あなたは睡眠前や就寝時に音楽を聴く派ですか? 聴く曲によってテンションが上がったり、リラックスできたりと音楽の力は大きいですが、寝る前の音楽にはどんな効果があるのでしょう?
深い眠りにつくなど、睡眠の質も左右するのでしょうか?寝つきの悪さや眠りが浅かったりなど不眠の症状に悩まされている人が多い昨今です。
音楽心理学者で音環境コンサルタント・フェルモンドの齋藤寛さんに、音楽と眠りの関係について話をお聞きしました。
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もくじ
まず、今回はふとんに入る30分~1時間前程度を「就寝前」としてお話したいと思います。
就寝前に45分間クラシック曲を聴くグループ、オーディオブックを聴くグループ、無音のグループに分けて3週間にわたり調査を行ったデータがあります。
その調査によると、クラシックを聴いたグループの86%の被験者が、睡眠の質が良くなったことが分かっています。調査結果はPSQI(睡眠質問票)によるものです。ほかのグループは大きな変化は見られませんでした。
とはいえ、クラシック曲といっても曲調や音の数などは異なります。例えばバッハの「ゴルトベルク変奏曲」やラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」といった、スローなテンポで音の数が少なめの曲を選び、大きくないボリュームで聴いてもらった結果です。
この後、詳しく説明していきますが、同じクラシック曲でも「ラデツキー行進曲」や「威風堂々」といった高音やアップテンポ、高揚感のある曲は向いていません。
今回のデータはクラシック曲限定ですが、音楽と睡眠の質の関係が分かると思います。
就寝前には、1日の仕事で交感神経が優位になっている状態から、副交換神経を優位にしてリラックス状態にする必要があります。
その際、好きな音楽を聴くことは効果があります。好きな音楽といっても暗い曲はNG、音量のダイナミクスは控えめ、音の数は少なめ、そしてテンポがゆっくりしている音楽を選んでください。
リラックスできる音楽で1日の疲れをリセットする習慣をつけると睡眠の質がグッとあがります。
睡眠物質といわれるメラトニンは、光を嫌うため、スマートフォンの光や蛍光灯などは避け、間接照明や薄暗い部屋で、上記に当てはまるクラシック曲などをゆったり聴いてから、寝ることで睡眠の質が高まります。
日本人であれば日本語など、理解ができる言語で歌詞がついている曲はどうでしょうか。BGMとして聴く場合は、その時の作業内容によって、プラスにもマイナスにも転じます。
睡眠前にはあまりボーカル入りの曲はおすすめしません。歌詞が思考に影響する可能性があるからです。
厳密に言えば、言語が分からなければオーケーという見方もありますが、声には感情が乗りやすいため、ニュートラルにリセットするときには避けることをおすすめしています。
さらにイヤホンやヘッドホンは睡眠障害を招く恐れもあるので、避けましょう。
脳への負荷が高い作業(プログラミング、高度な計算、複雑な機械の組み立てなど)は、音楽が逆効果になることが考えられます。無意識のうちに歌詞を追ってしまい、作業に集中ができなくなってしまいます。
逆に、単純作業、得意なこと、身体が覚えてしまっていること、ぼんやりとアイデアを練る時などは、音楽が効果的に働きます。
好きな音楽は、ドーパミン(快感や多幸感を得る神経伝達物質)の分泌を促すので、作業中に邪魔になるような脳への負荷が高い作業の場合でも、「作業前」に聴くことによって意図的にモチベーションを高めることができます。
ドーパミンは何か気持ちの良いこと、目標を達成するなどしたときに分泌され、次の行動へのやる気につながるのですが、その最初の第一歩はどうするのかというジレンマがあります。音楽は、その点に聴くだけですので、ドーパミンを分泌する行動としては負荷が少ないのではないでしょうか。
眠りについた後は、音楽を流し続けるのはオススメしません。
眠りに入る前、入る時には音楽はストップするか、スリープ機能で止まるようにし、睡眠自体の質を高めることにつなげた方がよいでしょう。あくまで、睡眠前に副交感神経有意に切り替えて、睡眠の質を上げることが大切になります。
お話を聞いた方
FERMONDO 齋藤 寛さん 公式サイト
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