いよいよ夏本番、夕方になるとどこからともなく太鼓の音も聞こえてきて、自然に気分も高揚してきますよね。広場や公園、校庭などにやぐらが立とうものなら高揚感はマックス。居ても立っても居られなくなる方もいるでしょう。
7月から8月前半にかけて全国各地で開催される盆踊り大会は、子供からお年寄りまで楽しめるイベントとして昔から親しまれてきました。
今でこそ楽しいイベントとして認知されている盆踊りですが、実は歴史的にはかなりきわどいものも含まれています。盆踊りの起源や由来を紹介するとともに、新旧定番盆踊りソングをピックアップしてご紹介していきます。
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もくじ
現在は地域交流や娯楽が目的になっている盆踊りですが、その起源・由来に関しては仏教行事、原始信仰の儀式など、さまざまな説があります。ここではポピュラーなものをご紹介します。
平安時代中期の僧侶「空也上人(くうやしょうにん)」は、一般の人には小難しくて近寄りがたかった仏教をどうにかして広げようと、歌って踊りながら念仏を唱えるというアイデアを思いつきました。これが「踊り念仏」と呼ばれて流行し、盆踊りの起源になったようです。
念仏踊りをさらに全国的なブームにまで押し上げたのが、鎌倉時代の僧侶「一遍上人(いっぺんしょうにん)」です。彼は全国を練り歩いては踊り念仏を披露し、これに倣った庶民は救済される喜びから、踊り狂ったといいます。こうして全国に広がった盆踊りは、徐々に元来の目的である先祖供養の意味合いが薄れ、娯楽的な要素が強くなっていきます。
江戸時代には男女の出会いの場となり、旧暦7月15日に行われていたこともあり、満月の力を借りて異様な盛り上がりを見せました。参加者は、このときばかりは非日常的な交流を深めたようです。
これが災いして、江戸時代には一時、取り締まりの対象となり衰退しますが、大正時代に再び娯楽として奨励され、全国で独自の盆踊りが踊られるようになります。
ではここからは、ご当地発祥の盆踊りド定番曲を3曲ご紹介していきます。
「東京音頭」は、1932年(昭和7年)に制作された「丸の内音頭」が原曲となっています。もともと日比谷の百貨店の広告として踊られた東京音頭は、歌詞に丸の内、三宅坂、数寄屋橋などの地名が入っていました。
1933年にレコード会社が「隅田」「武蔵野」などを歌詞に盛り込み、「東京音頭」に改題。東京一円のご当地ソングとして売り出しています。全国に広がるうちに踊り方もさまざまなものが出てきましたが、毎年8月の「日比谷公園丸の内音頭大盆踊り大会」で踊られるものがルーツに近いといわれています。
その後、平成の若者たちにも東京音頭を踊ってもらおうと、編曲や振り付けが施され、「東京音頭・平成版 大江戸東京音頭」として生まれ変わりました。いまでは、正調と盆踊りバージョンの二種類の振付で踊られています。プロ野球チームの東京ヤクルトスワローズの応援歌としても有名ですし、イベントや小学校の運動会などでも広く踊られています。
盆踊りのスタンダード曲といってまず思いつくのは「炭鉱歌(炭坑節)」ではないでしょうか。原曲は福岡県三井田川の炭鉱で働く女性たちが歌っていた「伊田場打選炭唄」です。仕事歌が宴席で歌われるようになり、1932年にレコード化。戦後、国策で、復興基盤として石炭産業を推す風潮も相まって、ラジオなどを通して爆発的に広がりました。
妙に明るいメロディと月を盛り込んだ歌詞が、盆踊りの際の高揚感とマッチして全国で踊られています。前身の西鉄ライオンズの本拠地が福岡ということで、プロ野球チームの埼玉西武ライオンズの応援歌にもなっています。
河内地方独特のユーモアや荒々しさを連想させる「河内音頭」は、大阪府八尾市、交野市、大阪市平野区などの民謡、音頭から明治時代に原型ができたといわれています。
歴史上の物語や時事ネタなどを節に乗せて歌うという形式で、冒頭には音頭取りによる前口上があります。大正には、落語などと並んで人気の演目として河内音頭が披露されていました。
