皆様は「ジャズ」という音楽にどんなイメージを持っていますか?高級なラウンジやおしゃれなカフェで流れていそうな、、、大人になったら嗜みたい趣味としてジャズを挙げる人は少なくないですよね。
でもいざ聴いてみると同じ曲なのに人によって長さも演奏の方法も違うし、よく知っている曲のはずなのに始めと終わりの一部のメロディー以外は何が起きているかわからない。
この記事ではそんな方のために ジャズの一般的な「1曲の流れ」を解説します。
因みに、この記事を書いている私もジャズミュージシャン、日々ジャズライブハウスで演奏をしています。
もくじ
ジャズについてWikipediaで調べてみると以下のような内容が記載されています。
ジャズ(英: jazz)は、19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズのアフリカ系アメリカ人コミュニティで生まれた音楽ジャンルで、ブルースやラグタイムをルーツとしている(中略)ジャズの特徴は、スウィングするリズムや、裏の音符の多いシンコペーションのあるリズム、初期にブルースの影響を受けた(ブルーノートもあったがこれは基本的にはブルースである)複雑なコード、複雑なスケール、コールアンドレスポンス・ボーカル、ポリリズム、即興演奏などである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%BA
ジャズの歴史や成り立ち、特徴についてはこのサイトの別の記事でも取り上げていますので、興味がある方は是非見てみてくださいね。
【入門編】ジャズの世界をのぞいてみよう。使用する楽器&有名アーティスト
ジャズは「大人っぽい」「いい雰囲気」というイメージの一方、もしかしたらこの「複雑な」という言葉にもある通り、難しいイメージもあるかもしれません。しかし、「スウィングするリズムや、裏の音符の多いシンコペーションのあるリズム」とあるようにリズムを楽しめるものでもあります。そして最大の特徴である「即興演奏」で何が起きているかわかってしまうとまた別の楽しみ方もできると思います。ここからは一般的な曲の流れを動画で見ながらこの「即興演奏」の謎を紐解いていきましょう。
ジャズのアルバムの解説などでよく目にする言葉に「スタンダード」「オリジナル」という言葉があると思います。
実はジャズというジャンルでは現代では多種多様な曲が演奏されます。その中の多くはミュージカルや映画の中に使われた名曲「スタンダード」と呼ばれるものです。例えばこちらのアルバム。
Portrait in Jazz / Bill Evans
ピアノトリオアルバムの中でも名盤と言われるものですが、このアルバムにもいろいろな有名な曲が入っています。
1曲目の「Come Rain or Come Shine」はミュージカルの曲ですし、2曲目の「Autumn Leaves」は多くのジャズミュージシャンの演奏で知られていますが、元々はシャンソンの名曲です。8曲目の「Someday My Prince Will Come」はディズニーの「白雪姫」の挿入歌です。このようなバラエティーに富んだ名曲はジャズでは「スタンダード」と呼ばれます。一方で奏者が自分で作曲している曲が「オリジナル」と呼ばれます。
もちろん、過去の偉大なミュージシャンたちの「オリジナル」は現代では「スタンダード」と呼ばれることも多いです。前出のBill Evansの作曲した「Waltz For Debby」は今では「スタンダード」として愛されていますが、当時は紛れもない「オリジナル」でした。
ジャズの演奏を聴いていると初めと終わりによく知っているメロディーが現れます。これは「テーマ」と言われるもので曲の中核となります。特に「スタンダード」ではなじみのあるメロディーが聞こえてくることが多く、多くの歌手はこの部分を歌うことになります。
また、曲の初めの部分が「前テーマ」、終わりに表れるものを「後テーマ」と呼ぶことも多いです。
さて、とはいえ曲がいきなり「テーマ」から始まらないこともあります。こちらのFly Me To The Moonの演奏を見てみましょう。Fly Me To The Moonも非常に有名なスタンダード曲で、日本ではアニメなどにも使われていますね。
