【5弦ベースは何が違う?】4弦ベースとの違いやプロが5弦を選ぶメリットを一挙解説
投稿者 :河野岳美
もくじ
ベースの弦の本数ってみなさまご存知でしょうか?
エレキベースというものが発明された頃から弦の数は4本が基本となってます。なので「エレキベース」というと「弦が4本の楽器」という認識が普通なんですね。5弦ベースという名称は「弦が5本張ってあるエレキベース」という楽器を指しています。要は普通のイメージであるエレキベースより1本弦が多く張ってある。5弦以外にも6弦、7弦と多くの弦を張ってあるベースも存在します。
弦の本数が増えると色々とメリット、デメリットがあるわけですが、今回は多弦ベースの中でも一番利用されている5弦ベースにスポットを当ててみます。
弦の本数でメリットあるの?めんどくさいだけなんじゃないの?と思いますよね。それは確かに一つの側面としては間違ってないんですが、それ以上に魅力的なことがあるんです。実は演奏する上で沢山のメリットがあるので見ていきましょう!
これこそが多弦ベースの最大のメリットですね。
4弦ベースより1本弦が多ければ5弦ベースなのでセッティングに決まりはありませんが、一般的なセッティングでは5弦は通常の4弦ベースより低い音域が出るように増えています。
4弦ベースでは最低音はE。ヘ音記号の譜面でいえば、下に加線1本書いたミの音。このさらに下のLow-B(下のシの音)まで出るようにするセッティングが一般的です。
今まではミまでしか音がなかったので「ミーミ♭ーレ」ってフレーズ弾きたいなと思っても1オクターブ高いところでないと弾けないんですね。でも5弦なら低いところにこの音がある。やりたいことに対して音域制限があったのが解消されるのです。
歌の伴奏をやる機会の多い人にとってはあるあるの話しですが、ボーカリストさんって身体が楽器だからその日の調子で「この曲半音下げて」って普通に言ってきます。そうすると、もともと最低音のミを使っていた曲を半音下げるとミ♭が出てきますね。そこだけ1オクターブあげると曲的におかしくなっちゃうってことが回避できるんです。
ここでは左手のお話です。音域が拡大されることだけがメリットではないんです。
弦楽器はすべからず、「ポジション」という概念があります。通常は左手を構えた時に1本の弦に対して4フレット分弾けるわけです。この左手を左右に動かさずに弾ける範囲を「ポジション」と呼ぶわけですが、弦が多いので弾ける音数も増えるんですね。すごく単純な話ですが、これかなり運指的には楽になります。だって動かなくていいんですもん。
さらに弦楽器触ったことある人ならご存知ですが、低いポジションより高いポジションの方がフレットの幅が狭いんです。1〜4フレットあたりで頑張って弾いていたフレーズが6〜9フレットで弾けちゃう。これだけでも楽に弾けるのイメージ湧きますね。
次は右手のお話で。ベースの奏法として通常使われているのはいわゆるアポヤンド奏法と言われる、弾いた指が隣の弦に当たって止まる弾き方です。4弦ベースの場合、4弦(一番低い弦)を弾くと、隣に弦がないので指が止まらない。なので他の弦を弾いている時と感覚が変わっちゃうんですね。5弦ベースなら4弦を弾いていても他の弦と同じように指が止まってくれるので、結果演奏が安定するんです。
さらに、5弦ベースは弦と弦の間隔が4弦に比べてほんの僅かに狭く作られている物が多いんです。このほんの僅かな差が弾きやすさに直結してくるんですね。
メリットを書き連ねてきましたがやはりそこにはデメリットもあります。世の中メリットだけではないんですが、それでも5弦を選ぶ人が多いというのも事実。どんなデメリットか見ていきましょう。
もう言葉通りです。弦が多く張ってあるのでその分ネックも太いんですね。ってことはボディも若干大きい。大きいってことは・・・はい。その通り。重いんです。左肩に背負っているストラップが食い込むんです。それを軽減するストラップってのも販売されていますが、そのお話はまたいずれ。
お金の話です。5弦はお金かかります。まず本体。材料も多く使われていますからね。仕方のないことですが。一昔前より手頃な楽器たくさん出てきたので値段もこなれてきた感があります。それでも同じモデルの4弦と5弦を比べると、やはり5弦の方が数万円高い設定ですね。
あと何が高いって消耗品。特に弦です。本数多いので単純に値が張ります。私の使っている弦の場合、4弦のセットと5弦単品を買うのですが、5弦単品で1500円程度の上乗せとなります。1500円くらいならって思っても4500円が6000円と思うと高いですよね。
交換できるパーツ(ブリッジやペグ)も当然4弦用よりお高くなりますのでお気をつけください。
