スイッチひとつで多彩なトーンにを生み出す魔法のアイテム、「エフェクターペダル」。前回に引き続き、初心者の方に向けてエレキギターのエフェクターの特徴やその効果について解説していきます。
手始めにご紹介するのは現代の音楽シーンに欠かせない「空間系エフェクター」です。それでは解説していきます!
もくじ
カラオケのエコーや大ホールの残響音など、あらゆる“空間の響き”を再現するエフェクターが「リバーブ」です。学校の体育館で手を叩くと“パーンッ!”と音が鳴り響きますが、その残響を擬似的に再現するのがこのエフェクターの役目です。
「リバーブ」はギターアンプにも搭載されているエフェクトであり、うっすらと掛けることで、温かく奥行きのあるサウンドを作ることが可能。パラフルでタイトなサウンドが求められるハードロックやメタルはともかく、バラードなど、繊細な演奏が求められるジャンルには欠かせないエフェクトの一つです。
☆オススメの機種☆
・ELECTRO HARMONIX Holy Grail
・BOSS RV-6
・Strymon BigSky
「ディレイ」は擬似的に “やまびこ”を再現する空間系エフェクター。例えば、山の頂上で「ヤッホー!」と叫ぶと、「ヤッホー!・・ヤッホー・・ヤッホー……」と声が跳ね返ってきますが、この一定間隔で鳴り響く音を作り出してくれるわけです。
幅広い用途で使えるエフェクターであり、現代の音楽シーンに欠かせないエフェクトの一つ。8分音符、16分音符など、楽曲のBPMに対してどのタイミングで音を返すか細かく設定することもできます。
☆オススメの機種☆
・BOSS DD-7 Digital Delay
・BOSS DD-20 GIGA Delay
・Line6 DL4
「ルーパー」は演奏したギターフレーズを一度内部に保存し、それをループ再生させることができるエフェクター。オーバーダビングさせて一人ジャムセッションを楽しむなど、バンド演奏よりもソロパフォーマンスで真価を発揮します。
とにかく弾き手の演奏技術とアイデアが求められるエフェクターであり、その使い方は無限大。原音に対して何らかのエフェクトを掛けるものではありませんが、一人でギターを楽しんでいる方の良き相棒となるはずです。
☆オススメの機種☆
・BOSS RC-3
・BOSS RC-30
・TC ELECTRONIC Ditto Looper
前編で軽く触れた「マルチエフェクター」は、歪み系やモジュレーション系、空間系など、ありとあらゆるエフェクトを1台に集約したもの。コンパクトエフェクター1台に比べ、値段やサイズもそれなりですが、内蔵されているエフェクト群の数から考えると、コストパフォーマンスは抜群です。
ひと昔前までは、「マルチなんて音が悪くて使えない」というイメージが定着していましたが、開発技術の進歩もあり、ここ数年のモデルはどれも音質に優れ、使い勝手も良いモデルばかり。
デジタル製品がほとんどなので、歪み系エフェクトに関してはアナログタイプのコンパクトエフェクターに軍配が上がりますが、モジュレーション系や空間系のクオリティは、コンパクトにも負けていません。「とりあえず色々なエフェクトを試してみたい」という方は、「マルチエフェクター」の購入をオススメします。
☆オススメの機種☆
・BOSS GT-1
・ZOOM G3n/G3Xn
・ZOOM MS-50G
本体のペダルを動かすことで、ギター原音の“周波数帯”を上下させ、“ワウワウ”という音を鳴らすことができるエフェクターが「ワウペダル」です。ペダルを踏み込んだ状態では高音域がブーストされ、上がった状態では低音域から中音域がブーストされる仕組み。後述の「イコライザー」をペダル型にしたエフェクターだといえます。
スイッチオンで常にワウ効果が掛かる「オートワウ」というタイプも存在するため、手動で音を操りたい場合は「ワウペダル」を、自動なら「オートワウ」をチョイスすると良いでしょう。
☆オススメの機種☆
・VOX V847-A
・VOX V845
・JimDunlop CRYBABY GCB-95
周波数帯を操作することによって“ワウワウ”とした音が得られる「ワウペダル」に対し、ギターの“音程”をペダル操作によって変化させられるエフェクターが「ワーミーペダル」です。「ストラトキャスター」など、アームを搭載したギターにしかできない「アーム奏法」を、足下のペダルによって実現するエフェクターです。
主にギターソロで使われるペダルであり、過激な“爆撃機サウンド”を鳴らすことも可能。使いこなすには相当な操作技術が必要となる、中〜上級者向けのエフェクターといえます。「マルチエフェクター」にも搭載されていることが多いので、興味のある方は一度お試しあれ。
☆オススメの機種☆
・Digitech Whammy 5