動画の冒頭から約16秒間、テーマが始まるまでの部分を「イントロ」と呼びます。動画のバンドの編成はピアノ、ベース、ドラムのピアノトリオと言われるものです。この演奏ではすべての楽器でイントロを演奏していますが、ピアノトリオではピアノがイントロを出し、テーマの部分からベースとドラムがはいってくるようなシーンが多く見られます。もちろんベースやドラムからイントロを出す場合もあります。
イントロは曲によってお決まりのものがある場合もありますし、全員で出ている場合はあらかじめイントロとして何を演奏するか決まっている場合もあります。が、全く決まっておらず、テーマにつながるように誰かが何となく曲を始める、というようなこともあります。
また、こちらのHank Jones TrioのBlue Minorではイントロがなくそのままテーマに入っています。
さて、イントロ-テーマが終わるとそれぞれのプレイヤーによる「ソロ」が展開されます。これこそがジャズの醍醐味と言えますが、逆にこの「ソロ」がどうなっているかわからない、というご意見が多いというご質問はレッスンの中でも多く受けます。
先ほど見たBlue Minorをそのまま例にとってみましょう。
「テーマ」が終わったところでピアノの「ソロ」が始まります。とてもざっくり言ってしまうと、この「ソロ」は「テーマ」のメロディーの別バージョンを奏者がその場で次々に作曲して弾いているのです。
「そんなことが可能なの!?」と驚かれるかもしれませんが、実はこれには一定の方法やルールがあるのです。「テーマ」の部分もメロディー以外は奏者がその場の即興で演奏していますが、これがなぜ可能かというと、「テーマ」にバンドメンバーが共通認識しているコード=和音(伴奏用にこの音が使えるよ、という目安)があるからです。「ソロ」はこのコードの上で演奏可能な音の中から奏者=ソリストが音を選んで弾いていくのです。もちろんソロの伴奏もすべて即興で行われます。
このBlue Minorの演奏ではピアノソロのあとベース、ドラムのソロが続きます。一方で先ほどのFly Me To The Moonの演奏はピアノのソロのみでテーマに戻っています。
後半のテーマ、つまり「後テーマ」が終わるとエンディングです。
もう一度先ほどのFly Me To The Moonの映像を見てみましょう。後テーマの最後のほうでアレンジの効いたエンディングに入っていきます。Fly Me To The Moonは通常だとテーマの最後のメロディーを2回繰り返すことが多いですが、このトリオのエンディングは少しひねりが効いていますね。このような特殊なイントロは演奏する前にあらかじめバンドに共有されています。
というのも、エンディングもイントロと同様、曲によってなんとなくお決まりののはあるものの、その場の雰囲気でどのように曲を終えるか決めることも多いのです。始まり方も終わり方も決まっていないなんて、、、と思われるかもしれませんが、初めはある程度「決めごと」をしてバンドでセッションをしていくことが多いです。
ここまで読んできていただいた方の中にはもしかしたら「ジャズって難しい・・・」と感じてしまった方もいらっしゃるかもしれません。ですが、1ジャズプレイヤーの私としては冒頭にも書かせていただいた通りジャズの特徴であるリズムや、今回記事に書かせていただいたようなジャズの演奏スタイルをまずは楽しんでいただきたいな、と考えています。
特にソロの演奏に関しては本当にたくさんの教則本等が出回っていますが、独学ではちょっと難しい、と感じられる方も多いはずです。EYS音楽教室では初心者の方でもジャズのアドリブを楽しめるように、実際にジャズクラブのステージに立っている講師もサポートをさせていただきます。というのも、EYS音楽教室にはセカンドコミュニティというシステムが導入されており、講師のプロフィールや特性などを見て自分に合いそうな講師を選択していくことができます。「難しい話は抜きにしてまずはやってみたい!」という方はぜひ無料体験レッスンのお問い合わせをしてみてくださいね。
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