音楽を理論的に聴いたり、演奏する…いきなりこんなことを言うと、拒否反応が出てしまう方もいらっしゃるかもしれません。
理論というと、とても複雑で難解なものに感じられるかもしれませんが、世の中の音楽のほとんどは理論によって成り立っています。また、あらゆる音楽が理論によって説明することが可能です。
ギターをプレイする方が、当たり前に使っているコードだって理論に基づいたものですし、スケールだってそうです。
つまり、理論そのものを深く理解していなくても、コードやスケールなどをある程度覚えれば、音楽理論を駆使した演奏や曲作りができるのです。
今回は中でもコード進行について考えていきましょう。当たり前ですが、適当にコードを並べただけでは曲の形にはなりません。ある程度のルールに基づいてコードを展開していく必要があるのです。
では、どんなルールのもとでコードを展開すればいいのでしょう?
そもそもコード進行ってなに?という方も多いかと思います。これを理解するためには、まずコードとはどういったものなのかを理解する必要があります。
コードはご存じの通り、複数の音を重ねたものです。その音の組み合わせによって、響きはまったく異なっています。
そして、コードにはその響きによっていくつかの役割があります。ざっくり言ってしまうと、「安定」したコード、「不安定」なコード、そして「中間」のコードなどがあるのです。ずっと「安定」したコードばかりを並べても、逆に「不安定」なコードばかりをならべても曲にはなりません。
それぞれのコードの特色を活かして、配置する必要があるのです。これがコード進行です。
もちろん、それぞれのコードの持つ役割を理解できれば、自分のイメージに合わせて進行を作っていくこともできます。しかし、そのためにはより深くコード理論を理解する必要があり、初心者の方にはハードルが高く感じられるでしょう。
ですが、ポップスやロックの場合、ある程度「定番」と呼ばれるコード進行があります。これを覚え、活用することからはじめてみましょう。
実際に、有名な楽曲でも、進行をチェックしてみるとまったく同じだった…なんてパターンも少なくありません。ポップスやロックなどで使われることの多いコード進行は限られていますので、覚えるのはそれほど難しくはありませんし、これをベースにしてオリジナル曲を作ることもできてしまいます。
それでは、具体的に定番と呼ばれるコード進行をチェックしていきましょう。
先ほど、ポップスやロックで使われるコード進行は限られているとお話しましたが、それでもいくつものバリエーションがあります。
そして、それぞれ異なった印象が与えられますので、イメージに合ったものを選ぶ必要がああるのです。
そこで、いくつかの定番コード進行と、その特徴をご紹介していきましょう。
ここでは分かりやすく、Key=C、つまりハ長調でのコード進行で説明します。
♪ 安定→不安定→安定
もっともシンプルなコード進行のひとつが、C→G7→Cというもの。ここに、コード進行組み立ての基本が詰まっています。
Cはとても安定したコード。それに対してハ長調でのG7は不安定で、Cに戻ろうとする作用があります。なので、安定したコードで不安定なコードを挟んだ形になります。
多くのコード進行が、安定したコードからはじまり、不安定なものを経て、再び安定したコードに着地する形になっています。
このC→G7→Cという進行は、そのもっともシンプルな形なのです。
この進行を少し広げ、C→Am→G7→Cといった形でも使われます。こちらも安定→不安定→安定という進行です。AmはCの代理コードにあたり、安定したものですのでこの位置に入れても安定→不安定→安定という流れは変わらないのです。
代理コードにはこのほかにもEmなどさまざまなものがありますので、この進行をベースとして、さまざまな形の曲に使えます。
♪ 中間を加えたコード進行
すでにご紹介しました通り、コードの持つ役割には上記の安定、不安定とは別に中間というものがあります。
この中間はその名の通り、安定と不安定の間にあたり、さまざまな進行の間に入れることができます。
例えば、C→Dm→G7→Cといった形になれば、安定→中間→不安定→安定という進行になります。
この中間コードを入れることによって、より自然に安定したコードから不安定なコードへと繋ぐことができます。
あまりコードの雰囲気の差を付けたくない場合などに、この中間コードが活きてきます。
また、中間コードを最初に持ってきて、不安定なコードに繋げると、最初から不安定感を持つ独特な雰囲気の進行になります。
中間コードをどのように使うかによって、曲全体の雰囲気は大きく変わります。安定したコード、不安定なコードそれぞれをより強調することもできますし、逆に印象を薄めることだって可能です。
中間コードというと、どうしても中途半端なイメージを抱いてしまいますが、その曲の雰囲気を決める上でとても重要な役割を担っているのです。