弦が増えるメリットをたくさん書きましたが、なんだかんだ言ったって弦が増えたら難しくなるんです。
顕著に出るのがミュートの技術。ミュートとは弾いている音以外を止める技術です。一個の楽器にたくさん弦が張ってあるので、弾いている弦とは関係ない弦が共振して余計な音を出してきます。これを止めないと楽曲にいらない音が鳴ることになってしまうのでミュートしなければいけないんですね。これも弦が増えるほど難しくなってきます。
5弦ベースを愛用するベーシストは多くいますが、その中でも厳選して3名の方をご紹介します。5弦ベースのプレースタイルに興味がある方はぜひ演奏を参考にしてみたり、演奏映像を確認してみてください。
岡沢章さんは数多のプロジェクトのライブ、レコーディングに参加している歴戦のスタジオマン。演奏については数々のアルバムで聞くことができます。吉田拓郎、山口百恵、野口五郎、吉田美奈子、渡辺貞夫などなどジャンル問わずにご活躍。トレードマークの白いフェンダージャズベ(4弦)を長らく弾いていましたが、ある時から5弦のサドウスキーをお使いで。やはりE以下の音の伸びは5弦ならでは。どっしりとしたボトムでアンサンブルを包み込むサウンドは日本の音楽シーンを支えてきた表れでしょう。
岩永真奈さんはご自身のユニットやTAKURO(GLAY)のサポートなど、ライブ、セッション、レコーディングなどジャンルを問わず多方面で活躍されています。4弦から6弦までなんでも弾きこなしますがメインは写真の通りサドウスキーの5弦。R&Bやフュージョンのようなブラックなグルーヴの中に安定したテクニックとメロディアスな聴きやすさが混在する筆頭女性ベースプレイヤー。サラッとグルーヴィー、憧れます。
IKUO氏は、Ex-iT、Lapis Lazuli、CUBE-RAYといったバンドで活動しています。2004年からはT.M.Revolutionなどのサポートでも名を馳せる技巧派ベーシスト。いや、超絶技巧派ベーシスト。あれだけのフレーズをクリアにタイトに5弦の広い指板を縦横無尽に駆け抜ける様は圧巻です。それでもテクニックだけではない音楽の拡がりはぜひソロの演奏をご覧ください。
技術的にはやはり5弦の方が難しくなるので気をつけなければならないことが沢山出てきます。初心者のうちはどうしてもわからないことだらけですよね。運指はどうしたらいいの?ミュートってどうやるの?そもそもフォームってあってる?さらに遡ってどうやって弾くの?どうやって練習するの?それを解消するためにはやはり教えてもらうのが一番の近道です。
正直、独学でベース弾くことは出来ます。私も最初は独学でした。今みたいにレッスン動画や解説動画がなかった時代ですから、人が弾いてるのを観て聴いて真似するところからです。当時はそれしか方法なかったですが、今はなんでも探せば出てくる。でもそれって一方通行なんですよね。ひたすら教えてくれるだけ。
それで理解できる人は良いんですが、何が間違ってるのかは見てもらわないとやっぱり気づけないんです。なのでプロに直接見てもらってアドバイス貰った方が早い。ちょっとした角度一つで楽に弾けるようになったりするんです。見た目は同じでも上手くいかない。なんでだろうって試行錯誤しても良いんですが、そこには目に見えないコツがあったりもするんですね。遠回りしないで上達できるならそれに越したことはないですしね。特に楽器に触れる時間が限られている大人の方達にお勧めです。
EYS音楽教室では現役で現場に立っている講師から、現場は引退したけど圧倒的な経験値を持って指導に当たる講師など様々な講師が在籍しています。
一般的なレッスンは一人の先生について教えてもらいますが、EYS音楽教室ではレッスンごとに先生を選ぶことが出来ます。さらに他の楽器までレッスンの受講が可能。
講師も人ですから、技術的に得手不得手があります。例えば5弦がメインでジャズ得意な講師と5弦は弾かないけどスラップバリバリなファンクロック得意な講師がいたらどうします?5弦ベース買ったからまずは5弦得意な講師に教わりつつ、スラップ習いたいときはスラップ得意な講師に教わりたいってなりませんか?それが普通に出来てしまうのがEYS音楽教室です。
バンドでコーラスもやらなければいけなくなったのでボイトレ受けたい。相方のドラムのことがもっと知りたいからドラム叩いて見たい。こんな希望も同じレッスン費用で出来てしまうんです。
やりたいことを実現するためのレッスンですから、やりたいことができる環境というのは非常に大事です。
5弦ベースのメリット、デメリットを書いてきましたが、プロが5弦を選ぶのは現場での対応力に幅ができるからと言っても過言ではないでしょう。業界ではスタンダードになった5弦ベース。皆さんもチャレンジしてみてはいかがでしょう?