オペラにはどんなイメージがありますか?「気軽に観にいけない」、「そもそもオペラがどんなものかよく分からない」、「音楽の時間に習ったけど身近じゃない」など、ネガティブなイメージを持っている方も多く、なかなか敷居の高い印象のあるオペラ。
一方、最高のステージためなら世界中のオペラ座で鑑賞するわ!という熱狂的なファンも多いのもまたオペラなのです。今回は、オペラの魅力やトリビアをご紹介いたします。
もくじ
「オペラ(opera)」はイタリア語で「作品」を意味しています。元々「オペラムジカーレ(opera musicale)」、つまり音楽的作品と呼ばれていたのですが、今日では単に「オペラ」と呼ばれるようになり、歌唱によって進行される演劇や楽曲作品のことを指しています。
「歌劇」とも呼ばれるオペラ。芝居とは違い、ほとんどのオペラは台詞にメロディーがついています。歌と演奏が加わることで物語の印象や表現がより豊かになり、普通の芝居鑑賞とはまた異なる魅力があります。
オペラの魅力は音楽だけでなく、演劇、文学、舞台装置や照明、衣総など全ての要素が融合された総合舞台芸術であるということ。ひとつのオペラの世界を演出するためにさまざまな工夫がなされ、観る人を楽しませてくれます。
一流の歌手とオーケストラの演奏を、豪華絢爛な劇場で楽しめるのが最大の魅力です。オペラは全て生公演。同じ演目でも歌手の個性によってガラリと雰囲気が異なります。また、作曲家の遊び心やこだわりが随所に隠されていたりするので、それらを見つける楽しさもあります。知れば知るほど魅力的で奥が深く、虜になる人も多いのです。
オペラは16世紀ごろ、イタリア・フィレンツェで生まれました。そのころのフィレンツェはルネサンスの真っ只中。メディチ家を始めとする貴族たちは美術家だけでなく音楽家もたいそう手厚く庇護し、後世に残る傑作を多く創作させました。古代ギリシャで演じられたギリシャ悲劇を復活させるため、音楽家に歌劇の制作を依頼したのがオペラのはじまりです。
後にルネッサンスの中心地だったフィレンツェからヴェネツィアなどにも広がり、貴族の嗜みから市民も楽しめる芸術へと変化していきました。
ヴェルディやプッチーニなどが活躍した19世紀に全盛期を迎えます。当時は映画などの娯楽はなかったので、オペラがその代わりを果たしていたのです。なんとも優雅で粋な娯楽ですね。
徐々にヨーロッパ各地に広まり、単にイタリアのオペラを模倣するのではなく、各国独自のオペラが生まれ始めます。オーストラリアのモーツァルトやドイツのウェーバー、フランスのビゼー、ロシアではチャイコフスキーなどがさらにオペラの幅を広げました。
フランスには18世紀に入ってオペラが広まり、パリではさらに豪華さを極めたグランド・オペラが生まれます。また、20世紀に入るとアメリカでジャズとオペラが融合した作品「ポーギーとベス」が初演され、新大陸でもオペラの人気が高まりました。
オペラ劇場を持っているかどうかで街のレベルが決められた時代もあり、イタリアやフランス、ドイツの大都市では豪華絢爛なオペラ劇場が建てられました。
数多くあるオペラ作品。初心者の方は、ストーリーが分かりやすい作品から観てみるのがオススメです。今回は、3つご紹介します。
貴族と家来や農民という階級社会を舞台に繰り広げられる恋愛ストーリーですが、様々な愛情の描き方が素晴らしく、最後の幕がオペラ史上もっとも完璧な作品と称される作品です。
医者の姪に恋をした伯爵が、何でも屋(床屋)フィガロの助けを借りて、悪者の医者の目をごまかし彼女に思いを伝え、恋を成就させるコメディ要素たっぷりのラブストーリー。
明治時代の長崎を舞台に、アメリカ海軍兵・ピンカートンに嫁いだ蝶々夫人の物語。蝶々夫人は純愛を貫きますが、相手はいわゆる現地妻としか考えていなかったという悲哀を描いています。日本人が登場することもあり、国内でも人気の高い作品です。
ざっとオペラの歴史と作品をご紹介してきました。
後半では、一度は訪れたい世界の劇場とオペラ観劇のマナーについて書きたいと思います。
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