前回は、エレキギターの二大巨頭「ストラトキャスター」と「レスポール」について説明しました。今回は各社から販売されている、“隠れた人気を誇るちょっと個性的なエレキギター”です。
日本のアニメがきっかけで大人気となった「ムスタング」から、メタラー御用達の「フライングV」まで、その個性的なギターが誕生した歴史や基本的なスペック、サウンドキャラクターについて学んでいきましょう。今回はFender系のギターをご紹介します。
もくじ
1951年、世界初の量産型エレキギターとして「Fender」社が開発・販売を行った「テレキャスター」。同モデルは“カントリーミュージックに使われるギター”というイメージが定着していますが、ポップスやロック、ファンクからジャズまで、様々な音楽ジャンルに対応するポテンシャルを持つオールマイティなギターです。
2シングルコイルピックアップ、1ボリューム、1トーンというシンプルな構造をしており、ハイ上がりな“ジャギジャギ”としたサウンドが特徴。その一方、ブリッジサドルの関係から、弦1本1本のピッチ(音程)が合いづらいギターとしても知られています。和音を綺麗に鳴らせるギターであるため、ギターボーカルなど、コードバッキングメインのプレイヤーから人気があります。
1960年代のジャズ界では甘いトーンが特徴のギブソン系ギターが主流となっていましたが、それに対抗する形でリリースした「ジャズマスター」というギターがあり、「ジャガー」はそれの上位互換モデルとなります。この2モデルに関しては、セットで覚えるのがオススメです。
ジャズマスターはストラトキャスターなどの「Fender」系ギターに比べてボディサイズが大きく、ハムバッカーサイズのシングルコイルピックアップである「P90」を2基搭載しているのが特徴。6弦側のボディに搭載されたスイッチを駆使することで、より細かい音作りが可能となっています。
フロントピックアップは太くメロウであり、まさしくジャズに最適なサウンド。リアピックアップは“ジャキッ”としたハイ上がりなサウンドで、加えて厚みもあるので、グランジやオルタナティブ・ロックバンドのギタリストから好まれています。
一方、上位互換モデルであるジャガーはP90ではなく、通常のシングルコイルピックアップを2基搭載。
ジャズマスターよりもハイ上がりなサウンドで、サステインも少ないので、コードカッティングを多用するギタリストから支持されているギターです。あのアメリカの伝説的ロックバンド、「Nirvana(ニルヴァーナ)」の「カート・コバーン」もジャガーの改造モデルを愛用しており、“ロックでジャガーを使う”というブームの火付け役にもなりました。
1964年に「Fender」社が販売を開始した「ムスタング」。こちらは、ジャガーやジャズマスターと同系統のギターで、ボディに搭載されたスイッチによって、細かい音作りができるようになっています。
上記の2モデルとの違いは、軽量で取り回しの良いコンパクトサイズのボディ。ネックのスケールが短く、加えてネック幅も狭いので、手の小さい人でも押弦(おうげん:弦を押さえること)しやすいという特徴があります。
その一方で、持ち前のサウンドはとても荒々しく、独特のクセもあるので、音作りは比較的難しい部類に入ります。男性はもちろん、女性ギタリストから人気のギターでもあり、アメリカのジャズシンガーであるノラ・ジョーンズや映画『ソラニン』に主演した宮崎あおい、アニメ『けいおん!』の登場キャラクターである「あずにゃん」も使用。
中でも「あずにゃん」が愛用していた赤色のムスタングは在庫切れになるほどの人気を博し、国内でムスタングというギターの知名度を底上げさせるきっかけにもなりました。
まだまだ隠れた人気のエレキギターは多数あります。後半ではGibson系のギターをご紹介します。コチラからどうぞ!
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