去る3月17日、JR大阪駅からほど近くにある「パーティースペースコスモス」で「ユビフェスin大阪」が開催されました。「ユビフェス」とは、楽器や歌のレッスンに通い始めて間もない生徒さんが一流のプロとともにセッションを楽しめるという、EYS独自の人気イベント。
今回は、いつものように音楽を趣味として楽しむ方だけでなく、プロのミュージシャンを目指す若い才能も数多く参加。年齢はもちろん、音楽を学ぶ目的も違う人々が、期せずして一堂に会したイベントの様子をレポートします。
もくじ
あいにく雨天時の開催となった今回の「ユビフェスin大阪」でしたが、20名以上の生徒さんのほか、バッグバンドを務めるプロミュージシャンの方や講師の先生方、観覧に訪れた方々など総勢およそ50名。参加者が多く、開始前からテンションは高めでした。
美味しいお酒とお料理が出揃ったところでイベントがスタート。プログラム前半ではサックスやクラリネット、ジャズピアノなど、「ユビフェス」らしいバラエティに富んだラインナップで、やにわに会場が熱を帯び始めます。
どの演奏も数回レッスンしただけとは思えないほど高水準。複数の楽器によるアンサンブルも楽しい!
「ユビフェス」にはこれまでも何度かお邪魔していますが、今回とくに目立ったのがヴォーカルの生徒さんたち。しかもイベント後半にヴォーカルがぎっしり詰め込まれていて、テレビの歌番組さながらにパフォーマーを際立たせるスポットライトまで用意されるという周到ぶり。
音楽教室でヴォーカルを学ぶ生徒さんの発表会と聞いて、のど自慢大会やカラオケ大会みたいなのを連想したら大間違い。素人目ではあるけれど、驚くほどレベルが高い!
あとで詳しくお話を聞いて、納得しました。EYSでは第一線で活躍する一流のプロによる指導を受けられるとあって、実はプロを目指してレッスンに通っている生徒さんも少なくないのだそう。
例えば、プロの歌手を目指しているというZEN(ゼン)くん。ティーンエイジャーながら、すでに大人顔負けの歌心を備えていて、垢抜けした美声で福山雅治さんの「家族になろうよ」をしっとりと聴かせてくれました。
風通しのいい声とでもいうべきか、もっと聴いていたいと思わせる心地よさがある。こういうのを“筋がいい”というのかしら…。若干16歳とうら若く伸びしろがあることから、今後レッスンを重ねてどんな風に磨きがかかるのが楽しみです。
久瑠美さんも今後の成長ぶりに期待したい歌唱力の持ち主。ソウルフルで奥行きのある声はとても個性的で、声量も普通じゃない。食事や会話に夢中になっている人をも、「えっ!?」と振り向かせるほど圧のある声。会場が狭く思えてしまうほどでした(しかもルックスも可愛い!)。
これまで人前で歌った経験はなかったという彼女ですが、オーディエンスの評価も上々で、歌手を目指せる素質をお持ちなのでは?と思える腕前でした。
編集の都合上、残念ながらこれ以上取り上げられませんが、ほかにも特筆に値する逸材多数!生徒さんの層の厚さを感じさせます。
「ユビフェス」のステージにはプロへの第一歩としての意味合いもあるということ。そういう意味では、「ユビフェス」はプロ歌手のための登竜門ともいえるのかも(!?)。これからもどんな才能が出てくるのか、目が離せません。
数回しかレッスンを受けていないにもかかわらず、生徒さんたちの歌はどれも聴きごたえあるものばかり。キーのズレがないのはもちろんですが、発声法をきちんと学ばれているせいか、伸びやかな声と囁くような声とをうまく使い分けているという印象を受けました。
それぞれ声色や歌い方に味わいがあって、聴いていてまったく飽きさせません。例えば、ある女性が歌った中島みゆきさんの「糸」を聴いていた別の生徒さんが「なんか涙が出てくる…」とおっしゃっていたように、不思議と心の奥の方に届くのです。実はこの日まで、趣味で歌を習う気持ちがよくわからないと思っていたわたし、徹底的に、バカでした。
講師の先生(とわ先生)にすすめられたという、アップテンポなロックチューンを渾身の力で披露してくださったある男性。全身をフルに使ったパフォーマンスの迫力が凄まじい。周囲もたいへん盛り上がり、会場全体にカタルシスが得られたようでした!
音楽に取り組むみなさんの真摯な姿勢も印象的でした。歌に思いを込める方法はさまざまで、お話を伺った別の男性は、なんとマイマイクをご持参。スティービー・ワンダーの「Isn’t She Lovely」を朗々と歌いあげるお姿からは、普段SEとして仕事されている様子がとても思い及びません。“歌”の作用の強度に驚かされます。
音楽の集まりというと、年のほどや音楽の嗜好、ゴールが同じ、という具合に、何かしら共通点があるものです。「ユビフェス」の場合、“音楽を楽しむこと”がそれ。
「練習もおもろいんですよ。先生も、楽しくて仕方ないから練習するんであって、苦しむためにするんやない、練習が嫌んなったらすぐやめたらええいうてくれんねん」とある男性。
でも、ただ楽しいってだけでは、こんな風につながれないはずです。年齢はもちろん、音楽の趣味も音楽を学ぶ目的も違う人たちが一緒になってこうしてつながれるのは、みなさんそれぞれが音楽と真剣に向き合っているからこそ。みなさんが一様に“本物”の音楽家なのだなと感じ入りました。
パフォーマンスを間近で観たりお話を伺ったりしていると、プロを目指すZENくんたちも、趣味で歌や演奏を楽しむ方々も、みなさんが最大熱量でもってひたむきに音楽と接しているのがひしひしと伝わってきます。
それぞれまったく違う出自、目的を持った人同士がたまたま一堂に会し、“楽しい”を合言葉に時間と空間を共有し、互いに魂を震わせ合う。孤独に音楽と対峙しているだけでは見つからないものがここでは見つかる、そんな気がしました。
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