった方法で、大量生産でよく用いられているようなネックとボディを別々に大量に作り、最後に一気に接着をしていくといった方法ではありません。
18~19世紀に作り始められたクラッシックギターの原型をそのまま受け継いだ伝統のデザイン。使いやすさと全体のバランスの良さには定評があります。愛着を持って長くお使いいただける逸品です。
表板にはシダー材を、サイドとバックには、ジリコテ ( ZIRICOTE ) を使用しています。 音の立ち上がりが速く、クリアに響くといわれている素材です。 ジリコテは硬いながらも弾力性があると言われ、希少性のある高価な木材です。カンプスが培ってきた独自の目利きにより、厳選した材料を用いています。
仕上げは、表板からサイド、裏板にかけてグロッシーバニッシュフィニッシュに。ニス(ポリウレタン樹脂)の厚みを極限まで薄くし、高い保護力と軽量化の両者を実現。扱いやすく、弾きやすく。奏者のために考えたこだわりです。
フィンガーボード(指板)は、クラシックギター特有の柔らかな音を奏でられるようローズウッドを選定。幅は(上駒部)52mmと人間工学に基づいた幅は、スムーズにスライドでき弾きやすいだけでなく、疲れにくさも両立しています。
クラシックギターのペグは、歯車の見えるオープンギアのものが多く、このギターもオープンギアを採用。
ブリッジは高級素材のインディアン・ローズウッド(インド紫檀)を標準装備。
弦は、安定した品質で弾きやすいと定評のある ダダリオ (D’Addario )社のナイロン弦を使用。
ロゼッタのデザインは、Campsの多くのモデルで採用されているオリジナルデザインです。
ジョルディ氏に、ギター工房として苦労していることは何か、を問うと「とにかく時間がかかること」だといいます。使用する木材は年々高騰し、満足のいく材料を探し出そうとすればするほど、時間も費用もかかってしまうのだそうです。さらにジョルディ氏のギター作りは、機械ではなく手作りで行う工程が多いため、一つのギターを作り上げるには相応な時間を要するとも。妥協しないモノづくりを貫いているジョルディ氏とって、そのこだわりは相当なものだと想像がつきます。
以前、広島県呉市にある創業130余年の老舗企業ツボサン株式会社が作り出す「やすり」が、ジョルディ氏のギター製作に欠かすことのできない道具であるとテレビ番組で紹介され、話題になっていたことがありました。良い楽器を作ろうと良い道具を探し求めていったジョルディ氏の強いこだわりが、メイドインジャパンの道具へとつながっていったということでしょう。
EYSのインタビューにもジョルディ氏は、「最高の音をお届けできる自信があります」と言い切ります。父親からの技術を受け継ぎ、それを高みへと押し上げ、さらに次の世代へ引き継いでいく。『カンプス』が冠するものづくりへの深い想いを、EYSオリジナルクラシックギターを通して、いつまでも大切に楽しんでいただけたら嬉しいです。