真の音楽家に「引退」はないのかもしれません。
体が動く限り、声が出る限り、音楽はずっと彼らの傍にあります。
今回は敬老の日にあわせ、90歳を超えた今もなお現役の第一線で活躍し続けているミュージシャンたちを特集します。
活き活きと音楽を楽しむ彼らの姿に、何かを感じていただけるかもしれません。
もくじ
アメリカを代表する歌手トニー・ベネット(Tony Bennett)は1926年8月3日生まれの95歳。
1950年代にデビューし「ビコーズ・オブ・ユー」、「霧のサンフランシスコ」などが大ヒット、先輩格の大歌手フランク・シナトラに「彼は最高の歌手だ」とまで言わしめています。
70年におよぶ音楽家人生の中でこれまでに100枚以上のレコードをリリースし、そのトータルセールスは5000万枚を越え、グラミー賞の受賞も20度に及んでいます。
2013年には87歳で来日し東京国際フォーラムでの公演を成功させ、その後2016年にアルツハイマー病と診断されるも2021年8月までステージに立ち続けました。
10月にはレディー・ガガとの7年ぶりとなるコラボ・アルバム『Love For Sale』のリリースも予定されるなど、ステージこそ引退しましたが現在も精力的な活動を続けています。
(動画)レディー・ガガとコラボした新曲「I Get a Kick Out of You」
キューバの年老いたミュージシャンたちの姿を捉え、世界中に感動を与えた1999年の映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を覚えていらっしゃるでしょうか。
映画公開当時90歳を超えていたギタリストのコンパイ・セグンド氏や、主役級の歌手イブライム・フェレール氏など多くのメンバーは既に旅立ってしまいましたが、紅一点の歌手オマーラ・ポルトゥオンド(Omara Portuondo, 1930年10月29日生まれ)は今もなお現役でその美しい声を届け続けています。
昔ながらのキューバの伝統的な音楽であるボレロやソンを歌うオマーラ・ポルトゥオンドの歌声からは、えも言われぬ人生の深みを感じます。
(動画)オマーラ・ポルトゥオンドとグアテマラの歌手ギャビー・モレノが共演した2020年公開の新曲「Bolero a la vida」
2016年のリオ五輪の開会式でも歌声を披露していたブラジルの歌手エルザ・ソアレス(Elza Soares)は1930年6月23日生まれの91歳。かねてより7歳ほどサバを読んでいるという疑惑もあり、長い間1937年生まれと公称していましたが、ブラジルのメディアは今年大々的に彼女の91歳を祝っているので1930年生まれが本当なのでしょう…。
デビュー以来公私で世間を賑わせ続けてきた彼女ですが、現在もほぼ毎年新作アルバムをリリースするなど全く衰えを感じさせません。エルザ・ソアレスの素晴らしいところは、常に新しい要素を取り入れ自身の音楽を進化させる姿勢にあります。サンバのような伝統的な音楽だけでなく、ロック、ヒップホップ、エレクトリック・ミュージックなどそれぞれの時代の新しい音楽に挑戦し続ける彼女の姿はいつまでも若々しいままです。
(動画)2020年に行われたライヴの様子
米国ボストン生まれのジャズドラマー、ロイ・ヘインズ(Roy Haynes、1925年3月13日生まれ)は96歳にして今もなお現役で活躍するミュージシャンです。
チャーリー、パーカー、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、セロニアス・モンク、チック・コリア…枚挙に暇がないほど数多くのジャズの巨匠たちと共演を重ねてきた彼は、まさにジャズの生き字引です。
(動画)本場ジャズクラブ、ブルーノート・ニューヨークで演奏するロイ・ヘインズ(2019年の映像)
フランスのピアニストのコレット・マゼ(Colette Maze)は1914年6月16日生まれ、現在107歳の現役ピアニストです。1914年といえば和暦でいうと大正3年で、「ゴジラのテーマ」などで知られる日本の作曲家・伊福部昭氏と同い年になります。
5歳でピアノを始め(つまり、彼女はもう1世紀もの間ピアノを弾き続けています!)、若い頃はアルフレッド・コルトー(Alfred Cortot)やナディア・ブーランジェ(Nadia Boulanger)といった名音楽教師に学び、生涯をピアニストやピアノ教師として生きてきました。今でも一日に4時間はピアノに向かい練習をしているそうです。
コレット・マゼは2021年2月に106歳にして6枚目のアルバムとなるドビュッシー曲集をリリースしています。
(動画)世界最高齢ピアニスト、コレット・マゼのショートドキュメンタリー
年老いても音楽を楽しむミュージシャンたちの姿、いかがでしたでしょうか。
彼らの表情は一様にして活き活きと喜びに満ちているのがとても印象的です。
何年か前に音楽療法をテーマにした映画『パーソナル・ソング』が注目を集めましたが、音楽を聴いたり楽器を演奏することで人は不思議と活力を得られるものです。
今回は有名なご高齢の音楽家たちを特集しましたが、わたしたちにも音楽を楽しみたいという気持ちがある限り、楽器や音楽を始めるのに年齢が妨げになることはないはずです。
なぜなら、誰にとってもこれからの未来の中で「今日が一番若い日」だからです。
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