現代の河内音頭は、三味線や太鼓の伴奏以外にも、浪曲や洋楽と結びついてエレキギターなんかの電子楽器も演奏されるようになっていて、このごちゃごちゃした感じが河内っぽさにつながるのかもしれません。
河内音頭が全国に知られるようになったのは、1961年にレコードが発売されてからです。音頭取りや流派によって節や歌詞、踊りなどがそれぞれですが、最も有名なのは鉄砲光三郎さんや河内家菊水丸さんの節ではないでしょうか。
伝統的な盆踊り歌もよいですが、子供には現代の盆踊りソングも人気です。今年の盆踊りでぜひ踊ってみたい盆踊りソングを3曲ご紹介します。
昔はアダルトなイベントだった盆踊りも、近年では子供が主役だといってもよいかもしれません。盆踊りの音楽の中でも人気が高いのは、「ドラえもん音頭(踊れ・どれ・ドラ ドラえもん音頭)」です。
昔ながらの盆踊りが土地特有のものなのに対して、現代の盆踊りソングは全国どこでもかかっています。「どらりどらりの」といった藤子不二雄先生の歌詞がいい味出していますよね。
ドラえもん音頭には、踊り方にも特徴があって、手を「グー」にして踊り、ドラえもんを表現します。また、胴体から踊るのがよりドラえもんぽくなるためのコツ。踊り方動画を見て真似してみましょう。
妖怪ウォッチのダンスといえば「ようかい体操第一」や「ようかい体操第二」が有名ですが、「妖怪ウォッチでクックロビン音頭」もおすすめです。元ネタはもちろんパタリロで、踊り方もまったく同じですが、シンプルな音頭ならではの楽しさを、世代を超えて伝えることに成功しています。
初見で子供が踊れて、手を2回たたいて前方に広げながら伸ばす、という動きは音楽に合わせてついつい繰り返して行ってしまいます。動画を見ればすぐに踊り始められるでしょう。
シンプルで楽しめる盆踊りソングとしては、保育園では定番となっている「野菜おんど」もおすすめです。歌詞のなかで野菜がおもしろおかしく描写されていますので、踊っているうちに子供が野菜に興味を持って好きになるかもしれません。
野菜のコスプレをして自由に踊る人たちを見ると、ほんとに楽しそう。昨今はダンスブームで中学校の授業にもダンスが取り入れられていますが、盆踊りを通して子供たちは踊りの楽しさをインプットするのでしょう。
盆踊りが海外でも踊られていることはご存知でしょうか?ハワイでは、毎年6月から9月初めまで、週末になると約80ヵ所の寺院や公園で「ボンダンス」が開催されています。ボンダンスといっても、現在日本で踊られる盆踊りとは別のもので、昔ながらの盆踊りが受け継がれている要素が強いです。
日系の方たちがそれぞれの故郷の盆踊りを持ち込み、「ボンダンスクラブ」を形成しており、ともすれば本家よりも熱心に練習が行われています。
たくさんのボンダンスクラブがありますが、ハワイには沖縄から移り住んだ方が多いこともあり、特に多いのが沖縄系のボンダンスクラブです。そのため、ボンダンス会場ではエイサーのかけ声や指笛が聴けることが多いです。
19世紀にプランテーションで働く日系移民の人たちが、故郷を想って村落ごとに始めたボンダンスですが、現代の日本人が参加しても懐かしさを感じずにはいられないでしょう。
いかがでしたでしょうか?起源や過程で諸説・紆余曲折がありましたが、亡くなった人々の魂の鎮魂行事が地域の芸能やお祭りと混ざりあって、今のようなかたちになったことは間違いないようですね。盆踊りは地域や男女、祖先との結びつきを強めてくれますし、なによりも心躍るイベントです。各地でこういった大切なイベントが脈々と受け継がれていることに感謝です。
盆踊りは土地の人のためのイベントですが、そこに住んでいない人にもオープンで、交流を深めることができます。ぜひ踊り方をマスターし、浴衣に着替えて参加してみましょう。
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