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JUN,2017
JUN,2017

音痴は治る?遺伝するもの?オンチのメカニズムと改善方法を解き明かす

# 音楽ネタ

投稿者 :Natsu

カラオケで気持ちよく歌えたら楽しいはず。そう思いながらもオンチの自覚がある人は、人前で歌うことを自粛してしまいがちです。

さらに歌が上手になることをあきらめてしまう人も多いですが、そもそもオンチは治るものなのでしょうか?そして世間でまことしやかに言われている「音痴は遺伝する」のでしょうか。

ボイス&ボーカルトレーナーのJUNさんに話をお聞きしました。

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そもそも「オンチ」とはどういうことを指すの?

音痴は直る

オンチ(音痴, 調子外れ)とは、音程やリズムを歌に合わせることができない人や、そのことを指しています。オンチであるということは、運動能力聴覚のいずれかに問題があると考えられます。

「歌う」ことと「運動」は一見すると、関係のないことのようにみえますが、歌うという行為自体は、運動と大きく関係しています。

オンチといってもその種類にも違いがあり、大きく2種類に分けることができます。

  1. 正しい音程を理解しているけれど、うまく再現することができない。頭でイメージしている音程と発声している音程が合っていない→運動性オンチ
  2. 正しい音程を聞いても、それを理解・記憶することができないために、実際に発声すると音程が外れてしまう→感受性オンチ

一般的に「オンチ」の人の大半がにあたり、こちらは治すことが比較的容易です。

発声するべき音程自体は分かっているので、出したい音と、実際に出す音を合わせる練習をすることで、正しい音をとることができるようになります。音がずれてしまう以外に、発声するべき箇所と音がずれてしまうこともオンチの一環です。

ちなみに、ダンスなどでうまく音に乗れない人は、歌うこと自体も得意でないことがよくあります。このことからも、運動と歌うことも関係性が感じられると思います。

ただ、に該当する場合は、自分の発声している音程のズレが理解できていないので、正しい音程を理解することから始めるので、音痴を治すには時間がかかるかもしれません。

「歌が上手」「音痴」になるには理由がある?

歌を上手にするには

人間は生まれてから6歳ぐらいまでが「耳の黄金期」と呼ばれており、おおよそ6歳ぐらいまでに耳の機能が形成されると言われています。6歳までに音楽の訓練を受けると絶対音感が身につくと言われているのも、これが理由です。

この時期には、物音や声、音楽などいろいろな音をぐんぐん吸収し、だんだん耳は聞き取る音を固定化していきます。個人差はありますが、10歳になる頃には耳の機能は完成、その後は大きく成長はしないようです。

耳の機能が形成される時期に、どれだけ音楽を聴いて育ったか、ということが非常に重要です。音の経験値とでも呼べるでしょうか。該当時期に、長く音楽を聴いた(経験がある)人の方が、歌う時に合わせる音程の理解が深く、正しい音が出せるのでオンチにはなりにくいのです。

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実際、歌手や音楽家の人など音楽関係の職業に就いている人がインタビューで「子供の頃、よく親が音楽を聴いていたころから好きになった」という発言をしていることも、上記で書いた理論に合っていると考えてもよいでしょう。

逆にあまり音楽を聴かずに育った人は、歌う時にどの音に合わせてよいか分からず、音痴になる傾向にあります。ある程度大人になってからたくさん音楽を聴いても、残念ながら幼少期に聴くのと同じ効果を得ることはできません。

余談になりますが、「胎教」といって胎児が母親のおなかにいるときに、クラシック音楽などを聴かせることがありますが、胎児のときは耳の機能の形成はされないという説もあり、胎教自体の意味はいろいろな意見があるようです。

オンチ改善のためのトレーニング

音痴 トレーニング

歌う以前に、ひとつひとつ地道に音合わせをすることで、徐々に正しい音程を発声することができるようになります。この際、ポイントとなるのが「本当の自分の声」を確認すること。

通常、自分が発した声は頭蓋骨を通り、内耳に直接響いています(骨導音)。他人の声は、耳からのみ聞こえているので、音のとらえ方が異なります。録音した声が、自分の思っていた声と違い違和感を感じるのはこれが理由です。ですので、通常の状態で練習をしても音を合わせるのは難しいのです。

そこでおすすめなのが、片耳をふさいで音を合わせていく練習法です。

歌うことは二の次、まずは発声から

ヘッドフォンなどで片耳をふさぎ、ふさいでいない方の耳から聞こえる音を確認しながら練習します。キーボードなどでドレミファソラシドの音階を、鍵盤ひとつ押して声出し確認するという作業を続けます。この際、音源は通常のピアノよりもキーボードのような電子音は音が減衰しにくい(消えにくい)のでおすすめです。

毎日は難しくても週に1回は練習し、半年も経つと、きっと正しい音を出すことができるようになるはずです。そうなったら、歌いたい曲をどんどん歌っていきましょう。

数多く歌っていくなかで、歌いやすい曲というのが見つかったら、その曲のワンフレーズ、サビだけなど短く区切って丁寧に歌い込んでいくと、かなり上達するでしょう。また、こうして歌える曲が増えていくと、歌うことにも自信がつきます。

オンチは遺伝するもの?

音痴は遺伝しない

親が音痴だと、その親から生まれた子も音痴だという説がありますが、はっきり言ってしまうと「遺伝はしません」。ただ、一方でオンチな親子が存在するもので、それにも理由があります。

先に書いたように、人間は生まれてから6歳になるまでめざましい耳の機能の形成が行われます。その時期に、もし調子はずれなオンチな歌をたくさん聴いていたとしたら…そう、その音が正しいものとしてインプットされてしまいます。

その子供は「調子はずれな音」がベースとなり、そこに合わせて歌うようになるので、結果として親子ともにオンチになってしまうというだけのことのようです。

子ども自体は、音を真似して正しく歌っているつもりなのに、結果としてオンチになってしまっているとは、なんとも残念…!

ですが、もし自分がオンチであるという認識があるからといって、子どもと一緒に歌うことを自粛するのも考え物。子供が幼少期に、親と一緒に楽しく歌を歌うということ自体は、子どもの情緒にデメリットはないでしょう。楽しく歌を歌いつつ、CDなどで正しい音楽をたくさん聴かせるのがいいのかもしれません。

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今回お話をお聞きした方

JUNさん
音楽月刊誌のアレンジャーとして活動開始。アメリカに留学し、ブロードウェイキャストのヴォーカルトレーナーで、マイケル・ジャクソン・マドンナなど120人以上のグラミー賞受賞者が受けた、米Speech Level Singing公認インストラクター Kara Ayn Napolitano氏、日本人アーティストも育てたCatherine Wong氏に師事。現在、アーティストのヴォーカルトレーニング、歌唱指導、アレンジャー、後進の指導に努める。ヴォーカルトレーニングをおこなっているキャストの主な出演ミュージカル作品、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『RENT』『恋するブロードウェイ』『テニスの王子様』『ワンダーランド』『アラジン』『ノートルダムの鐘』他多数。

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カルチャー記事を中心に幅広いジャンルで活動中。面白くてためになる記事を心がけています。