音を強く歪ませると“ジーッ……”というノイズが発生しますが、そのノイズだけをピンポイントにカットしてくれるエフェクターが「ノイズゲート(別名ノイズリダクション)」です。スイッチをオンにすると、弦を弾いた時はしっかりと鳴り、弦を押さえるとほぼ無音状態に。つまり、「大きな信号はそのまま通し、小さな信号はカットする」のが「ノイズゲート」の仕組みです。
一見便利なエフェクターですが、適切な設定を行わないと、本来鳴るべき音までカットしてしまうので注意が必要。ハードロックやメタルなど、ディストーションサウンドを多用するギタリストが愛用する傾向にあります。
☆オススメの機種☆
・BOSS NS-2 Noise Suppressor
・MXR M195 Noise Clamp
「オクターバー」は原音に対して“1オクターブ上下または2オクターブ上下”の音をミックスして出力するエフェクターです。オクターブを同時に鳴らす奏法として「オクターブ奏法」がありますが、その奏法をペダル1つで実現するのがこのエフェクター。単音弾きでも音楽的なサウンドを鳴らすことができるため、主にギターソロなどのリードプレイで用いられることが多いです。
☆オススメの機種☆
・ELECTRO HARMONIX Nano POG
・BOSS OC-3
・ARION MOC1
「ピッチシフター」は文字取り、“音程を変更”させるためのエフェクター。「ピッチシフター」は原音の音程を直接変化させて出力するエフェクターであり、上記で紹介した「ワーミーペダル」に近い性質を持つペダルです。
例えば、“最後のサビだけ半音上がる楽曲”がよくありますが、このエフェクターを踏むだけで、瞬時にチューニングを半音上げ状態にすることが可能となります。質の良い製品ほど音程変更時のピッチ精度が高まるので、導入するなら「BOSS」製品などの定番モデルをチョイスするようにしましょう。
☆オススメの機種☆
・BOSS PS-6 Harmonist
・Eventide PIT CHFACTOR
指定した周波数帯をカットあるいはブーストする目的で使われる「イコライザー・エフェクター」。ギターアンプにも「BASS(低音域)」や「TREBLE(高音域)」といった「イコライザー」が搭載されていますが、こちらはそのイコライジング機能を取り出してエフェクターにしたものとなります。「ブースター」代わりに使えるペダルでもあるので、持っていれば何かと便利なエフェクターです。
☆オススメの機種☆
・BOSS GE-7
・MXR 6 Band EQ / MXR 10 Band EQ
“大きな信号はコンプレッション(圧縮)して抑え、小さな信号だけ持ち上げる”エフェクターが「コンプレッサー」です。ピッキングの粒や、音量レベルを揃えることができるため、エフェクトをオンにすると演奏に安定感が生まれます。とても便利なエフェクターですが、掛けすぎるとダイナミクスが感じられない平坦なサウンドになるので要注意。
☆オススメの機種☆
・MXR DYNA COMP M-102
・BOSS Compression Sustainer CS-3
・Providence VELVET COMP
「ボリュームペダル」はサウンドの音量をペダルで操作するエフェクター。ギター本体に搭載されているボリュームノブと同じ働きをするペダルです。演奏中にボリュームノブを動かす場合、一時的に演奏を止める必要がありますが、これさえあれば足下で音量を操作することができるようになります。
☆オススメの機種☆
・BOSS FV-500H/FV-500L
・ERNIE BALL 6166
歪み系からハーモニー系まで、多種多様なタイプが存在するエレキギターのエフェクター。その下に、「オーバードライブ」でいえば「BOSS」の「OD-3」といったモデルが存在し、製品によって出音が全く異なります。星の数ほど存在するエフェクターの中から、自分好みのペダルを見つけるのが、エフェクター探しの醍醐味でもあります。
値段もピンからキリまで、数千円で購入できるものから、1台数万円のモデルも。「どれを買えば良いのかわからない……」というギター初心者の方は、音楽教室の講師や楽器屋の店員に相談するのがオススメ。ビギナーでも扱いやすいコストパフォーマンスに優れた1台を紹介してくれますよ。
買うべきエフェクターが瞬時に分かる!ギター・エフェクターガイド【前編】
◆ギターを始めるときにまずは知っておきたい
・【ギター初心者必読】最初に覚えるべき「ギターの種類と特徴」
・ストラトやレスポールだけじゃない! 隠れた人気のエレキギター・Fender系編
・ストラトやレスポールだけじゃない! 隠れた人気のエレキギター・Gibson系編
スクールで習えば上達が速い!
EYS音楽教室 ギターコース