フィギュアスケート界の絶対王者、 羽生結弦 選手。
4月1日に行われた世界選手権の男子フリーで、自身の持つ歴代最高得点の記録を更新したことで話題になっています。その演技を引き立てているのは、彼がプログラムで使用する楽曲の数々。王道のクラシック音楽や和の要素を取り入れたエキゾチックなBGMなど、実にユニークでドラマチックです。
来年はオリンピックイヤーということもあり、活躍が期待される羽生選手の魅力と彼のスケートになくてはならない音楽について、シニアデビューとなった2010~2011年シーズンからまとめてご紹介します。
もくじ
平昌オリンピックとは、韓国北部の平昌(ピョンチャン)で2018年2月9日から約2週間にわたり約15競技で開催される第23回冬季五輪大会です。先日フィンランドで開催されたフィギュアスケート世界選手権で、男子3名、女子2名の出場枠が確定しました。
フィギュアスケート界の王者、羽生結弦選手。漫画から飛び出した王子様のようなルックスからこぼれる爽やかな笑顔。知的で冷静な羽生語録が炸裂するインタビューでの対応。氷上ではしなやかで華麗ながら、観客を挑発し、吠える姿はまるで獣といった一面も。
相反する様々な魅力を持ち合わせる氷上のプリンスは、宮城県出身の22歳。現在はカナダ・バンクーバーを拠点に活動しています。
主要な戦績として、以下のものが挙げられます。
改めて書き出してみると圧倒的ですが、国際スケート連盟世界ランキング1位(2017年4月1日時点)に君臨するフィギュアスケート界の絶対王者です。
先日の世界選手権で見せたスタンディングオベーションを呼んだ感動の逆転劇を目にした米国のジャーナリストは「目もくらむような幻惑的なフリースケートが、羽生を優勝へと引き上げた」と絶賛しました。
日本にとどまらず世界中に“ユヅリスト”と呼ばれる熱狂的ファンも多く、羽生選手を試合遠征地で応援しようとツアー旅行まで組まれるほどです。
そんな彼の好きなものは、誰もが知るキャラクター「クマのプーさん」。大会時にはいっしょに会場入りする「クマのプーさん」のティッシュケースは、高ぶる気持ちを落ち着かせる精神安定剤的な役割も果たしてくれているそうです。
また、プリンも大好きだという羽生選手。やっぱり好きな食べ物まで可愛いですね。試合で見せる鋭く自信に満ちた表情と相反する、こんなキュートな一面も、ファンを魅了する要素なんでしょうね。
もうひとつ、忘れてはならないのが、プログラムで使用される趣向を凝らした楽曲の数々です。
ショパンのような王道のクラシック音楽から和の要素を取り入れたエキゾチックな「陰陽師」、ノリノリのロック音楽、ドラマチックな映画音楽まで、実にユニークです。
オリンピックイヤーでもある2018年。2017-2018シーズンはどのような楽曲で華麗な舞を披露してくれるのでしょうか。
まず、ショートはショパン「バラード第1番」。2014-2015、2015-2016シーズンと同じ楽曲をさらにグレードアップし、繊細で華麗なスケーティングを披露します。
振り付けは、2006年トリノオリンピック男子シングル銅メダリスト、カナダ出身のジェフリー・バトル氏が担当。現役時代から美しいスケーティングに定評のあったバトル氏と羽生選手のコラボで、さらに優美なバラードが氷上に花を咲かせます。
フリーの演技には、シェイリーン・ボーン氏の振り付けによる2015-2016シーズンと同じ『陰陽師~SEIMEI~』を選曲。過去に2度、世界歴代最高スコア更新へと導いた名演がオリンピックのステージに戻ってきます。
和のメロディが涼しげな印象を持つ羽生選手の表情にマッチ。表現力をアップするために、映画『陰陽師』に主演した野村萬斎氏にも師事したこだわりのスケーティングです。
2016~2017シーズンは、ショートにプリンスの「Let’s Go Crazy」(1984)、フリーに「久石譲メドレー」を選び、先日の世界選手権では優勝を果たしました。
