アコギとクラシックギター、どう違う?初心者におすすめは?見た目や音の特徴比較
投稿者 :ミュージックレッスンラボ編集部
アコースティックギター(アコギ)は日本語では「生ギター」とも呼ばれ、広義ではアンプを通さずに生音で弾くギター全般をいいます。
同じギターでも、アンプやエフェクターを通して様々な表現が可能でバンドなどでも活躍するエレクトリックギター(エレキギター)とは見た目も大きく異なるのでその区別はつきやすいと思いますが、ひとくちにアコースティックギターといっても様々なタイプがあることをご存知でしょうか。
演奏される音楽のジャンルによっても用いられるギターの種類は異なってきます。
今回はなかなか見分けがつきにくい、アコースティックギターの代表的な種類についてそれぞれの特徴を解説します。特にこれからアコギを始めたい方は、最初の一本で「なんか違う…」とならないためにもそれぞれの楽器の違いを知っておきましょう!
もくじ
それでは現在一般に流通しているアコースティックギターの種類について紹介していきます。
その前に、よく登場するギターの各部の名称と、簡単な仕組みについて知っておきましょう。
ギター各部の名称はエレキやアコギといった種類を問わずほぼ共通です。
基本的な構造も同様で、音を響かせるための大きなボディ(体)があって、そこからネック(首)が伸びておりその先にヘッド(頭)があるわけですね。ボディ側で弦を固定する場所を「ブリッジ」、ヘッド側で弦を巻き付け調弦(チューニング)するためのパーツを「ペグ」と呼びます。
アコースティックギターの弦をピックや指で弾くと、その振動がブリッジから表面板全体に伝わり、ボディの中で増幅され、サウンドホールから外へと出てきます。
音色や音の大きさなどは弦の材質やボディの木材の種類、その内部構造などによって変わってくるわけです。
フォークギターはアコースティックギターの一種ですが、現在では一般的にアコギ(アコースティックギター)というとこのタイプのギターを指すことが多く、楽器店で並べられているアコギも多くがこのタイプです。“フォークギター”という呼称(和製英語)は1960年代に流行したフォークソングの弾き語りに使われることが多かったため定着したといわれており、英語では「Steel-String Acoustic Guitar」などと呼ばれます。
最大の特徴は、ナイロン弦を用いるクラシックギターに対し、フォークギターはスティール弦(金属製の弦)が張られていることにあります。キラキラした力強い響きと大きな音量で特にロックやフォーク、ポップス系のアーティストに人気で、主にピックを使ってコード(和音)を弾きながら歌うスタイルで用いられることが多いのがこのギターです。
ボディの形状にも様々なタイプがあり、比較的ボディが大きくくびれの少ない「ドレッドノート」と呼ばれるものと、それよりも歴史の長い「OOOシェイプ(トリプルオーシェイプ)」の2種類が一般的となっています。
ドレッドノートタイプはその大きなボディから迫力ある大きな音量が出せますので、コードストローク(和音をジャカジャカと弾くこと)での弾き語りに向いていると言われています。一方のトリプルオーシェイプタイプは比較的軽やかで繊細な音色が特徴で、アルペジオ(和音を分散させて弾くこと)やソロギター向きと言えます。
ヘッド(ネックの先端の糸巻がついているところ)の形状もクラシックギターと見分けやすいポイントで、こちらは穴が開いていない「ソリッドヘッド」が一般的です。
ブリッジ側は弦のボールエンドを穴の中に入れ、ブリッジピンを挿して固定する仕組みになっています。
クラシックギターやフラメンコギターはブリッジの穴に弦を巻き付けて固定する必要がありますが、それに比べるとフォークギターの弦交換は初心者でも簡単です。
また、フォークギターは立って弾くことも多いので、肩にストラップをかけて演奏できるようボディの両側にストラップピンがついています。
その名の通り、クラシック音楽などでよく弾かれるギターが「クラシックギター」、通称「クラギ」です。英語では「Classical Guitar」あるいは「Nylon-String Guitar」と呼ばれています。
前述のフォークギターと比べると日本ではややマイナーな存在ですが、クラシック音楽だけに用いられているわけではなく、世界を見まわしてみると特にラテン諸国ではスティール弦ギターよりも一般的で、その国のポップスなどにもよく使われています。ブラジル生まれのボサノヴァで使われるのもこのクラシックギター(ブラジルでは「ヴィオラォン」と呼ばれます)です。
かつてはガット弦(羊の腸を素材とした弦)が張られてたため「ガットギター」とも呼ばれていますが、耐久性の問題などから現在ではナイロン製の弦を張ることがほとんどで、スティール弦のギターと比べるとその音色は柔らかく優しい、深みのある音になります。
ピックを用いることの多いフォークギターに対し、こちらは柔らかな音色を活かした指弾きで弾かれることが多く、クラシック音楽ではメロディーや和音を同時に弾くソロ演奏も人気です。指で弾くことが多いので、それぞれの弦を弾きやすいようにネックの幅はフォークギターと比べるとおおよそ1cm程度太くなっています。
