世界には信じられない能力を秘めた歌手がいます。
中でも好奇心をくすぐられるのが、ひとりで同時に複数の声を出すという唱法。
とても同じ人間とは思えない、驚異的な歌い方をするボーカリストたちを動画とともにご紹介します。
もくじ
アメリカ合衆国のソウル歌手、レイラ・ハサウェイ(Lalah Hathaway)はゲスト歌手として招かれたとあるスタジオライヴで重音唱法を披露し、観客だけでなくバンドメンバーをも驚かせました。
その模様は下の動画の5分55秒くらいから観ることができます。軽快なスキャットを披露する彼女はまず6分12秒付近で立て続けに和音に聴こえるボーカルを披露。バンドメンバーも何が起こったんだ!?というような興奮の表情を見せます。
その後、彼女が4回目に完璧な音程でその技を再び披露した瞬間、驚きのあまりドラマーは演奏を止め椅子から逃げ出しそうになってしまいました。
ドイツ出身のヴォルフガング・サウス(Wolfgang Saus)は有名なクラシック曲「パッヘルベルのカノン」のベースとメロディーを一人で同時に歌うという驚異的な倍音唱法を披露しています。
とても同じ人間の能力とは思えないほど完璧なこの動画は、バリトン歌手出身の彼のユニークな才能を示すとともに、誰もが愛するこの古典曲のメロディーが常に最低音の倍音の中にあり、非常に自然で調和がとれているという事実を提示しています。
伝統的な倍音唱法と言えばモンゴルの「ホーミー」や隣接するトゥヴァ共和国の「ホーメイ」が広く知られています。
ロシア連邦・ トゥヴァ共和国出身の歌手サインホ・ナムチュラク(Sainkho Namtchylak)は自身の表現の中で倍音唱法を多用しています。
彼女は7オクターブともいわれる広い声域と技術を持ち、仏教的な思想や電子音楽なども組わせた伝統と前衛が入り混じるパフォーマンスは世界中で称賛されています。彼女の前では音楽の“ジャンル”など全く意味を成しません。
ドイツのアンナ=マリア・ヘフェレ(Anna-Maria Hefele)も倍音唱法の達人です。
美しい声で2つのメロディーを同時に操る彼女の歌はインターネットでも広く拡散され、人々の知的好奇心を大いに刺激しました。
通常の女性のハミングのような声に加え、超音波かと思うほど高く神秘的なメロディーも同時に聴こえたらもう耳が離せません。数分後、倍音唱法のやり方を検索したあなたはきっと部屋でひとり奇声を上げていることでしょう。
人間の声や歌というものはとても奥が深いものです。
このような超人的な歌を聴くと、まだまだ人間には秘められた可能性がありそうだな、と感じます。