ブライアン・オーサーコーチがプリンスのファンで、昨年他界した彼の楽曲に興味を持ったそうです。プリンスが生前に語っていた「失敗で成功するためのものが見える」という言葉に感銘を受け、ショートの楽曲に採用したそうで、演技に使われる衣装もプリンスへのオマージュなんだそうです。
自身の持つ世界最高得点を更新したフリーの演技後のインタビューで、「自分が風だったり、川の中にドプンと入っているような感覚で、自然の中に入り込んでいるような感覚がすごくあった。ある一種の、すごくいい集中状態だった」と語った羽生選手。フリーの「Hope & Legacy」は久石譲メドレーであり、「View of Silence」、「Asian Dream Song」という2つの楽曲が含まれています。壮大なテーマと美しいメロディに溶け込むように滑る羽生選手にぴったりの楽曲です。
2015~2016シーズンは、ショートにショパン「バラード第1番」、フリーに映画『陰陽師』より「SEIMEI」を選曲。特にスケートのテイストに合わないと避けられてきた日本音楽に挑戦し、見事に「和」の存在感を世界に認めさせた楽曲です。
また、スペイン・バルセロナで開催されたグランプリファイナルでは、ショート110.95点、フリー219.48点、合計330.43点をたたき出し、自身の記録を更新しGPファイナル3連覇という快挙を成し遂げました。
2013~2014シーズンは、ショートに「パリの散歩道」、フリーに映画『ロミオとジュリエット』からの音楽を選曲。磨き上げた2曲の演技によって、ロシア・ソチで開催されたオリンピックで金メダルを獲得しました。
2011~2012シーズンのフリーに使用された映画『ロミオ+ジュリエット』からの音楽も羽生選手を代表する楽曲です。前シーズンでは東北地方太平洋沖地震で被災し、練習もままならなかったにもかかわらず、フランス・ニースで開催された世界選手権に初出場ながらも3位の成績を残し、世界的に頭角を現し始めたのもこの時期でした。
このニースでの選手権のフリーの中盤、リンクにできた溝につまずき、転んでしまうのですが、その後のステップシークエンス直前に雄叫びをあげ、その後に繰り広げられた熱のこもった演技に観客は熱狂。無名に近かった若い17歳の選手をスターダムに押し上げた楽曲です。
羽生選手といえば待ち時間にヘッドフォンをつけて一緒に口ずさんでいる姿がよく話題に上ります。試合前に自身を鼓舞するためにこんな曲を聞いているようです。
ソチオリンピックの前のインタビューでは「スーパースターになったら」について、日テレの番組で「オリンピックチャンピオンになれたらと思いを込めてすごい聴いていた曲」と語っていました。熱い歌詞に想いを託していたんでしょうね。タイトルどおり、金メダルを取ってスーパースターになりましたね。
The Sketchbookの「Colors」もよく聞く曲としてリストアップされています。
“「明日もあるから」なんて待っていたら
どんなにチャンスが近くに来ても手を伸ばせない
この両手にしか掴めないものが
僕の明日を彩っていく色に変わる”
という歌詞に特別な思い入れがあるそうです。
この2曲を”勝負曲”としてよく聴いているそうです。「歌詞もそうだし、モチベーションが上がっていく曲」と語っていました。
また、羽生選手といえば、イヤフォンにも特別な思い入れがあるそうです。当然、フィット感や音質にもこだわり、50種類以上持っているそうです。
遠征にも10種類以上持っていくほどのこだわりようで、その中でもお気に入りで試合前に使っているのが、完全カスタマイズ可能な20万円以上もする“結弦仕様”のイヤフォンなんだそうです!どんな音が聞こえてくるのか聴いてみたいですね。
実力も、キュートで真面目な人柄も、全て魅力的な羽生選手。来年はオリンピックイヤーということもあり、来シーズンはどんなプログラムと楽曲で私たちを楽しませてくれるのでしょうか。ますます羽生選手から目が離せませんね。
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