ヘッドは穴が開いている「スロッテッドヘッド」という形状が普通で、これはフォークギターとクラシックギターを見分ける最も分かりやすい部分といえるでしょう。
クラシックギターやフラメンコギターは椅子に座って演奏することが多いため、ストラップピンはついていないことが普通です。また、フレットの位置を確認するためのポジションマークが指板についていないことも多いので、特にまだギターに慣れていない初心者の方はなるべくポジションマークのある楽器を選ぶとよいでしょう。
フラメンコギターはギターの本場スペインで発展した楽器で、クラシックギターと同じくナイロン弦を使いますが、ボディの素材や内部の構造が異なり、弦高(フレットと弦の隙間の距離)も低くセッティングされ、音の立ち上がりが早く明るい音色が特徴的です。情熱的な独特のテクニックを多く用いるフラメンコでは弦を激しくかき鳴らしたりボディを叩く奏法も多く、ギターの表面にはゴルペ板と呼ばれる保護材が貼られていることが多いのですが、これはフォークギターのピックガードとほぼ同じ役割を担っています。
クラシックギターと比べるとボディの厚みが薄く、重量も軽いという特徴もあります。
ヘッドの形状やブリッジでの弦の固定方法はクラシックギターと同様となっています。
その名称から誤解されがちですが、もちろんこの楽器もフラメンコ音楽でしか使われないわけではありません。
弦高の低さはそのまま弾きやすさにも繋がりますので、ナイロン弦のギターを楽しみたい方にとっておすすめの選択肢です。
前述の3種類のアコースティックギターの違いを分かりやすくまとめてみると、この表のようになります。
種類 | フォークギター | クラシックギター | フラメンコギター |
---|---|---|---|
弦の材質 | スティール弦 | ナイロン弦 | ナイロン弦 |
弦高 | 低め | 高め | 低め |
ヘッドの形状 | ソリッドヘッド | スロッテッドヘッド | スロッテッドヘッド |
ネックの幅 | 狭い(43mm程度) | 広い(52mm程度) | 広い(52mm程度) |
ネック接合部 | 14フレット | 12フレット | 12フレット |
ピックガード | あり | なし | あり(ゴルペ板) |
表面版 | シダー(杉)、スプルース(松) | シダー、スプルース | スプルース |
側板・裏版 | マホガニー、ローズウッド | ハカランダ、ローズウッド | シープレス(糸杉)、メイプル |
ブリッジピン | あり | なし | なし |
ボディの厚さ | 厚め | 厚め | 薄め |
これらの3種類は楽器屋さんでも入手しやすいアコースティックギターです。
もちろんこの表には当てはまらない例外も多々ありますが、見た目で区別がつく要素も多いですから、ぜひ覚えておきましょう!
もしかしたら「エレアコ」という種類のギターの名前も聞いたことがあるかもしれません。
これは「エレクトリック・アコースティック」の略で、ボディ内部にマイクやピックアップが仕込まれており音を電気的に増幅することができるアコースティックギターをいいます。ですので見た目はほとんどアコギと変わりませんが、アンプに繋げることができるのでステージでの演奏に使うにはとても重宝します。
通常エレアコというと「アコギ」同様にスティール弦のものを指し、ナイロン弦のクラシックタイプのものは「エレガット」と呼ばれています。
アコースティックギターのそれぞれの特徴についてお分かり頂けたでしょうか?
で、じゃあ一体どのギターを選べばいいの~!?ってことですが、
…最終的にはそれぞれの好みです。
これからギターを始めたい方は、それぞれの楽器の特徴をだいたい把握できたら、ぜひ自分が弾きたい曲ややりたい音楽に合うギター、かっこいいと思うギターを手に取ってみてほしいと思います。種類がよく分からなければ、楽器屋の店員さんや音楽教室の講師などに憧れのアーティストを挙げて「〇〇さんが使っているようなギターが欲しい」と聞いてみれば、喜んで教えてもらえると思いますよ。
なにより、最初に自分が本当に気に入った楽器を手に入れるというのは、その後の練習のモチベーションにもなります。
ギターは楽器初心者でも気軽に楽しめ、そしてモノにすれば一生楽しめる趣味になります。
また、最初はフォークギターを買ったけどそのうち別のジャンルを弾きたくなった…となれば、調弦の基本などは一緒ですのでエレキやクラシックギターに乗り換えることも容易です。
ぜひお気に入りの一本を見つけて素敵なギター・ライフをお楽しみください!
ギターは人気楽器だけに教材も充実しており、独学でも楽しめる楽器です。
ですがモチベーションを保ったり、最初に変なクセをつけないためには音楽教室へ通うこともおすすめです。
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