熱烈なファンが多いことで知られるヘヴィメタル略してメタルと呼ばれる音楽ジャンルがあります。
重厚なサウンドやヘドバン(ヘッドバンキング=リズムに合わせて頭を上下に激しく振ること)などの派手なパフォーマンスで知られ、聴くことでストレス発散や欲求不満の解消に効果があるという研究もあるように、メタルは健康によい音楽です。
先駆者であるアイアン・メイデン(Iron Maiden)やヴァン・ヘイレン(Van Halen)、メタリカ(Metallica)といったバンドの流行に伴って世界的に人気を拡大、各地で多くのフォロワーを生み出し、いつしか“メタルは世界共通言語”、“言葉の壁あれどメロイックサインあれば世界は平和”とまで言われるようになっているとかいないとか。
そんな世界中で大人気のメタルですが、各地で民族音楽を取り込むなどローカルな発展を遂げ、その斬新さが話題となったバンドも多数存在しています。ここではそんな衝撃(笑撃!?)的なご当地メタルバンドをご紹介してまいります。
もくじ
2016年に結成されたモンゴルのバンド、ザ・フー(The Hu)はモンゴルの伝統楽器の馬頭琴や独特の歌唱法“ホーミー”を取り入れたヴォーカルが特徴的です。2018年秋に公開された「Yuve Yuve Yu」と「Wolf Totem」の2曲のビデオはインターネットでたちまち話題となり世界中に拡散。翌年にはモンゴル文化を世界に広めた功績により国の最高栄誉であるチンギス・カン勲章も授与されるなど、まさにモンゴルが世界に誇るメタルバンドになっています。
バンド名の“Hu”はモンゴル語で「人間」を意味しているとのこと。
ホーミー(喉歌)とはモンゴルに古くから伝わる独特の歌唱法で、うなり声のような低い声と、倍音である甲高い声を同時に発音するというものです。
下のオフィシャルMVで見られる馬頭琴(ばとうきん)は『スーホの白い馬』の物語でも有名ですね。
日系三世のヴォーカリスト、ラファエル・モロミザト(Rafael Moromizato)を中心に結成されたウアスカ(Huaska)のコンセプトは“ボッサメタル”。その名のとおり、ボサノヴァとヘヴィメタルという水と油のような組み合わせでブレイクしたバンドです。
アントニオ・カルロス・ジョビンの有名なボサノヴァ曲「Chega de Saudade(想いあふれて)」をボッサメタルでカヴァーしたり、リオ五輪の開会式にも登場した大ベテラン歌手エルザ・ソアレスと共演するなど話題となりました。
ガットギター(ナイロン弦のギター)で演奏されるボサノヴァのパートがあったかと思えば、突如ヘヴィに歪むギターが現れる様子はまさに衝撃的です。
2016年には日本独自編集ベスト盤『ボサノヴァ・メタル教典』も発売されました。
イスラエルを代表するメタルバンドのオルファンド・ランド(Orphaned Land)はユダヤやアラビアの伝統的な音楽と、荘厳でヘヴィーなプログレッシヴ・ロックサウンドを組み合わせ、“オリエンタル・メタルの先駆者”とも言われています。作品はコンセプチュアルで密度が濃く、民族楽器や女性ヴォーカルをフィーチュアするなど独特の世界観を確立。1991年に結成され、メンバーを入れ替えながら現在も活動を続けています。
イスラエルではほかにエキゾチック・ブラックメタルを標榜するMELECHESHというバンドも知られています。
ペルーのバンド、フロール・デ・ロト(Flor de Loto)はアンデスのフォルクローレ音楽とロックサウンドを融合させています。ケーナやサンポーニャ、チャランゴといった民族楽器にヘヴィーなドラムやベース、ギターが絡む様子はなんとも言えないユルさがあって魅力的。どことなくファンタジー風味もあります。
1998年に結成され何枚かのアルバムをリリースしていますが、年を追うごとにメタル色が強くなってきています。
インドネシアの民族音楽といえば西洋音楽にはない独特の音階がクセになるガムランですが、このロード・シンフォニー(Lord Symphony)はパワーメタルに大胆にガムランを導入してしまいました。合うのか!?と思いきや、音を聴いてみるとガムランの金属的な音色が刺激的なスパイスとなり、意外なほどによくマッチし唯一無二の世界観を築き上げています。
多民族が暮らすインドネシアでは地域や年齢を問わずメタルが浸透しており、ムスリム女性3人組のメタルバンド、ヴォイス・オブ・バチェプロット(Voice of Baceprot)なども人気です。
北欧フィンランドのアポカリプティカ(Apocalyptica)はチェリスト3人とドラマー1人という珍しい編成のメタルバンドです。ヘルシンキの音楽大学で学んでいたチェロ奏者たちが出会い、彼らが好きなメタリカ(Metallica)の曲を学内のイベントで演奏したことで好評を博し、その後デビューが決定。1996年の『Plays Metallica by Four Cellos』ではチェロでメタルを演奏するという発想がメタラーたちに衝撃を与えました。
1970年代半ばまではハードロック不毛の地と呼ばれていた北欧ですが、その後登場したヨーロッパ(Europe)やチルドレン・オブ・ボドム(Children of Bodom)らの人気によって今では世界有数のメタルの発信地としても知られています。
そんな北欧フィンランドにおいてもApocalypticaはトップクラスの実力と人気を誇っています。
2006年にドイツで結成されたヴァン・カント(Van Canto)はメンバー6人中5人がヴォーカリスト、残り1人がドラマーというぶっとんだ編成のメタルバンドです。ヴォーカリストたちはそれぞれリード・ヴォーカル役、ギター役、ベース役といったように役割が分かれており、アカペラとは思えない重厚なアンサンブルを聴かせます。
ネタ色が強そうな印象ですがこれまでに8枚ものアルバムをリリース。2021年現在も精力的な活動を続けています。
メタルの世界広しといえど、彼らほど一貫してアカペラにこだわり続けるバンドは他にないのではないでしょうか。
イン・レジェンド(In Legend)は前出のアカペラメタルVan Cantoのドラマー、バスティアン・エーミッヒ(Bastian Emig)がヴォーカルとピアノを担当するバンドで、「ピアノメタル」という新たなジャンルを生み出しました。この構想は彼がVan Cantoに加入する前からあったようで、メタルに必須と思われるギターを排し、代わりにピアノを前面に押し出した斬新なサウンドで話題となりました。
ツーバスのドラムとベースの重低音は間違いなくメタルですが、ときおりピアノがやたらとメランコリックに聴こえる場面もあって油断できません。
今回は世界中のユニークなメタルバンドをご紹介しました。
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