ギターは比較的自由なスタイルでプレイされることの多い楽器のひとつです。もちろん、効率的に上達するためには、基礎的な奏法からしっかりと身につけていく必要があります。とはいえ、せっかくギターを手にするのであれば、派手でトリッキーなテクニックにも挑戦してみたいという方も多いのではないでしょうか?
トリッキーなテクニックがなければギターをプレイできないというわけではありませんが、マスターできれば、より表現の幅を広げてくれることは間違いないでしょう。
また、そんなテクニックを極めていけば、あなたのギタリストとしてのアイデンティティ的なものとなってくれるかもしれません。
そこで、今回はもっとギターという楽器の可能性を広げてくれるトリッキーなテクニック、プレイについてご紹介していきましょう。
エレキギターが量産され、ロックやポップスなどのジャンルで使われる定番楽器となったのは1950年代のことでした。その直後から、従来のギターや弦楽器とは違ったトリッキーなテクニックが次々と生み出されています。
中には今では定番テクニックのひとつとなったものも。
そこで、まずは、昔ながらのトリッキープレイからチェックしていきましょう。
〈アーミング〉
エレキギターが誕生した1950年代から、その機能のひとつとしてアームが搭載されたものも少なくありませんでした。フェンダーのストラトキャスターに搭載されたトレモロや、フルアコースティック系ギターで多く見られるビグズビースタイルのものなど、さまざまな形状のものがあります。
当初、これらのアームは軽くビブラートをかけることを前提に作られたとされています。ですが、このアームを大胆に使うことによって、大きく音程を変化させる奏法を駆使するギタリストも少なくありません。
また、音程を下げるダウンアーミングのみでなく、アームユニットをフローティングさせることで、音程を上げるアーミングも演奏のアクセントとなります。
もちろん、しっかりとセッティングしなければチューニングが狂ってしまうというリスクもありますが、うまく使いこなせれば大きな武器となるでしょう。
〈タッピング〉
右利きの方の場合、通常は左手で押弦し、右手でピッキングすることによって音を出します。この基本的なテクニックを覆してしまったのがタッピング奏法です。
そのルーツには諸説ありますが、この奏法をロックシーンでメジャーにしたのはエディ・ヴァン・ヘイレンでしょう。ピッキングする代わりに、右手で指板を叩くことによって音を出す奏法ですので、当時は「ライトハンド奏法」とも呼ばれていました。
この奏法は単にトリッキーなだけでなく、通常のスタイルではとても弾くことができない広い音階をカバーすることができるというメリットもあります。
今日では、両手でまるでピアノのように指板を叩くといったスタイルのタッピングを駆使するギタリストも多く、まさにギターという楽器の可能性をより広げてくれる奏法といえます。
昔から新しいギターのプレイスタイルは誕生し続けてきましたが、今日でも次々と新しいテクニックが生み出されています。
そこで、ここからは比較的新しいトリッキーなプレイをご紹介していきましょう。
〈ギタースクラッチ〉
ギターでスクラッチというと、ピックで弦を擦る「ピックスクラッチ」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
ですが、ここでご紹介するスクラッチは少し異なっています。ヒップホップなどで、DJがレコードを使って行うスクラッチ音をギターで再現するといったテクニックです。90年代から2000年代にかけてミクスチャーロックシーンをけん引したレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロが多用していました。
方法は案外簡単で、両手を使って弦を擦るというもの。歪ませ方や、擦り方によっても鳴り方は変わりますので、いろんなセッティング・方法でチャレンジしてみましょう。
モジュレーション系のエフェクターなどを使用すると、よりリアルなスクラッチサウンドを再現することも可能です。
〈フェイクエコー〉
エコーはエフェクターによってかけるもの…一般的にはそうなりますが、これをプレイヤーの手によって再現するのがフェイクエコーです。90年代から2000年代に活躍したパンテラの元ギタリスト、ダイムバッグ・ダレルの代名詞的なテクニックとして知られています。
具体的な方法は、右利きの方も場合、左手で押弦し、右手でピッキングし、音を鳴らします。そしてすぐにハイポジションへとスライドします。そして、まだ音が鳴っている状態で今度は右手で最初に鳴らしたポジションを押弦。そして、左手でプリングし、また右手をハイポジションへとスライドさせ、これを繰り返します。
言葉で説明すると少し難しく感じられるかもしれませんが、慣れてしまうとそれほど難しくはありません。視覚的な効果も高いので、ライブなどで派手なプレイをしたいという方は練習してみてはいかがでしょうか?